田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

真木悠介 著『気流の鳴る音』より。一匹の妖怪が日本を徘徊している。学校スタンダードという名の妖怪が。

人間の根源的な二つの欲求は、翼をもつことの欲求と、根をもつことの欲求だ。 ドン・ファンの生き方がわれわれを魅了するのは、みてきたように、それがすばらしい翼を与えてくれるからだ。しかし同時にドン・ファンの生き方がわれわれを不安にするのは、それ…

寺山修司 著『家出のすすめ』より。田中泰延さんに倣えば、服部龍生さんは「聴きたい音を、出せばいい。」

しかし、ともかく、わたしは自分を「それはわたしです」と言い得る簡潔な単独の略号をおもいつきません。ましてや、先生が生徒に、「君はだれ? 何する人? って聞かれたら、すぐ大きな声でわたしは何々です、と答えられるような人間になりなさい」 などと教…

105回目の投稿。松井博さん、坂口恭平さん、田中泰延さん、磯野真穂さんに感謝。

実際には、社会的にも政治的にも利害関係は複雑で錯綜しており、アテにしていた反応・反響が得られないことはしばしばあります。すべてを計算し尽くして行動することは不可能です。「やってみないとわからない」のが現実であり、何らかの行動を選択した後に…

川村元気 著『仕事。』より。香港とマカオの話。小学生のときに読書が習慣づくと、未来が笑う。

川村 ちゃんと戻ります(笑)。というのも、常に戻るために書いているところもあって、そこは旅のスタイルにも通じているんです。僕は10代の頃に沢木さんの『深夜特急』を読んでわかりやすく香港から旅を始めた人間で、いまだに1年に一度はバックパッカー…

磯野真穂 著『ダイエット幻想』より。ダイエット幻想&きちんとした社会人でありたい幻想を捨てたい。

ここでは外見を変える身体変工に注目しましたが、見かけをふるまいにまで拡張させれば、似たような事例はもっとあります。寝坊をしたら朝ご飯を抜いて会社に駆けつける、仕事を終わらせるためへとへとなのに長時間の残業をする。こういうふるまいもよくよく…

宮野真生子、磯野真穂 著『急に具合が悪くなる』より。急に具合が悪くなる。でもだからこそ、或いは、だからといって。

次々とふりかかる「かもしれない」の中で動きが取れなくなる。「死から今を照らして悔いのない生き方をする」ことについて宮野さんが感じる欺瞞や、次々とリスクが提示される中で「ふつうに生きてゆく可能性がとても小さくなった気がする」感覚は、こんな構…

田中泰延 著『読みたいことを、書けばいい。』より。思春期と父親の影響について。

文章を書くのに、本を1冊も読んだことがない人はいないと思う。いたら、それはそれですごい。わたしは、本に囲まれて暮らしていた父親の影響で、本屋さんと図書館が大好きな人間として育った。(田中泰延『読みたいことを、書けばいい。』ダイヤモンド社、2…

鹿島茂 著『悪の引用句辞典』より。ブログ100記事目。自分のために、読みたいことを、書けばいい。

では、こうした引用重視の文化はどこから来ているかといえば、それは『聖書』読解の伝統からだろう。かつて、神学博士たちは、自分の論述のほとんどを『聖書』からの引用で埋め尽くし、相手を論破しようと試みたものである。そして、その伝統はいまも脈々と…

遠山啓 著『数学入門(上)』より。シカクいアタマをマルくする円の授業と変形労働時間制について。

たとえば1170年に設計された代表的なゴシック建築であるパリのノートル・ダム寺院がそうである。上から見た平面図も、横から見た立面図も、すべて直線と円によって組立てられている。~中略~ したがって当時の建築師たちにとって、ユークリッドの『原論…

坂口恭平 著『独立国家のつくりかた』より。青山ブックセンターに行って、坂口恭平さんの話を聞いてきました🎵

つまり、僕は独立国家をつくったのだ。 自分の人生をただ自分の手でどこにも属さずつくりあげている。僕はそういう人間だ。 なぜ、そんな人生になってしまったのか。 それには理由がある。 それは、僕が幼い頃から抱えている質問に、誰も答えてくれないから…

岩田健太郎 著『感染症医が教える性の話』より。なぜ美人は麻薬に手を出すのか?

インフルエンザは咳やくしゃみで感染する。だから、マスクや手洗いでウイルスが身体に入り、感染を起こすリスクを減らそうとする。でも、マスクも手洗いも効果はそれほどでもないから、毎年たくさんの人がインフルエンザになってぼくらの外来に来る。かくい…

マーシャ・ガッセン 著『完全なる証明』より。教え方はひとつではない。挙手も板書もほどほどに。

「それが私の最大のノウハウなんですよ」とルクシンは言った。「三十年前に発見したのは、要するにそれなんです。子どもたちはみんな、解いた問題のひとつひとつについて自分の話を聞いてもらわなければなりません」。別の数学クラブでは、教室で子どもたち…

ブレイディみかこ 著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』より。ややこしい多様性への愛。

「でも、多様性っていいことなんでしょ? 学校でそう教わったけど?」「うん」「じゃあ、どうして多様性があるとややこしくなるの」「多様性ってやつは物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃないほうが楽よ」「楽じゃないものが、どうして…

鷺沢萠 著『ケナリも花、サクラも花』より。ケナリも花、サクラも花。イエローも人、ホワイトも人。

人にはそれぞれ事情がある。それを上手にコントロールしながら暮らしていかなければならないような事情を、誰もが持っている。そうして、コントロールしながら、うまく折り合いをつけながら生きていく上で通名が必要になるのなら、それはやはり必要なものな…

谷川俊太郎、斎藤次郎、佐藤学 著『こんな教科書あり?』より。教材をめぐる冒険、雪だるまをめぐる冒険、羊をめぐる冒険。

言葉の教科書(注:日本の国語の教科書)のはずなのに自然保護を教えている。やたら動物とか自然が出てくるでしょ。言葉というのは、基本的に人間関係のものなのに、なんで動物にしなきゃいけないの、なんで自然観察しなきゃいけないのっていうことを感じま…

宮台真司 著『絶望から出発しよう』より。子どもも大人も、表出から表現へ、内から外へ。

「表出」とは、言いたいことを言い、叫びたいことを叫んで、スッキリすることです。~中略~。これに対して「表現」とは、相手に情報をインプットし、相手を特定方向に動機づけるためになされるコミュニケーションです。だから「表現」の成功は、相手がしか…

山田昌弘 著『新平等社会』より。近代は自由と平等、前近代は身分と搾取、現代は身の丈と定額働かせ放題?

近代社会は、自由、平等を原則とする。それは、前近代社会において格差を生みだした身分と搾取という二つのロジックを否定するところに成立した。(山田昌弘『新平等社会』文藝春秋、2006) こんばんは。もうすでに他界していますが、大正5年生まれの母方の…

梅田望夫 著『ウェブ時代をゆく ー いかに働き、いかに学ぶか』より。可愛い子には旅と本を。無から生じるものは無だけだから。

私たち一人ひとりを取り巻く無限ともいうべき情報から、自らの志向性と波長の合う信号をキャッチするためには、心の中に「パーソナル・カミオカンデ」を用意し、微弱な信号でも捕まえてやろうと待ち構えていなければならない。私の場合はそれが、若い頃から…

是枝裕和 著『希林さんといっしょに。』より。樹木希林さんに学ぶ、我が子を「被害に敏感、他害に鈍感な子」にしない方法。

樹木 確かに言ってはいるんだけどね。ベランダのシーンで、蝶々の話をしながら「こんなはずじゃなかった」って。絶対に自分のせいだとは思いたくない。「お父さんが悪いのよ」「ああいう嫁じゃなければ」「世の中が見る目がないのよ」とか、本当にそう思って…

畠山重篤 著『牡蠣とトランク』より。森は海の恋人。国会は森、学校は海。国会審議、しっかりと!

漁民の眼で河口から上流まで俯瞰してみると、じつにさまざまな問題が横たわっていた。 漁民だけの努力で解決できるようなことではない。 そこで県や大学にも相談してみた。返ってくる答えはいつも同じであった。「私の担当ではありません」 役所の仕組みも学…

本間昇 著『寄木に生きる』より。給特法改正案の審議入り。木も教員も使い方によって生きる!

父から昔そのままのやり方で仕込まれた私は、十数年の経験を経て徐々に一人前の寄木職人の域に近づく自覚のようなものが出来つつあり、周囲もそのように扱ってくれるようになった。厳しい父のこと、そんなことはおくびにも出すものではなかったが、仕事上の…

浅利慶太 著『劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」』より。言語を尊重しない子をどうするか?

私は、俳優を目指す若者たちを何千人と見てきていますが、敬語や人をいたわる言葉を親からきちんと教えられている若者は、柔軟な言語感覚を持っています。彼らは、どんな役のどんなセリフに対しても理解が早く、いい演技をするようになります。 一方、そうで…

平野啓一郎 著『考える葦』& 映画『マチネの終わりに』( 西谷弘 監督作品)より。3年半前の小説体験を変える映画体験。

もう一つ、子供を育てるようになって、やはり、自分自身の幼い頃の心情がしきりに思い返されるようになった。そして、当時はよくわからなかった、子供を見つめる大人たちの心情も。 そんな風に今、手に取って左見右見している記憶は、この先また十年、二十年…

かこさとし 著『未来のだるまちゃん』より。端っ子も世界なんだ、というかこさとしさんに学ぶ「子ども」のこと。

『とこちゃんはどこ』という絵本も、まさにそれで、デパートとか動物園とかたくさんの人がいる場所で迷子になったとこちゃんを探す。「いろんなものがある」「いろんな人がいる」というのは、自分が今いる社会について知る時の最初の入り口なのだと思います…

武田砂鉄 著『紋切型社会』より。国民性は小学校の教室から? 壮大なマッチポンプと心のレガシーと。

マレーシアの現地スタッフが気持ち良いのは、発生した不満を解消したり飲み込んだりせずに、本当に次々と辞めてしまうところだ。料理長のことが信じられなくなりました。うん、僕も、そんなの私もよ、と立て続けに辞めていくのだ。~中略~。個人の意思を抑…

moto 著『転職と副業のかけ算』より。退職するなら、後ろ髪を引かれるくらいのときに!。髭ダン、紅白内定!

退職するのは、後ろ髪を引かれるくらいの状態がベストです。意思決定はあくまでドライに行い、自分のキャリアを築いてください。本当にいいメンバーが在籍している会社であれば、自分のキャリアを応援してくれるはずですし、その後の関係も続いていきます。…

太田英基 著『僕らはまだ、世界を1ミリも知らない』より。学校がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは(定時に)帰る。

日本語を学ぶイスラエル人と話していて、ふと気づいたことがあった。彼が言った。「日本の小学校の国語のテストの問題は変! おかしい!」と。僕は何が変なのか訊いてみた。「だって、イスラエルやアメリカでは、テストの解答で求められるのは『筆者の意見』…