田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、旅行、映画」

池井戸潤 著『下町ロケット』より。フェイスシールドだって? トンデモない。要・理系思考。

幼い頃、佃の夢は宇宙飛行士になることだった。図書館で読んだアポロ計画の物語に、佃少年は、それまで読んだどんな本よりも興奮し、没頭した。それはそうだ、なにしろここに書かれている冒険は、空想ではなく、紛れもない真実なのだから。 一九六九年七月二…

神保哲生、宮台真司 著『格差社会という不幸』より。仕事でも消費でも自己実現しないけど、人生は楽しいぞ。

そうじゃないでしょう。仕事は食いぶち。楽しみは趣味活動。これでいいはずです。どうしてそこまでして「仕事での自己実現」を求めるのか。昔の地域社会があれば――沖縄はいまもそうですが――所得が低くても夕方六時以降は泡盛パーティで盛り上がるような生活…

妹尾昌俊 著『教師崩壊』より。生存者に次ぐ、ティーチャーズ・クライシスを回避せよ。

横浜市立小中学校への調査(N=521)によると、教師の1ヶ月当たりの読書冊数は、0冊が32.4%、1冊が33.6%、2冊が16.1%です。3冊以上は2割もいません。 この結果が多忙のせいかどうかの検証はできていませんが、とても熱心に学び続けて…

宮台真司、藤井誠二、内藤朝雄 著『学校が自由になる日』より。佐藤学さんの「学びの共同体」と、学校の新しい生活様式と。

藤井 先ほどの話にも出てきたんですが、「学びの共同体」ということを提唱しているのは教育学者の佐藤学さんです。これまで話し合われてきた共同体主義者の旗頭のような人だと思いますが、リベラリズムを論じていく上では、彼の主張は無視できないと思います…

宮田珠己 著『旅の理不尽』より。理不尽をエンジョ~イする力を学ぶ。

旅とは何か。 それは、とても深い問題である。あまりにも深く難しいため、旅は人生であるとか、試練であるとか、出会いとか、めぐり会いとか、メグ・ライアンとか、いろいろ言われているが、その真相は謎のままである。 さて、私は、名もない一介の素敵なサ…

岡崎玲子 著『レイコ@チョート校』より。人生いろいろ、教育もいろいろ、授業スタイルだっていろいろ。

しかし、なんといっても、数学の授業のスタイルが、今まで慣れてきたものと全く違うので、戸惑った。宿題は、新しい章を読んで、問題を二十問ほど解くこと。数学の授業の前日、ずらりと並ぶ問題を目の前にして、私は、焦っていた。宿題は、授業で学んだペー…

宮台真司、永田夏来、かがりはるき 著『音楽が聴けなくなる日』より。音楽は自由にする。友達や仲間も、きっと自由にする。

もしかすると社会はそうなりかけているのかもしれない。この文章を書いている僕や、「なるほど」と思ってくれた貴方は、極く少数なのかもしれない。であればこそ、そうした少数者が連帯して、既に人間モドキだらけになった「社会という荒野」を生きねばなり…

為末大 著『Winning Alone』より。個人商店と呼ばれる小学校の担任にお勧めの一冊。

注意を向ける先が変われば動きは変化する。難しいのは変えたい対象そのものに注意を向けたからと言って、そこが変わるとは限らない点だ。右足を前に出したいと思っているときには、右足のことを考えるよりも右腕を引いた方が前に出る。さらには右足はみぞお…

宮台真司 著『「消えた老人」はなぜ生まれるのか』より。家族がいれば、仲間がいれば、老人は消えなくなる。

しかも、こうした事件が起こる度に、日本では行政の不手際が指弾されるということになっているのですが、これもちょっと国際標準的にはあり得ないことですよね。 それよりも、近隣の超高齢者が不在であることに気がつかない、そういう隣人たちから成る社会、…

宮台真司 編『教育「真」論』より。問題は学力ではなく、「社会的なもの」にコミットメントする動機づけ。

学力低下は本当に小さな問題です。「学校的なもの」から脱却すれば、そりゃあ学力は低下するでしょう。それでも「社会的なもの」にコミットメントする動機づけが強ければ、あとからいくらでも学んで、必要な領域については簡単に追いつくことができるでしょ…

村田沙耶香 著『消滅世界』より。Beforeコロナの世界と Withコロナの世界の狭間で。逆アダムとイブ。

夫の今の恋人とは、私も何度か会ったことがある。ショートカットの小柄な女性で、さばさばと明るく夫に軽口を言うのが可笑しくて、三人でたくさん笑いながら食事をした。 少し辛辣なところもあるが賢くて、素敵な女性だった。私は彼女が好きだったし、二人は…

鳥山敏子 著『賢治の学校』より。慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル サウイフ親ニ ワタシハナリタイ。

本当の楽しさには、いつ死ぬかもしれない危険が伴うこともある。そういう楽しさを保証しないと、子どものからだの野生やエロスは育たない。それを賢治は十分に知っていたのだと思う。けがをしたり、最悪の場合は死んでしまうかもしれないことを賭けて生徒の…

映画『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』(細川徹 監督)& 鈴木光司 著『パパイズム』より。学校を削って家庭に還す。ええ加減に。

「家族サービス」という言葉がきらいである。 この言葉のウラには、せっかくの休日を家族とともに過ごすのはもったいない気がするという発想がある。しかし、いまだかつてボクは一度もそんなふうに考えたことがない。ボクにとっては、いつも妻と子と一緒にい…

東浩紀 著『哲学の誤配』より。学校に誤配を。そして人生にも。

これから、観光は哲学的にも重要な概念になっていくでしょう。そもそもひとが観光するというのは、とても興味深い現象です。さきほどもいいましたが、観光地に行くとき、みなすでにその場所について知っている。にもかかわらず訪れる。「富士山っていったい…

東浩紀 著『新対話篇』より。それはレールモントフです。サウイフモノニワタシハナリタイ。

沼野 同じイベントかはわからないのですが、渋谷の小劇場ジャン・ジャンに五木さんが登壇されたとき、満員になった会場入り口で、強引に入ろうとするお客さんを追い払っていたのが、当時まだ学生だったわたしでした。消防法の規制で、定員以上入れてはいけな…