田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、旅行、映画」

映画『ある人質』(ニールス・アルデン・オプレヴ監督作品)&『マル激(第1034回)』より。ある人質、あるIS、ある教員の視座に立って世界を見る。

この映画の主人公は、戦場カメラマンを夢見て不用意にシリアに迷い込んだデンマーク人の青年である。ISは活動拡大の初期段階で、数十名の西欧人を人質に取った。罪もない、力もない、冒険や名声を夢見て、あるいは理想主義に突き動かされて、紛争下のシリ…

小松理虔『地方を生きる』より。地方を生きるとは、エラーと生きること。優れた教師は、エラーの価値を知っている。

おかしいですよね。ローカルの話をしているのに、その外に出ろ、外を受け入れろ、と言っているわけですから。地域のことを考えようとすると、その地域のことを内に内に考えていくイメージが湧きますが、本書は結果的にそうはならなかった。むしろそこから外…

石井英真、渡辺貴裕、他『流行に踊る日本の教育』より。岩瀬直樹さんお勧めの基礎文献。Think different!

学校現場での教師による研究の場合、「仮説」と「検証」の関係は、「スパイラル」にはなっていません。「仮説」から「検証」への一方向的なものになっています。 というのも、一つには、基本的に、当初立てた「仮説」が否定されることはありません。~中略~…

猪瀬直樹 著『東京の敵』より。働き方を変えるためには、学校現場も「昭和16年」の逆を行かなければいけない。

あのとき、僕は「昭和16年」の逆を行かなければいけないという思いを強くもっていました。客観的データを恣意的に解釈して、都合の良いデータに変質させるのではなく、客観性を維持しながら、各団体のさまざまな思惑を一つにまとめあげることに腐心しまし…

成毛眞 著『2040年の未来予測』より。子どもも大人も、未来を予測して計画を立てる力をつける。

ここまで読みすすめたあなたは気づいただろうが、本書が示す将来はけっこう暗い。希望が持てるシナリオもいくらか示したつもりだが、絶望的な気分になった人も少なくないかもしれないので、最後にひとついっておこう。そこまで悲観する必要はない。なぜなら…

中原淳 監修、田中智輝・松村灯・高崎美佐 編著『学校が「とまった」日』より。余白をつくって、連携を。

私たちが、このプロジェクトを通じて、考察したかったことは、学校とは「授業を提供する」だけでなく、暗に、子どもの生活リズムをつくりあげ、健康を支え、子ども同士の関係をつくり、家庭を支えているのだということにほかなりません。 「学びがとまったそ…

猪瀬直樹 著『民警』より。出前授業「ALSOK あんしん教室」や「セコム こども安全教室」の前に、ぜひ。

教科書に記されている歴史がなぜつまらないか。時間順に発生した出来事を羅列しているだけだからです。いくら年表を暗記しても、自分の人生とは重ならない。 ひとつひとつの出来事は、ただ単に偶然に起きているのではない。ひとりひとりの人生は、ただ単に偶…

映画『天国にちがいない』(エリア・スレイマン監督作品)より。わかりやすい授業よりも、わからなさを基調とした授業を。

主人公はこうしてナザレに戻って来る。退屈で凡庸な隣人たちの顔を毎日眺めながら、生きていくしかない。結局、世界のどこにいっても、パレスチナに真面目に関心を持っている人などいない。その癖、誰もがパレスチナ人と同じように、監視され、見えない抑圧…

猪瀬直樹 著『唱歌誕生 ふるさとを創った男』より。故郷とは、自分の若い日の夢が行き先を失い封印されている場所のこと。

自分が生まれ育った場所を棄て、はじかれたように外の世界へ向かう。そういう衝動が日本列島のあちらこちらで疼きはじめたのは従来と異なるライフスタイルの誕生、つまり都市における生活がはじまり出したからである。都市のなかでもとりわけ、東京は中央と…

岩瀬直樹 原案『きょうしつのつくり方』より。コントロール欲求を手放した先にはどんな教室の可能性が開かれているのか。

岩瀬…凝集性の違和感みたいなことがぐっと来たときは、大きい変化を自分の中に感じました。「自分自身は割とそういう場は嫌なのに、先生である私はやれてしまう」みたいなところがつながったときに、自分の中に一つ核ができたという感じはあります。学校の先…

岩瀬直樹 著『成果を上げて5時に帰る教師の仕事術』より。テクニックではなく、どう生きているか。

3年前、オランダの学校に見学に行った時のこと。その学校に宿題がないと聞いて驚きました。その理由を尋ねるとおおよそこんなことでした。「学校で毎日学習している。決められた時間の中で終える、ということが大切。家での時間は各家庭で豊かに過ごしてほ…

宮台真司 著『終わりなき日常を生きろ』&『マル激(第1034回)』より。オウム&IS&DS完全克服マニュアル。百マス計算より、スケボー。

私たちは、戦後ながらく、コミュニケーションの自由を求めてきた。しかし自由とは、コミュニケーションの失敗がもっぱら自己責任に帰属されることと同義である。私たちはそうした状況を、かつて一度も生きたことがない。長らく共同体的な存在だったというこ…

鴻上尚史、ブレイディみかこ 著『何とかならない時代の幸福論』より。何とかならない教育を何とかするにはどうするか。

鴻上 もしブレイディさんのお母さんが人生相談に投稿するとしたら、うちの娘はもういくつになっても海外に行っては帰ってきて汚い格好をして、どうしたらいいですか、みたいな(笑)……。ブレイディ そんな相談がきたら、なんて答えるんですか?鴻上 いやもう…

近内悠太 著『世界は贈与でできている』より。贈与は、差出人ではなく、受取人の想像力から始まる。

「近内君、最近どう?」 ある飲み会の席で、加藤さんは気さくに声をかけてくれました。「今、いろいろ文章を書いてみているんです。でも、文章を書くと、ああ、自分はからっぽなんだなって思い知らされるんです」 僕は思わず加藤さんにそう漏らしました。 そ…

映画『ソワレ』(外山文治 監督作品)より。映画も授業も、固定概念を捨てて、チャレンジを。

『ソワレ』は、役者志望の村上虹郎が「オレオレ詐欺」で日銭を稼ぎ、劇団員とともに故郷(和歌山)の老人ホームに慰問に出かけ、芋生遥と出会うところから物語が始まる。しかし、ドキュメンタリータッチで描かれる主役の二人に感情移入がしづらく、「点描」…