田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

出口治明、猪瀬直樹、中島聡、他『リーダーの教養書』より。第49回衆議院選挙、リーダーはだれだ。

つまり、人間には「統治する側」と「統治される側」があるが、日本文学の系譜において、森鴎外側が途切れてしまった。夏目漱石自体は偉いが、漱石の系譜はだんだんと私小説のほうに流れてしまい、結局、太宰治になってしまった。昭和の戦争に至る過程におい…

岩瀬直樹、中川綾 著『みんなのきょうしつ』より。リフレクションを通して解像度を高めよう。

そういえば、教室リフォームのとき、一生懸命科学コーナーをつくっている友だちの横で、イケッチは図鑑を読んでいた。でも、そんなイケッチに目くじらを立てずに、それぞれの仕事をやっていると、そのうちイケッチも働きはじめる。そういう緩やかさは大事に…

伊坂幸太郎 著『ペッパーズ・ゴースト』より。弱さはいつか強さになる。

利害関係なく頼れるのは親くらいだよ。昔から母はよく言い、その恩着せがましい言い方に、親なら当たり前だろうとでもいうような反応しかできなかったが、教師になってからは、それは決して、当たり前のことではないと理解できた。頼れる親が、実際に頼りに…

田中泰延 著『会って、話すこと。』より。誰かに「会いたい」って思われる人に、なればいい。

わたしたちは、会いたいのだ。いま、その意味を、考えるいい機会だと、わたしは思う。(田中泰延『会って、話すこと。』ダイヤモンド社、2021) おはようございます。学生時代に観たアングラ演劇の「会おうと思えばいつでも会えると思える人には絶対に会えな…

ブレイディみかこ 著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』より。ちょっとブルーには、特権的な価値がある。

「ビートルズのポール・マッカートニーは、最初の結婚のとき、子どもを4人ともふつうの公立の中学に行かせたらしくて。デザイナーのステラ・マッカートニーのインタビューを読んだとき、彼女は最初、セレブリティーのくせに私立に行かせてくれなかった親の…

町山智浩 著『それでも映画は「格差」を描く』より。教え子たちの全員が未来へのメッセージ。

『キッド』に影響されてデ・シーカは『自転車泥棒』を作りました。アントニオとブルーノが路上に並んで座るシーンは『キッド』へのオマージュです。そして、『自転車泥棒』に影響されてケン・ローチやダルデンヌ兄弟は映画を撮り始めました。是枝監督もまた…

落合陽一、猪瀬直樹 著『ニッポン2021ー2050』より。ニッポンよ!にほんよ!

僕が東京都副知事だったころ、笑ってしまうような出来事がありました。茨城県の副知事から相談を受けたのです。彼は上野駅のコンコースで納豆フェアをやろうとしたが東京都の役人が待ったをかけた、おかしな話だから何とかしてほしいと言います。どういうこ…

猪瀬直樹 著『道路の決着』より。改革のノウハウと意志、そして希望をつかむための教科書。

改革は百点でないがゼロ点でもない。百点でなければ辞任、とはおかしい。それならすべての審議会の委員は全員辞任しなければいけないことになる。表向きの美辞麗句の裏に隠された真相を実証的に解明するのがメディアの役割ではないのか。アガサ・クリスティ…

岩瀬直樹、寺中祥吾 著『せんせいのつくり方』より。一つの出来事、小さな違和感。そこを丁寧に考える。

数年前、オランダの小学校に参観に行ったときのこと。その学校には宿題がないというので驚いた。理由をたずねるとおおよそこんな答えだった。 『学校でのことは学校で終えるべき。おとなになって仕事をするときも職場で決まった時間のなかで終わらせることが…

鹿島茂 著『悪女入門』より。教室で見聞きする「男子ってバカだなぁ」が資本主義を回すことになる(かもしれない)。

なんのことかといえば、私が大学で教えているフランス文学というのはファム・ファタルと呼ばれるスーパー・ウッフンの登場する小説ばかりなのですから、少し、力点の置き方を変えてやれば、「フランス文学史」も「フランス文学演習」も、そのままファム・フ…

映画『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介 監督作品)より。もしも埼玉県・教員残業代訴訟の裁判官を濱口さんが務めていたとしたら。

原作は短編なので、映画にするためには材料が明らかに足りない。なので膨らまさないといけないけれど、それが物語にとって見当違いなものではいけないわけですよね。プロットを書く際に原作を何度も読み返すうちに、「女のいない男たち」に収められた同時期…