田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

横道誠 編『みんなの宗教2世問題』より。聞け、宗教2世の声。

本書では「宗教2世問題」を親が特定の宗教を信奉しており、その宗教儀式や宗教活動の影響によって、子どもの養育、発育、発達、成長に著しい障害が発生する問題と定義したい。「特定の宗教」が具体的にどの団体を指すのかは難しい問題だ。(横道誠 編『みん…

坂口恭平 原作、道草晴子 漫画『生きのびるための事務』より。のぞめば不思議な、事務の世界よ。

少なくとも日本の学校の先生は、自立して生きる道を知りませんよ。坂口恭平 原作、道草晴子 漫画『生きのびるための事務』(マガジンハウス、2024) こんばんは。いやはや、手厳しい。坂口恭平さんも「手厳しいね、ジムはいつも」と返しています。続けてジム…

青島顕 著『MOCT 「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』より。おれがやるしかないな。

鉱山労働者を経て、遠洋航路の船員となって中国、アジア、米国を巡るうちに、ソ連極東の港町ウラジオストクで船を降りて、亡命した。借金がかさんでいたようだ。極東地区の国際会員クラブで活動した後、モスクワの東方少数民族共産主義大学(クートベ)に入…

最首悟 著『能力で人を分けなくなる日』より。弱さはつながりを生む。

手紙の趣旨はね、まず、私が重度知的障害の星子と同居しているのを知っていて、星子はこの世の中のじゃま者であり、殺すべき対象だっていうこと。 2つめは、私が大学人でありながら、どうして星子を殺さないのだということ。大学っていう能力主義の場にいな…

恩田陸 著『spring』より。読むと、バレエやコンテンポラリーを観に行きたくなる。

唐突に、歌舞伎の語源が「かぶく(傾く)」だというのを思い出す。 何百年もの伝統と確固たる「型」というものがある。それは文字通り、その世界に「疑いの余地なく正しいもの」として屹立している。 そのまっすぐでゆるぎないものを「傾ける」のだ。 それは…

横道誠 編・著『信仰から解放されない子どもたち』より。子どもは身近にいる大人の影響から逃れられない。

マスメディアで何度か取りあげられたのだが、私が小学四年生のときに、「母の日」というものがあることを知って、妹と一緒にお小遣いを使って、カーネーションを買いに行き、母に贈った。小さな花束を買って帰ってきて「お母さん、おめでとう、母の日おめで…

三宅香帆 著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』より。全身ではなく、半身で働く社会を目指そう。

しかしこの社会の働き方を、全身ではなく、「半身」に変えることができたら、どうだろうか。半身で「仕事の文脈」を持ち、もう半身は、「別の文脈」を取り入れる余裕ができるはずだ。そう、私が提案している「半身で働く社会」とは、働いていても本が読める…

沢木耕太郎 著『心の窓』より。カメラを持つことの最大の効用とは?

私は東京に住んでいるが、自分の家から仕事場まで、三、四十分ほど歩いて通っている。その仕事場に着き、窓のカーテンを引き開けるときはいつもスリルを味わう。 ―― 今日は見えるだろうか?(沢木耕太郎『心の窓』幻冬舎、2024) こんばんは。数時間前に2泊…