田舎教師ときどき都会教師

読書のこと、教育のこと

岡嶋裕史 著『ChatGPTの全貌』より。読んで、使って、知りましょう。

 海の近くに住む者が海のことを知らないと危険なように、森の中に住む者が森を熟知することで森から大きな恩恵を受けられるように、現代の生活環境は情報システムの中にある。すでに私たちにとって土や水と同等の存在だ。だから理解しなければならない。法律を知る者が法治国家において良い席を得たり、経済を理解する者が金融システムから利益を上げるのと同じだ。知ることで、自分の人生を自分の手にしっかり握れるだろう。
(岡嶋裕史『ChatGPTの全貌』光文社新書、2023)

 

 こんばんは。初異動の教員には、年に数回、カウンセラーとの面談が義務付けられているそうです。「先生も対象です」って、先日、教頭にそう言われました。統計上、2校目で病む教員が多いからでしょう。私は6校目だし、A県→B県→C県と、県外異動(?)も2回経験しているので断わりたかったのですが、「県内」初異動という意味で、どうやら杓子定規的にマストの枠に入れられたようです。願わくば、東畑開人さんのようなカウンセラーが来てくれますように。

 

 心はどこへ消えた?

 

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 異動してから今日で45日も経つのに、通算6校目となる勤務校に依然として馴染むことができません。心はどこへ消えた(?)のような状態がずっと続いています。原因はわかっています。それは、

 

 知らないから。

 

 同僚のことも、学校のことも、地域のことも、それから iPad や Teams のことも、その全貌はもちろんのこと、パーシャルにもよくわかっていないから。ちなみに前任校の一人一台端末は Chromebook でした。

 

 だから理解しなければならない。

 

 

 理解しなければならないとはいえ、運動会の練習が1日に4コマ(全校2コマ、学年2コマ)も入っていたり、前年度まで選抜リレーの練習を給食の準備時間中にやっていたという話を聞いたり、運動会ひとつとっても、ほんと、驚くことばかり。勤務校の全貌をとらえるにはまだまだ時間がかかりそうです。

 

 

 岡嶋裕史さんの『ChatGPTの全貌』を読みました。副題は「何がすごくて、何が危険なのか?」です。目次は以下。

 

 第1章 ChatGPTの基礎知識
 第2章 ChatGPTはここがすごい
 第3章 ChatGPTはここが危うい
 第4章 大学と社会とChatGPT
 第5章 クリエイティブとChatGPT
 第6章 人類の未来とChatGPT

 

 試しに Microsoft Copilot に「ChatGPTは、何がすごくて、何が危険なのか?」と訊いてみたところ、次のような回答が返ってきました。

 

 ChatGPTの優れた点は、その豊富な情報量と創造力です。質問に対する迅速な回答、文章作成やアイデア提供など、多岐にわたる用途で役立ちます。また、教育やクリエイティブな作業においても非常に有用です。
 一方で、危険性もあります。例えば、誤った情報を伝えるリスクや、内容の偏りが発生する可能性があること。また、あまりに頼りすぎると、利用者の思考力や判断力を弱める恐れも指摘されています。さらに、プライバシーやデータの取り扱いについても懸念が挙げられることがあります。
 重要なのは、ChatGPTを便利なツールとして活用しながらも、常に批判的な視点を持ち、情報を検証する姿勢を保つことだと思います。この技術を正しく使いこなせば、非常に強力なパートナーになり得ます。

 

 さすが ChatGPT です。平均的というか、教科書的というか、うん、実にそれっぽい。

 では、岡嶋さんはどのような見方・考え方を働かせているのでしょうか。岡嶋さんは、ChatGPTの優れた点として《モデルとデータセットの途方もないでかさを実現した点》を挙げています。また、危険性として《GPTに権力が集まること》や《ブラックボックスであること》、《人間がAIに幻想を見てしまうこと》を挙げています。

 豊富どころではない「兆単位」の情報量をベースにした技術なのに、その技術の中身は開発元である OpenAI(研究機関、企業)によって秘密にされていて、すなわちブラックボックスになっていて、そこにイーロン・マスクだのピーター・ティールだのマイクロソフトだのGAFAだのといった「権力」が集まった結果、権力によって搾取される側にいる私たちが「もしかしたらAIを駆使した《冴えた独裁のほうがずっと良い社会システムを作るのではないか》」と幻想を見てしまうような状況が、

 

 生まれた。

 

 それはヤバイような気がするし、もしかしたら多くの人たちにとってはその方がしあわせかもしれないけれど、いずれにせよ、ChatGPT に代表されるAIと上手に付き合う方法を考えていかないといけないですよね、特にこの本を手にしているようなみなさんは、というのが私が勝手に解釈したところによる著者の主張です。だから、

 

 知ろう。

 

人は思考して、挑戦して、未来を作ることができる。それが人の価値だと思う。だから未来を作るために、AIについて学んで、さわって、使っていきたい。知ることが最大の打開策だ。

 

 最大の打開策を得るために、この本を読んで、ChatGPT を使って、知りましょう。岡嶋さんもそう書いているように、知ることで、自分の人生を自分の手にしっかり握ることができるはずですから。

 

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 メタバースのことも、ChatGPT のことも、岡嶋さんの本で学びました。歪んだ認知かもしれませんが、発達障害の子を育てているという岡嶋さんは、おそらく天才で、しかもちょっとおもしろくて、リーダー・フレンドリーなんです。

 

 人間の認知はもともと歪んでいるのだと思う。自分がそうであって欲しい方向へ解釈するのだ。たとえば、相手は単に会話をいやがっているだけなのに、「ぼくのことが好きだからはにかんでしまって、なかなか言葉が出てこないんだな」などと解釈してしまった思春期の日の黒歴史はないだろうか。私はない。二次元女子しか好きじゃなくてよかった。

 

 私はあります。

 

 おやすみなさい。