2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧
こういうことです。日本は経済を回すために社会を犠牲にしてきた。社会の穴を、辛うじて回る経済が埋め合わせてきた。だから経済が回らなくなったら、社会の穴が随所で露呈した。金の切れ目が縁の切れ目。これが続く限り、今後も経済次第で人が死にまくるの…
地球環境のような世界の大問題をいくら心配したところで、それを解決する能力は一人の人間にはありません。一人では何もできないと諦めて、目先の楽しみに気を紛らわすことで、誤魔化してしまいます。一人の人間とはそういう生き物なのでしょう。しかし、大…
屋上や非常階段からの風景は、いつも見る街の風景とは違うし、夜の公園の風景も、いつも見る昼間の公園の風景とは違う。25年前に書いた「地上70センチの視線」論のように、地べた座りもそうだった。人が行き交う渋谷センター街の路上で地べた座りをすれ…
ある時、セントルイスの橋の下のDIYスケートパークで知り合ったスケーターたちと「今日は父の日なのにみんなここにいるね」って話になり、そこから各々父親の話をしました。父親がいなかったり、暴力的な父親がいたり、疎遠だったり、みな何かしら親との…
グローバル化が進み、消費性向が高まりつつあるにもかかわらず生産人口が減りつつある日本では、夫の稼ぎで妻の食い扶持を支えることはできません。金持ち以外は夫婦で働くしかなく、従って長時間労働は家族と地域の空洞化につながります。 空洞化は、英国の…
中野 そう、若者のパーティにお年寄りが来たりするし、公園で一緒にチェスに興じたり。それにひきかえ、日本では「シルバー民主主義」みたいなことが言われて、選挙に必ず行く高齢者のほうが強い発言力を持っているようでいて、街中では若者と交ざり合うこと…
まず、かつてのアイドルのように一人でステージに立つ場合、その歌手は「絶対に間違えない」という緊張を一身に纏います。ソロで活動していれば、人の求める期待に応えなければならない、というプレッシャーをすべて一人で背負わなければならないわけです。…
分断を招くという文脈においての教育とは、もはや高尚な意味での教育ではなく、ただ単純に取得できる「資格」を指します。今考えなければいけないのは、この教育と知性の関係性でしょう。能力主義という理想が高まった時代には、学校教育で成功するためには…
なぜ、対談が好きかと言うと、「他者の言葉」に興味があるからです。「他者」というのは、「自分とは同じようなことを言わない、考えない」人のことです。内田先生のお言葉は(あるいはその著書でも)「そうか、そういう考え方もあったのか」という驚きをし…
社会学者のオーランド・パターソンに言わせれば、「生涯にわたる心的態度が形成されている時期に、アフリカ系アメリカ人とヨーロッパ系アメリカ人がともにいること」が人種融合教育のもたらす効用なのだ。黒人がいる学校に通った白人は「アフリカ系アメリカ…
9月11日に起きた恐るべき残虐テロは、世界の出来事においてきわめて新しいものである。規模とか性質の話ではない。標的が違うのだ。米国は、1812年の英米戦争以来、本土を攻撃されたことはなく、脅威すら受けたことがない。多くのコメンテイターが、…
「お早う、お父さん」 父親はちらりと顔を上げて息子に視線を送ってから、深々とため息をついた。昨日は王様も恥ずかしさのためかずっと城に引きこもっていたようだが、このまま事態が収束するとはとても思えない。誰が最初に「王様は裸だ」と言いだしたのか…
俺にとってこの一年は楽しかった! 確かに退屈もしたし、繰り返しにうんざりもしたし、内容のなさに馬鹿馬鹿しくもなったが、それでも、この一年は、俺にとって近来まれな楽しい一年だった。新聞社で絶えず原稿の締め切りに追い廻されていると時間の感覚とい…
政治に必要な「損得よりも正しさ」や、恋愛に必要な「カネよりも愛」が、枯渇して、損得に拘泥する浅ましい生き方が蔓延し、いまや政治が支える国と、恋愛に始まる家族の、持続すら怪しくなった。 欠けるのは知識ではない。バランスを超えた過剰への、〈交換…
サルやゴリラの世界から見ると、人間は、とてつもなくおせっかいな生き物に違いありません。子どもがやろうとしていることに手を貸すだけではなく、まだやろうともしていないことに対しても、「こうなったらいい」「あれを見て。君もいずれあのようになる」…
「異動は最大の研修である」という言葉がある(例えば、大阪府教育委員会2008)。つまり、異動は、職能成長につながりうる最大の機会、という意味である。この言葉を聞いて、「その通りだ」とストレートに受け止められる教師はどの程度いるであろうか。とい…