田舎教師ときどき都会教師

テーマは「小学校教員の働き方」&「読書、旅行、映画」

映画『三島由紀夫 VS 東大全共闘 50年目の真実』(豊島圭介 監督作品)より。圧倒的な熱情と、圧倒的な面白さ。

人間というものは刀を突きつけられると、よし、おれは死んでもいってやるのだ、「板垣死すとも自由は死せず」という文句が残る。しかし口だけでいくらいっていても、別に血が出るわけでもない、痛くもないから、お互いに遠吠えする。民主主義の中には偽善と…

井上ユリさんの『姉・米原万里』より。緊急事態宣言で生まれた時間が「夢中」を生む、かもしれない。

姉は気に入った本があると、電話してくる。そして、情熱をこめて勧める。遺した書評を読むと、電話のときの気合いの入った息遣いが聞こえてくるようだ。わたしも気に入った本は万里に勧めた。大人になってから、ふたりで話すことといえば、食べ物のことか本…

中村文則さんの『私の消滅』より。過去に損なわれる未来と、未来に救われる過去。教育は過去ではなく、未来を問う。

アリストテレスという古代の学者が、神に変えられないのは過去だけだと言ったらしい。では神は無能だ。人間は違う。過去が積み重なり現在になる。それがこの世界の成り立ちで常識というのなら、僕はそれを拒否する。そもそも、なぜ人は悲劇を経験しなければ…

本庶佑さんの『幸福感に関する生物学的随想』より。幸福感を高め、免疫力を高め、コロナクルナ。

幸福感も相対的な感覚に基礎を置いていることを考えるならば、安定した状態の中での差を認識することが永続的な幸福を保証するものではないかと思われる。つまり、不快感のない安らかな心の状態に達した上で、時折の軽い不快感によってそのありがたみを確認…

沢木耕太郎さんの『檀』より。過ぎやすい人生の悲しさを知っていればこそ。休校の延長を。

みんな元気ですか。ロンドンに十五日居り、パリに着いてから、もう二十日になります。木賃宿にとまったり、豪華ケンランのHOTELにとまったり、面白いですよ。あなたは人生を楽しむことを知らないから、是非共、欧米に来てみたらいい。みんな堂々と、接…

沢木耕太郎さんの『凍』より。圧倒的な「凍」の世界で、待つということ。

何事も、あるていど長く続けているとマンネリになってしまうところがあるのかもしれない。経験することに新鮮さを失ってしまう。すべてはすでに経験しているという感じを持ってしまうのだ。以前は遠くに発生する大きな雪崩を見ただけで感動したりしていたが…

村上龍さんと村上春樹さんの対話集『ウォーク・ドント・ラン』より。自分をくっきりとさせる出会い。

ある作家の出現で、自分の仕事が楽になる、ということがある。 他者が、自分をくっきりとさせるのである。 ただし、そのためには、他者に相応の力がなくてはならない。(村上龍、村上春樹『ウォーク・ドント・ラン』講談社、1981) おはようございます。いざ…

吉本隆明さんの『ふたりの村上』より。学校、再開するってよ。かっこう。

(前略)そういえば「僕」という主人公も、フリー・ライターで三十四歳の独身の男の子にしては、できすぎている。つまり作者の精いっぱいの理念と感性と資質を与えられて、作者の理想と等身大になっている。社会的には比較的自由なゼロにセットされているの…

関良則さんの『奇跡の軌跡』より。臨時休校の軌跡を5月の頭まで描き続けてほしい。

大事なのは、こうした情報を地域で共有することである。特定の旅館だけが情報を独占していても意味がない。自分だけ良ければいいという発想は、結局、四万温泉全体の利益をそこない、結局、自分もつぶれていってしまうことにつながるからである。むしろ、積…

山本つぼみさんの『あたらしい高校生』より。ふるい高校生(?)に伝えたいこと。こんな生き方もある!

この本を書くにあたり、私を育てる上で何か教育方針はあったのか父に聞きました。 すると、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの父親がTEDトークで語った教育方針と、偶然にも自分の教育方針に通じるものがあったと父は言っていました。(山…

高濱正伸さんの『ステキな大人の秘密』より。高橋祥子さんや出雲充さんなど、ステキな大人の秘密を探ろう。

考えることはエネルギーを消費するから、考えなくてもいい状況で考えるのは、生物的に不可能なんです。カオスな環境に行くとか、思い通りに行かない経験をすることで初めて考えられるし、いろいろなものが見えてくるのだと思います。(高濱正伸『子ども時代…

村上龍さんの『MISSING 失われているもの』より。MISSINGを表現に昇華できる人と、そうでない人。五年後の世界を変える。

離れようとしている人間を引き留めることはできない。たとえ親子でも夫婦でも兄弟でも恋人同士でも、どれほど親しい間柄でも、他の人には、他の生き方があり、意に添わないことでも、認めなければいけない場合がある。それは、母から学んだ。母は教師として…

赤坂憲雄さんの『ナウシカ考 風の谷の黙示録』より。コロナと腐海と教え子たちとの再会と。

そこにはいわば、喰う/喰われる関係が、極限の愛のかたちとして投げだされていたのかもしれない。王蟲と粘菌とが合体して腐海の森をあらたに創造する現場には、さらに壮大なスケールをもって、この喰う/喰われる関係をめぐるドラマがくり広げられているは…

坂上香さん、寺脇研さん、斉藤ひでみさん、松井博さん、幡野広志さん、西智弘さん、磯野真穂さんに感謝。他にもたくさん感謝。

「あのね、たとえば新聞紙を二十五回折ったら、どれくらいの厚さになるか分かる?」彼女は急にクイズを出してくる。 おばさんの話題の展開についていけない、と私は降参しそうになるが、それも我慢した。二十五回折り重ねた紙を想像し、「五センチくらい?」…

沢木耕太郎さんの『危機の宰相』より。現代の「危機の宰相」はグッド・ルーザーになれるのか。

その年の六月を境にして変化したのは私だけではなかった。日本の社会全体が大きく変わっていったという印象がある。潮が引くように何かが去っていったという感じを受けていたのだ。 どうして変わってしまったのか。それについて、やがて私はぼんやりとしたイ…

日垣隆さんの『父親のすすめ』より。父として考える。

その後もまた居間のソファで息子が二時間くらいボーッとしたままだったので、さすがに怒りました。「お前、いい加減にしろ。日曜日を何だと思ってるんだ」と。ものすごく怒ったわけです。こちらは何とかこらえて、お昼までは我慢に我慢を重ねていたのだけど…

小田実さんの『何でも見てやろう』より。「何でも見てやろう」主義は、教養主義の勧めであり、多比の勧めでもある。

出かけるにあたって、私は一つの誓をたてた。それは「何でも見てやろう」というのである。これは、行くからには何でも見ないとソンや、といういかにも大阪人らしい根性からでもあるが、もともと、私は何でも見ることが好きな男であったのである。それは私の…

岩田健太郎さんの『「感染症パニック」を防げ!』より。「残業パニック」を防げ!

リスク・マネージメントの途中においても、くり返し「目的」を明確にします。なんのために感染対策を行っているのか。その目的に今の行動は合致しているのか、を確認します。 ともすると日本人の場合、「がんばること」そのものを目標にしがちです。徹夜でが…

映画『プリズン・サークル』(坂上香 監督作品)より。他者の本音に耳を傾けることからしか出発できない。

(中略)たしかに言論を超えた真理も存在しよう。そしてそれらの真理は、単数者として存在する人、いいかえると、他の点はともかく少なくとも政治的存在ではない人にとっては、大いに重要であろう。しかし、この世界に住み、活動する多数者としての人間が、…

沢木耕太郎さんの『青春の言葉たち』より。青春の子どもたちに贈りたい一冊。

沢木 最近、気がつくと、吉行さんが僕らにしてくれていたようなことを、僕たちは若い人たちにしてこなかった。彼らが望まなかったのかもしれないけど。僕たちが吉行さんたちと付き合っていた時のようには、向こうもこっちに来なかったしね。先日、V6の岡田…

沢木耕太郎さんの『達人、かく語りき』より。旅が教えてくれたことと、おもしろい大人に「あう」ということ。

高峰 あんまり夢中になって、ずっと下向いて読んでたもんだから、顔がカボチャみたいに浮腫んでね。松山も読ませていただいて言ってましたよ、「よくないなぁ、こんな面白いもの書いて。これで日本の若者は我も我もってみんなリュック背負って外国に行っちゃ…

高濱正伸さんの『夫は犬だと思えばいい。』より。雨だって楽しめる大人になるためには。

夏の夕立ちでずぶ濡れになって走ったあとの、こみ上げる笑いを知っている人ならば、傘のない帰り道で「もういいや!」とばかり、むしろ水たまりにビッチャンビッチャン靴を突っ込んで歩いた経験のある人ならば、「雨だからつまらない」とは決して考えないで…

ゲストは為末大さん。昨夜、高濱ナイトに参加してきました。感心する & 足りなさをどう伝えるか。

幼い時のことだ。同級生に会いに行く母に連れられて、僕は喫茶店に出かけた。 待ち合わせの喫茶店に入った瞬間、母の姿を見た友だちが、いきなり「まき!」と呼んだ。「荒巻」という旧姓だった母は、どうやら高校時代に「まき」というあだ名で呼ばれていたら…

幡野広志さんお勧め! 武田友紀さんの『「繊細さん」の本』より。繊細さは武器になる。

ですが、こうした繊細さんは、決して人嫌いなわけではありません。心を許せる相手と深く話すのは好きだし、家族を大切にしていたりと、人そのものは好きなのです。 人と一緒に穏やかな時間を過ごしたい、もっと仲良くなりたいと思う一方で、長時間誰かと一緒…

映画『子どもたちをよろしく』(隅田靖 監督)より。子どもを育てる力は地域にこそある。

寺脇さんは、若い頃から破天荒な人だった。「俺はB級映画評論家だ。映画評論だけでは食えないから、役人やってるんだ」なんてことを言っていたのを覚えている。しかし、こうした衒奇的な言辞とは裏腹に、正しいと信じる政策を進めるときはなりふり構わぬと…

内田良、広田照幸、髙橋哲、嶋﨑量、斉藤ひでみ『迷走する教員の働き方改革』より。失われた日曜を求めて。

1960年代には多くの都道府県で、教員の超過勤務に対して残業代の支払いを求める裁判が続出した。その結果は、原告教員側の連戦連勝。裁判所は、教員も労働基準法の考え方でとらえるべき労働者である、という判断を下していたのである。(内田良、広田照…

西野精治さんの『スタンフォード式 最高の睡眠』より。90分の黄金法則 ≒ 黄金の3日間。

日本だと電車通勤が多いと思うが、よく席に座って眠っている人を目にする。 ちなみに電車内の仮眠はたいていノンレム睡眠だ。体がぴくぴくしたり眼球運動が出ない人の方が多いだろう。座ったままの不安定な姿勢では、そう簡単にはレム睡眠は出てこないのだ。…

門田隆将さんの『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の500日』より。イデオロギーと「人として」の意味と『Fukushima 50』。

国家のリーダーとしての孤独を、菅はこう語った。「あの一週間は、すぐ隣の公邸にも帰らずに、夜も総理執務室の奥の応接室のソファに、防災服のまま毛布をかぶって寝ていました。一人になった時は、こう頭に浮かぶわけですよ。日本はどうなるかな、と。まさ…

三浦しをんさんの『本屋さんで待ちあわせ』より。こういうときだからこそ、読書を。

本を読めば人格が磨かれ、知識が深まり、情緒が豊かになるかというと、そうでもないことは我が身で検証済みだ。むしろ、家に籠もる時間が多くなるので人見知りになり、脳内でこねる屁理屈だけは立派で、毒にも薬にもならぬ夢想に遊び疲れてさっさと就寝する…

隈研吾さんの『ひとの住処 1964-2020』より。武士道と云うは生きる事と見付けたり。建築と教育は似ている。

武士道の実現のために身を挺して働くことが求められ、設計事務所の若い所員たちの徹夜が美徳とされた。この武士道システムによって、日本の建築デザインのレベルは世界最高といわれるレベルに到達した。建設業界が世界最高の質の建築を生み出したように、建…