田舎教師ときどき都会教師

テーマは「小学校教員の働き方と生き方」&「本、旅、人」

吉本隆明『ひきこもれ』より。休めメロス。

たとえば太宰治は、小説の登場人物に、学校なんてものは、カンニングしても何でもいいからとりあえず出ておけばいいんだと言わせている。また、武田泰淳は、大学を中退した奴じゃないと信用しないと書いています。 勝手な言い草のようですが、それなりの確信…

浅生鴨、幡野広志、田中泰延、他『異人と同人』&「幡野広志のことばと写真展」より。たくさんの好きと「わぁーーー。」って瞬間。

朝起きたら雪が積もって街が真っ白になっていたとか、美味しいご飯を食べたときとか、知らない街を歩いていて大きな交差点に来たときとか、友達と遊んでいてたのしいときとか、好きな人と一緒にいてドキドキしているときとか。 そういう「わぁーーー。」って…

岩本麻奈さんの『人生に消しゴムを使わない生き方』より。同じことよりも違うことに価値を。

フランスは日本から見れば変わっている。試験の答案を鉛筆で書いたり、消しゴムで消したりするのを認めない。万年筆を使う。一度書いたものは(棒線で抹消しても)事実として残る。さらに奇妙なのは答案に「美しさ」を求めるのだ。数学で答えが間違っていて…

ウィリアム・カムクワンバ、他『風をつかまえた少年』より。教科書を読むって、大事。

朝食抜きということもなくなる。学校を途中で辞めるということも。風車があれば、暗闇と空腹という問題からついに解放される。マラウイでは、風は神さまがたえまなく与えてくれる数少ないもののひとつだ。風は昼となく夜となく木のこずえを揺らしつづけてい…

鴻上尚史さんの『不死身の特攻兵 』より。「空気」を読んでも従わない。

けれど、このあとも練習機を含む「全機特攻化」は続いたのです。 それでも、美濃部少佐の存在と勇気ある発言は、海軍におけるひとつの希望だったと僕は思っています。あの時代に、「精神力」だけを主張する軍人しかいなかったわけではない、心の中で反論する…

岩田健太郎さんの『食べ物のことはからだに訊け!』より。直観はバカにできない。

感性が鋭くなると、同じ食事に飽きてきます。あっさりした食事が好きな人も、たまにはこってりした食事を食べるのがアクセントになってくれます。逆もまた然りです。 このような食の多様性は、食に対する寛容を生み出してくれます。あれが食べたい、これは食…

外山滋比古さんの『「読み」の整理学』と髭ダンと無賃残業と無言給食。

十四世紀、イギリスに英詩の父と言われたジェフリー・チョーサーという詩人がいた。その詩の中に「彼は石のごとく読んだ」という一行がある。これはまぎれもなく黙読をしたことを示しているが、たいへん斬新な読み方をする文人、読書人であることを強調しよ…

鴻上尚史さんの『「空気」を読んでも従わない』より。「世間」ではなく「社会」を生きる。

「どこで恋人を見つけましたか?」という質問を日本人にすると、「学校」「塾」「バイト先」「勤務先」というように、知っている人がいる場所、つまり「世間」を挙げます。 欧米では、「公園」「列車」「銀行」「レストラン」「バー」という、知らない人が出…

幡野広志さんの『なんで僕に聞くんだろう。』より。エンドロールではない。

本当はたのしいはずの勉強を、相対的評価や成績やテストの平均点で、大人がつまらなくさせちゃったんじゃないかな。大人だって好きな趣味を相対的評価で成績つけられたら、上位の人はいいけど下位の人はイヤになっちゃうとおもうんです。子育てだって国から…

西智弘さんの『がんを抱えて、自分らしく生きたい』より。何もしないということを、する。

私は、研修医のころからたくさんの患者さんの最期を見続けてきて、いまは「何もしないということを、する」というのが良い場合があると思っている。医師として「何もしない」というのは勇気がいることだ。「もっとできることがあるのではないか」という罪悪…

岩田健太郎さん、他『有事対応コミュニケーション力』より。コロナウイルスと口調について。

僕は医者なので、自然科学側の人間としていつも思うんですけど、一般的に自然科学のエキスパートは、あまり即答、断言はしないものなんです。「どうすればいいんですか」と聞かれて、「それはこうすればいいんんですよ」って即答できる人は、あまり自然科学…

幡野広志さんの『ぼくたちが選べなかったことを~』より。安心と問いのハッピーセット。

「ぼくは写真のことしかわからないけど、なにかをやるときの技術って、全然たいした問題じゃないですよ。技術が上がるっていうのは、ただ『失敗の回数が減る』というだけのことですから。大事なのは、自分が好きなこと、自分で選んだことを、もっとわがまま…

映画『冬時間のパリ』を観てきました。不道徳を通して語ることの価値。

ここに愛し合う二人の男女がいて、幸せに、陽気に暮らしており、彼らの一人、もしくは二人ともが本当に優れた仕事をしていると、人々は、あたかも渡り鳥が夜間、強力な灯台に引き寄せられるように、その二人に確実に引き寄せられるものである。もしその二人…

太田哲雄さんの『アマゾンの料理人』と、磯野真穂さん&古田徹也さんの対談より。

僕が真っ先に訪れたのは、ベレン・アルタ地区にある市場だ。治安が悪いスラム街にあり、旅行者はなるべく近寄らない方がいいと聞くが、「この世のすべてが揃う」と評判のアマゾン最大の市場を素通りできるはずがない。 僕は旅先でよく市場に足を運ぶ。世界に…

岩田健太郎さんと岩永直子さんの『新・養生訓』より。養生は権利ではなく、義務。

もちろん日本語の情報も大切です。ですが、「日本の女性医師の状況はこうですよ」と説明するときに日本の情報しか見ておらず、「病院は忙しくて、力仕事も多いし、女医が入っていけるはずがないじゃないか」とネット上で指摘されていますが、OECDのデー…

磯野真穂さんと古田徹也さんの「本当が届き、本当が返ってくる」対談!

文化人類学者のクリフォード・ギアツは、私たちとは遠く離れたよその山あいで羊を守る人々が語る言葉の中に、人間として生きることの根源的な問いを忍ばせることが、文化人類学者の使命の一つだと述べている。このギアツの言葉にならい、私は「拒食や過食が…

加藤嘉一さんの『脱・中国論』より。武漢大学の学生さんとランベールと岩田健太郎さんと。

講義を無事に終了し、共青団の先生や学生たちと昼食を一緒にとった。その場にいたすべての学生が武漢以外の出身だったが、みんな武漢で生活し、学んでいることを誇りに思っていた。法律を学ぶ20歳の女子学生は、「武漢の歴史を理解し、母校の魅力を世界に…

岩田健太郎さんの『医療につける薬』を読む。教育につける薬もほしい。

(前略)ラグビーでは、いろんなポジションの人がひとつの目的のために一丸となって進んでいく。けれども今の状況は、医者対患者というような対立構造を生み出している。ラグビーチームであれば、味方の足を引っ張るようなことをするわけがない。そんなこと…

苫野一徳『ほんとうの道徳』より。教育問題は技術ではなく哲学の問題。

道徳科と学活の違いは、一般に次のように説明されます。道徳科の目標が主として道徳性を養うことであるのに対して、学活の目標は主に学級に関する課題を解決することである、と。目標が異なる以上、両者の教育は区別されなければならない。そうしばしば言わ…

岩田健太郎さんの『絵でわかる感染症』より。ポイントは感染経路。

感染症の原因は、しつこいですが、微生物です。いってみれば、微生物は物体、「モノ」です。 しかし、微生物は感染症の原因ではありますが、感染症「そのもの」ではありません。感染症は、人に起きる熱とか、咳とか、皮膚のぶつぶつとか、そういった「現象」…

岩田健太郎さんの『ワインは毒か、薬か。』を読む。仕事は毒か、薬か。

ぼく自身はこの「たばことアルコールはどっちがより悪いか」という問題についてはたぶん、どっこいどっこいだと思っている。微細な差はあるのかもしれないけれど、そんな「比較」は不毛な議論だとすら思う。健康への悪影響がある点、社会的に問題がある点に…

ブレイディみかこ、他『保育園を呼ぶ声が聞こえる』を読む。年休1。

そういえば、以前ヨガをやっている先生が、子どもの座り方のちがいが教育法にリンクしていると言っていました。イギリスの座り方はあぐらが基本です。保育園ではたとえば本読みの時間でも、子どもたちにあぐらをかかせます。日本では、手で膝を抱きかかえる…

内田樹さんの『そのうちなんとかなるだろう』を読む。仕事より家事育児を最優先。

学問的キャリアについては「諦める」ことをそのとき決心しました。もちろん研究は僕はやめるわけではありません。でも、研究成果がメディアに注目されるとか、書籍になるとか、そういうことについてはもう諦めることにしました。~中略~。 そして、すべてに…

岩田健太郎さんの『ためらいのリアル医療倫理』より。オワコン発言と、ためらいと。

僕は本書を「リアル」医療倫理と銘打ちましたが、医療倫理は(一部の神様みたいな極端な医療者ではなく)平均的な医療者が実行できる現実的なものでなければならないと考えています。リアルな医療倫理でなければ、それは絵に描いた餅になり、そこで偽善の温…

岩田健太郎さんの『「リスク」の食べ方』より。麻酔と宿題は似ている。

根拠のない不安感を打ち消すもっとも効果的な方法は、現実を見据えることです。しかし、現実を見据えることは簡単ではありません。それには勉強が必要ですし、あいまいで面倒くさいデータを解釈せねばなりません。そういう「根治療法」を無視して、とりあえ…

岩田健太郎さんの『99・9%が誤用の抗生物質』より。教室をなめんなよ。

従来型の医学部の授業は、ようするに「これはウォッカだぞ、飲んでみろ」と言われて「なるほど、たしかにこれはウォッカですね」と教え子が得心するようなものでした。こういうやり方をいくら繰り返しても、ブラインドテイスティングでは外してしまうのです…

岩田健太郎さんの『1秒もムダに生きない』より。今一番やりたいことを、やる。

しかし、そうこうしているうちに、臨床医学にどっぷり浸かって抜けられなくなりました。アメリカに行ったのは、人の紹介があったためでして、決して進んで望んで行ったのではなかったです。感染症を専門にしたのも成り行き、中国で診療所に勤める医者をやっ…

岩田健太郎さんの『予防接種は「効く」のか?』より。キャリア・パスポートは「効く」のか?

医学の世界では、森鴎外といえば、高木兼寛との「脚気の論争」で有名です。陸軍医師であった森鴎外は、脚気を感染症が原因だと「理論的に」推論し、海軍医師の高木は、栄養説、つまり栄養の欠如がその原因ではないか、という説を取りました。(岩田健太郎『…

ケン・ローチ監督の『家族を想うとき』と 坂口恭平さんの『cook』。

もともと僕は建築家を志望していたし、その後も建築のことを中心に何かを伝えようとしてきた。しかし、何か違和感を感じていた。何か違うと。 それが料理をはじめるようになって少しずつわかってきた。 僕が伝えたいと思っていることは外枠の建築ではなく、…

岩田健太郎さんの『感染症医が教える性の話』と「性教育の現場」より。

教育対象として大切だ、ということとそれをあからさまにしてよいか、という問題は別問題だ。同じにしてはいけない。(中略) 排泄はプライベート・マターであり、プライートなことを公の場で大きな声で口にするのは、そのプライベート性を否定することになる…