田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、旅行、映画」

出口治明、上野千鶴子 著『あなたの会社、その働き方は幸せですか?』より。これは余生だと思うこと。働き方改革はそれからだ。

上野 介護業界で非常に尊敬している研修のプロがいます。彼女と話した時、兵法には「戦略、戦術、戦闘」の3つがあって、戦略の間違いを戦術で補うことはできず、戦術の間違いを戦闘で補うことはできない。ところが、介護現場は戦略の間違いと、戦術の限界を…

猪瀬直樹 著『作家の誕生』より。全体像を掴んでから細部に進む。作家評伝三部作(三島、川端&大宅、太宰)を読む前に、是非。

作家という職業はなぜ生まれたのか。最初の自分探しは学歴エリートよりはじまるが、時間つぶしの余裕をもつ若者は時代とともに増えていき、今日のフリーターの原型のようなかたちで「文学青年」と呼ばれた一群が簇生する。しかし、彼らは生き抜かなければな…

柳美里 著『JR上野駅公園口』より。ひとりも見捨てないこと。コロナ禍の今だからこそ、想像力の一助に。

死に場所を探して上野公園で何日か過ごすうちにくたびれ果てて、五年間もここに居着いてしまった。 冬場は辛い。 夜は寒くてよく眠れず、昼の間にコヤから出て猫のように日溜まりを追いかけてうたた寝する日々は、かつては家族の一員であったことを忘れそう…

猪瀬直樹 著『欲望のメディア』より。想像力のスイッチを入れるために、ミカド三部作を読む。

いまや高柳健次郎の抱いたSF的な夢は技術的な努力の延長のうえに克服されたし、正力松太郎がとり憑かれた大衆を虜にする見世物は企業的に成功した。すでに僕たちはその結果を享受している。(猪瀬直樹『欲望のメディア』小学館、2013) こんばんは。すでに…

映画『NETFLIX 世界征服の野望』(ショーン・コーセン監督作品)より。涙とミステイク積み重ね野に咲くNETFLIX。ただひとつだけ。

描かれるそんな恐ろしさとは別に、作品に登場する人々はとてもチャーミングで愛せる人たちだった。現CEOのリード・ヘイスティングスがどんどん洗練されて「業界の大物化」していくのに対して、インタビューに答える元NETFLIXのメンバーたちは一様…

猪瀬直樹 著『土地の神話』より。コロナ禍なのに、なぜ満員電車に乗って通勤しているのか。私たちの自画像に迫る。

ロンドンと東京、二つの大都市にそれぞれ田園都市が生まれ、歴史を刻みながら成長をつづけた。レッチワースの第一田園都市株式会社の実務家たちはハワードに冷淡だったが、そのプランを葬り去ることはできなかった。あらためて思想とは強靱なものだと思う。…

内田樹、岡田斗司夫FREEex 著『評価と贈与の経済学』より。愛情の欠如が子どもの未来を逞しくするケースもある。

内田 セックスアピールって歴史の関数だから、時代とともに揺れ動くんですよ。イケメンのほうが社会的上昇の確率が高いという時代もあったのかもしれない。でも、いまは違う。贈与経済の話のときに岡田さんが言ったとおり、これからの時代、一番頼りになる人…

猪瀬直樹 著『東京の副知事になってみたら』より。まず書籍を読む習慣を身につけてもらうこと。人生はそれからだ。

僕は作家として、作家だからできることを考えた。直感の力、記録し伝える力、という武器を駆使した。ビジネスマンなら、エンジニアなら、公務員なら、中小企業の経営者なら、スポーツマンなら、男でなく女だから、それぞれができることを提案し、提案するだ…

猪瀬直樹 著『ミカドの肖像』より。西武って、何だ。子どもの頃の「問い」を大切に。

天皇をミカドという言葉に置き換えてみると、さながら外国人のように日本及び日本人の特殊な生態をつかみとることができはしまいか。 ついでに、彼らの鏡に映じた天皇制の痕跡を丹念に蒐集したらどうか。 そう考えて、僕はヨーロッパを「巡遊」したのだった…

國分功一郎 著『はじめてのスピノザ』より。実験を重ねて、喜びをもたらす組み合わせを見つけること。それが自由へのエチカ。

私にとって善いものとは、私とうまく組み合わさって私の「活動能力を増大」させるものです。そのことを指してスピノザは、「より小なる完全性から、より大なる完全性へと移る」とも述べます。完全性という言葉もこのような意味で使い続けようというわけです。…

中原淳、鈴木大裕、他『FUTURE EDUCATION 学校をイノベーションする14の教育論』(教育新聞 編)より。未来の教育に、酔う。

そもそもいまでも、学校から会社や組織に入ったときに、すごく「段差」がある。学校とリアルな社会では賢さの定義が違います。高校までは、教科書の範囲内で問題が与えられ、一人で解ければいい。これが学校での賢さです。でも、リアルな社会は違う。高度に…

苅谷剛彦 著『コロナ後の教育へ』より。不透明な時代だからこそ、現場からの帰納を。

このような演繹型思考で組み立てられた教育政策は、「現場に下ろす」ことが不可避となる。それゆえ、現場の理解が求められ、理解を進める「周知・徹底」が教育改革の重要な役割を担う。政策がうまくいかないのは、「周知・徹底」がうまくいかなかったからか…

妹尾昌俊 著『学校をおもしろくする思考法 卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』より。マグロにはなりたくない。

しかし、これからの学校の働き方改革では、教育効果があるもの、子どものためになることのなかからも、一定の優先順位を付けて、選択していくことが必要となってくると思います。具体的には、採点・添削の効率化、行事準備や清掃指導の見直し・短縮、部活動…

是枝裕和、ケン・ローチ 著『家族と社会が壊れるとき』より。教育が壊れるとき。児童を見つめるカメラを。

何が言いたいかというと、映画祭も、放送局も、またいま問題になっている日本学術会議にしても、いわゆる「公共」的な場における表現の自由とか、放送の自由、学問の自由というのは、やはり権力からの自由だと思うのです。 権力の介入をさせずに、純粋に、忖…

藤原章生さんと高野秀行さんのトークイベントに参加してきました🎵 その「個」はどこから始まっているのか。

するとほどなく、朝日新聞にこんな論調の記事が載った。テロの原因は貧困にある。武力による報復ではテロを根絶できない。テロをなくすにはまず貧困をなくさなければならない。 それを見たとき、私の中から自分でも驚くほどの怒りが湧いてきた。 机上の空論…

東浩紀 著『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』より。忙しすぎる学校に、誤配を。誤配を生む、時間を。

若いときには、ひとはだれでも世界を変えたいと思っています。でもそれはオルタナティブでありたいという思いとは関係ない。若者は先行世代を追い出せば業界が変わると考える。でもじっさいにはテレビも新聞もつねに新しいコメンテーターを必要としているし…

猪瀬直樹、東浩紀 著『正義について考えよう』より。日本には本来、正義があった。

東 僕はこの本を読んで、昔の猪瀬さんに久しぶりに会ったように感じました。高校生の頃、『ミカドの肖像』で猪瀬さんを最初に知り、それでファンになりました。あのノンフィクションは、東京をよく見るとプリンスホテルがいっぱいあるけど、あれは何だろうと…

出口治明、鹿島茂 著『世界史に学ぶコロナ時代を生きる知恵』より。コロナ禍を奇貨として、教育に劇的ビフォアーアフターを。

鹿島 このコロナ禍で僕が一番困ったなと思っているのが、留学にしろ旅行にしろ、海外に行けないから、自分の価値観がひっくり返るような体験をできなくなっていることです。僕は大学でいつも言っているんですが、一つしか知らないと何も生まれない。比べるも…

オードリー・タン 著『デジタルとAIの未来を語る』より。標準的な答えなんて、ない。標準的な教育も、ない。

父は、私に「標準的な答え」を与えようとはしませんでしたし、そんな答えがそもそも存在すると思っていなかったようです。あらゆる思考の機会で、一見標準的な答えのように見える場合、そこには必ずいくつかの前提条件が必要であって、その条件を満たしてい…

藤原章生 著『絵はがきにされた少年』より。土曜日も日曜日も働くなんて、大したものだと思いますよ。

仮に我々に、お金と暇があったら、どうするでしょうか。あなたの国に行ったり、欧州をくまなく歩いたりするでしょうか。そんなことしないと思いますね。多分、その山の向こうにさえ滅多に行くことはないでしょう。普段と大して変わらない暮らしをしている気…

ひろゆき 著『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』より。 教育の真実。「謎の慣習」に従い続ける人たち。

僕はこれまで、著書やSNSで「考え方」について述べてきました。でも、その前に、正しい知識は正しい知識として、ちゃんと伝えていかなくては、と思うようになりました。(ひろゆき『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』三笠書房、2020) こん…

猪瀬直樹 著『言葉の力 「作家の視点」で国をつくる』より。「作家の視点」でクラスをつくる。

文章とは何かというと、引用ができるか、内面に浮かんだことを、すでにある作品の表現や事実に結びつけられるかどうかがすべてです。引用をするためには読書が必要です。ある現象のバックグラウンドがわからなくては、いま起きていることとつなげることがで…

映画『アイヌモシリ』(福永壮志 監督・脚本)より。少年の成長譚。イオマンテと、葛藤と。

テイクを重ねてもうまくいかなかったある時に、幹人君から役の内面について詳細な説明を求められた時は気が引き締まる思いがし、撮影が続く内に彼が立派な役者へと成長していくのを感じた。(劇場用パンフレット『アイヌモシリ』大秦株式会社、2020) おはよ…

猪瀬直樹 著『天皇の影法師』より。なぜ森鴎外は元号にこだわったのか。

遺言は、こう続いている。「死ハ一切ヲ打チ切ル重大事件ナリ。奈何ナル官憲威力ト雖此ニ反抗スル事ヲ得スト信ス。余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス。宮内省陸軍皆縁故アレドモ生死別ル、瞬間アラユル外形的取扱ヒヲ辞ス。森林太郎トシテ死セントス、墓…

角幡唯介 著『探検家の憂鬱』より。教員の憂鬱。無意識のどこかで身体性の回復を欲している。

そんな子供たちは集団登下校に象徴される「鳥かご」の中で優しく育てられたので、無意識下で自分が傷つくことを何よりも恐れるようになり、全他人を慮り全他人から慮れるような、生ぬるい倒錯した人間関係が真実なのだと錯覚するようになって、躊躇なく声高…

米澤晋也 著『指示ゼロ経営』より。環境を整えた上で、リーダーが「何もしない」とうまくいく。まずは教員の労働環境を φ(..)

自律的という性質を考えると「作る」ではなく「なる」と考える方が自然です。 これは料理で例えるとわかりやすいと思います。 例えば「今夜の晩ごはんは野菜炒めを作る」と決めたとしましょう。そのために必要な食材を買ってきてレシピ通りに作ると野菜炒め…

猪瀬直樹 著『こころの王国 菊池寛と文藝春秋の誕生』より。学級担任や管理職に相応しいのは、夏目漱石ではなく、菊池寛。

ある作品を読んで、うまいうまいと思いながら、心を打たれない。他の作品を読んで、まずいまずいと思いながら、心を打たれる。ある作品を読んで、よく描けていると思いながら、心を打たれない。他の作品を読んで、ちっとも描けていないと思いながら心を打た…

角幡唯介 著『空白の五マイル』より。危機があるから、驚喜もある。

岸壁を高巻き始めたのが午後一時だった。ジャングルの中で格闘しているうちに日没が近くなり、あたりは次第に暗くなり始めた。高巻きを終えるのに二、三時間と考えていたが、一向に岩壁を越えられそうになかった。山のスケールを見誤っていたのだろう。川や…

角幡唯介 著『探検家の事情』より。10年後には、小学校の図書室の伝記の棚に角幡唯介さんの本がありそうだな。

ところが探検をあつかった本格的なノンフィクション作品では、こうした普段の小市民的日常は描けない。じつはこれは私にとってはけっこうストレスだ。私の探検という非日常は日常があることによってはじめて支えられているのに、ベースとなる日常を切断して…

映画『ミドリムシの夢』(真田幹也 監督)より。なんで目の前のベンツには違反切符を切らないんだ?

どう考えても、ミドリムシが悪いわけではない。だったら、我々がいまとっている方法が悪いのだ。それならば、改善すればいいじゃないか。(出雲充『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』ダイヤモンド社、2012) おはようございます。出雲充さんの…