田舎教師ときどき都会教師

読書のこと、教育のこと

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

百田尚樹 著『風の中のマリア』より。かぜのなかのマリアがわたしはすきですよ。

ミツバチのワーカーは日齢によって行う仕事が変わる。それは厳格に定められていて、例外はない。ミツバチが昆虫界で最も進化した社会性を持っていると言われるのはそのためだ。一方オオスズメバチの社会では、ワーカーに決められた役割分担はない。狩り、巣…

勅使川原真衣 著『学歴社会は誰のため』より。行くんだジョニー。誰かと共に。

しつこく問いましょう。私たちが気にして、必死で追っているのは、競争のための情報ですか? 共創のための情報ですか? と。(勅使川原真衣『学歴社会は誰のため』PHP新書、2025) こんにちは。昨日、劇団四季のミュージカル『バック・トゥ・ザ・フューチ…

渡辺健一郎 著『自由が上演される』より。「自由」は教えられるのか。

ランシエールは人間の意志がそれほど強くないことを知っています。好き勝手させておけば人が自由に学び始めるなどと楽観的なことは決して言いません。しかし教師は、生徒に対する特権的な知を有しているのではない、という態度を徹底しなければなりません。…

國分功一郎 著『手段からの解放』より。楽しむとはどういうことなのだろう。

目的が持ち込まれた途端に存在することをやめてしまう享受の快を剥奪することは、人間に病としての依存症への道を開く。社会がこのまま進み、すべてを手段化した時、我々はおそらく、これまで見たことのないような依存症に出会うことだろう。 人間から享受の…

増永菜生 著『カフェの世界史』より。歴史の勉強になります。

前述の通り、17世紀半ばのピューリタン革命を経て、イングランドには議会政治が定着しようとしていた。実際に議会に参加していたのはジェントリであり一般の市民たちではなかったが、市民たちは、コーヒーハウスに集まり交流し、政治について議論した。 ま…

横道誠 著『もしもこの世に対話がなかったら。』より。思いがけずポリフォニー。

大学教員の仕事がマルチタスクだというのは、ほんとうにそうです。かつての大学では「研究だけやっていて、教育も大学の管理運営もまともにしない」という教員がたくさんいて、そのような時代の大学は、自閉スペクトラム症の特性を持った人にとって天国だっ…

鈴木結生 著『ゲーテはすべてを言った』より。愛はすべてを混淆せず、渾然となす。

「愛はすべてを混淆せず、渾然となす」と今度は日本語に直してみる。そうすると、一寸はゲーテらしくなったか。そのとき、統一の念頭にあるのは勿論、ジャム・サラダのこと。愛はすべての事物を、ジャム的に混淆せず、サラダ的に渾然となす、とファウスト博…