田舎教師ときどき都会教師

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岩田健太郎 著『感染症医が教える性の話』より。なぜ美人は麻薬に手を出すのか?

 インフルエンザは咳やくしゃみで感染する。だから、マスクや手洗いでウイルスが身体に入り、感染を起こすリスクを減らそうとする。でも、マスクも手洗いも効果はそれほどでもないから、毎年たくさんの人がインフルエンザになってぼくらの外来に来る。かくいうぼくも、今シーズンは(生まれて初めて)インフルエンザになった。ワクチンも打っていたし、マスクも手洗いもばっちりだった(と思う)けど、防御策は完全じゃないんだ。
 とはいえ、実はインフルエンザには「完璧な」予防方法がある。
(岩田健太郎『感染症医が教える性の話』ちくまプリマー新書、2016)

 

 昨日、沢尻エリカさんが合成麻薬「MDMA」を所持していたとして逮捕されました。沢尻エリカさんに興味はないのですが、麻薬にせよタバコにせよ、そういった「禍々しい」ものに手を出す人と手を出さない人の違いには興味があります。沢尻エリカさんや、以前に下記のブログに書いた「ゴアで出会ったきれいなお姉さん」は、どういった教育を受けてきたのか、或いは、その後どういった労働環境を生きてきたのか。

 

 二人とも美人だからか?

 


 教育については、宮台真司さんの著書『まぼろしの郊外 ― 成熟社会を生きる若者たちの行方』が参考になります。麻薬解禁政策をとる、教育先進国オランダでの実験例が紹介されています。

 第1集団 教師が「麻薬はダメ」と価値伝達する。
 第2集団 教師が「麻薬はダメ」の理由を伝える。
 第3集団 結論を与えずに、ディベートをさせる。

 卒業後に麻薬に手を染めた割合が多かったのは、もうおわかりかと思いますが、当然、第1集団、第2集団、第3集団の順です。麻薬でもタバコでも、最大の歯止めは「自己決定」にあるという話。では、教育を受けた後に麻薬やタバコなどの「誘惑」に負けないためにはどうすればよいのか。医師の友人(♀)曰く「感染症医のプリンス」と呼ばれる岩田健太郎さんが、インフルエンザを例に紹介している「完璧な」予防方法が参考になります。極論ですが。

 

 以下、2年前の学級通信「Batoooon(バトゥーーーン)」より。

 

 感染症医が教える「完璧な」予防方法をとる前に、インフルエンザになってしまいました。人生で2度目、小学生のとき以来の感染です。毎年、娘に「パパだけ何で平気なの?  バカなの?」と軽口を叩かれるぐらい健康そのものだったので、今年も勝手にシロだと思い込んでいました。1月29日の月曜日、積み重なる連絡帳の上に「明日は我が身」という思いが重なり、学級閉鎖初日の火曜日に病院へ。結果、クロ。

 

「完璧な」予防方法とは?

 

 微生物(ウィルス)の自然発生説を否定した、パスツールの実験にヒントを得た方法です。白鳥の首の形をした特殊なフラスコに肉汁を入れ、煮沸し、微生物がゼロの状態にします。もしも微生物が自然に発生するのであれば、やがて肉汁は腐ります。しかし何日経っても肉汁は腐りません。フラスコの首が曲がっているため、腐るという現象を引き起こす微生物が入ってこられないからです。すなわち、感染経路が存在しなければ、感染症は発生しない。

 つまり、「完璧な」予防方法とは、家(フラスコ)に引きこもってしまえばいい、ということです。

 なるほど。でもそれだと退屈です。インフルエンザのリスクをゼロにするために家に引きこもれば、楽しくない毎日という別のリスクを抱えることになります。だから「完璧な」予防方法がとられることはありません。放っておいても人は寄ってくるし、何もしなくても人は去っていく。楽しい毎日って、そういうものです。

 

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ドラッグが身近な街。インドのバラナシにて(98)

 

  大麻(マリファナ)とラッシーを混ぜた「バングラッシー」なるものが普通に売られていたバラナシでも、私はそれを飲むことはありませんでした。沢尻エリカさんやゴアで出会ったきれいなお姉さんだったら、飲むだろうなぁ。飲まなかった私が偉い、と言いたいのではなく、飲まなかった私は勇気のないつまらない男だ、と伝えたいのでもなく、沢尻エリカさんもゴアで出会ったきれいなお姉さんも、女優とバックパッカーという差はあれど、二人とも美人ゆえに退屈だったのかもしれない、というのが言いたいことです。美人だからこそ、刺激が多くて、いろいろなことに飽きてしまったのかな(?)と。

 退屈だから人は過労死するまで働いてしまうし、禍々しいものにも手を出してしまいます。そして周りが見えなくなる。もちろんそれだけが要因ではありませんが。


 私はバラナシの街を歩いているだけで楽しかった。
 完璧な予防法は、あのときの感覚を忘れないこと。

 

 過労と麻薬は同床異夢。

 

 使い方が違うかも。

 

 

感染症医が教える性の話 (ちくまプリマー新書)

感染症医が教える性の話 (ちくまプリマー新書)

 
まぼろしの郊外―成熟社会を生きる若者たちの行方 (朝日文庫)

まぼろしの郊外―成熟社会を生きる若者たちの行方 (朝日文庫)