日本語を学ぶイスラエル人と話していて、ふと気づいたことがあった。
彼が言った。
「日本の小学校の国語のテストの問題は変! おかしい!」
と。僕は何が変なのか訊いてみた。
「だって、イスラエルやアメリカでは、テストの解答で求められるのは『筆者の意見』ではなくて、自分の意見だよ。日本のテストはおかしくない?」
(太田英基『僕らはまだ、世界を1ミリも知らない』幻冬舎文庫、2015)
こんばんは。今日は数年前の話から。学級通信に太田英基さんの上記の文章を引用して次のように続けたら、教頭(♂)の癇に障ったらしく、朝から壮絶なバトルに。時刻はまだAM7:00前。教頭も私も、時間外労働でおかしくなっていたのでしょう。
よく知られていることですが、イスラエルにはギャップイヤーという制度があって、兵役を終えた若者は、1年から2年、場合によってはもっと長く、「外国を見て回る」というチャンスを得ます。イスラエルは地政学的に陸の孤島となっていることから、井の中の蛙にならないようにと、若者が外の世界に出てパワーアップすることを、国を挙げて応援しているというわけです。
では、日本は?
残念ながら、同じ孤島であるにもかかわらず、ギャップイヤーの制度は話題にはなるものの、なかなか日の目を見ません。上記の本の著者である、企業家の太田さん(1985年生まれ)のように、制度に頼らず、個人で井の中から飛び出すしかありません。ちなみに、学生時代に「タダコピ」という斬新なサービス(コピー用紙の裏に企業広告を掲載することで、学生が無料でコピー機を使える仕組み)を立ち上げ、起業したことで知られる太田さんは、起業した会社を退職後、2年間50ヵ国の旅によって、(本を読む限り)かなりのパワーアップを遂げています。そのパワーアップした太田さんが「日本のテストはおかしくない?」というイスラエル人の意見に対して、何と答えたのか。
読書の秋。
世界を1ミリも知らないからこそ、子どもたちには本を手にとって、知らない世界のおもしろさに目を向けてほしいものです。
教頭の「怒り」はこうです。学級通信にイスラエルのことを書くなんてどうかしている。きみはあの国のことをよく思わない人がいるのがわからないのか(?)。あの国がこれまでにどんなことをしてきたのか知っているのか(?)。このお便りは出すべきではない💢
カッチーン💢
繰り返しますが、定額働かせ放題による疲労と寝不足で二人ともおかしくなっていたのでしょう。別に関係性が悪かったわけではないものの、大人げなく、強い口調で言い返してしまいました。じゃあ、国語の教科書に出ている『のどがかわいた』はどうなるんですか(?)。イスラエルが舞台ですけど。もちろん光村図書にも言ったんですよね(?)。あの国のことをよく思わない人がいるのがわからないのかって。あの国がこれまでにどんなことをしてきたのか知っているのかって。この教科書は出すべきではないって。まったく、そんな理由で「発禁だ!」なんて言われたら、ミッキーもイタマルも浮かばれませんよ。
まぁ、いいや。
さて、「日本の小学校の国語のテストの問題は変! おかしい!」ではなく、「日本の大学の英語のテストの問題は変! おかしい!」と、おそらくは数年前に誰かが言ったのでしょう。その誰かのひとことが「英語の民間試験を大学入試に活用する」という具体的なかたちとなって勢いづき、昨夜までは「次年度からいよいよスタート!」という流れが「変えられない未来」としてほとんど決定事項になっていました。
が、しかし。
昨夜、東北大は英語の民間試験をすでに拒否していますよ、さすが母校だ、というブログを書きました。書き終えたのが深夜0時近く。力尽きて寝て、今朝起きたら「英語の民間試験、延期」という一報。急な展開にびっくり。でも、母校も拒否していたし、よいことなのかなと思いながら学校へ行って授業して帰ってきて自宅パソでTwitterを立ち上げたところ、次の tweet に目がとまりました。
文科省にガッカリした。本気で。関係者の皆さん、今からでもなんとか方針転換を。5年前ぐらいから進めてきたプロジェクトを1年延長ならまだしも、ここから5年延長は度肝抜かれました。4技能化に向けて真面目に取り組んできた教員や学校や民間業者も全員「なんでやねん」ですよ…。
— 太田英基@留学のSchool With代表 (@mohideki) November 1, 2019
太田さんだぁ。逆のことを書いている。おもしろい。と思って次のようにコメントしたところ、太田さんが返事を書いてくれましたぁ。感激🎵
英語入試改革に対する太田さんの見方、考え方が、今回の「延期」を喜んでいる(多数の)教員のそれと全く違うようなので、世界はおもしろいなぁと思います。
— CountryTeacher (@HereticsStar) November 1, 2019
現場の先生方は勿論大変だと思いますし、準備不十分であれば1年延期は仕方ないかなぁと思ったのですが、5年というのに衝撃をうけました。今まで頑張って向き合ってきた生徒や教職員はなんだったのかと…。たまたま僕は仕事柄、そういった方と一緒になることが多いのもあるとは思います。
— 太田英基@留学のSchool With代表 (@mohideki) November 1, 2019
返信、ありがとうございます。そうですね、それぞれの現場で、みなさん頑張っているのだから、互いの現場に対する想像力を失ってはいけませんね。
— CountryTeacher (@HereticsStar) November 1, 2019
どちらが正しいのかなんて、どちらの現場も体験してみない限り、或いは対話しない限り、わからないものだなと思います。ひとつだけはっきりと言えるのは、一カ所に留まってガラパゴス化してはダメだということ。だからこそ、過労死レベルで働いているのはまずいなぁと思います。やっぱり、学校がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは(定時に)帰る。そして、動く。
僕らはまだ、世界を1ミリも知らないのだから。
3連休だ~🎵