田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

映画『エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジェケット』(南部充俊 監督作品)より。好きになる。夢中になる。生き方になる。

目に見える相手が必要とする分だけを供給すればよかった作り手は、市場の拡大とともに、次第に直接関係を持たない第三者に対してアピールする必要性に迫られる。資本主義の成立とともに、活用されるようになったのがデザインの力だ。成長の一途を辿る産業の…

映画『ラブ・セカンド・サイト』(ユーゴ・ジェラン監督作品)より。愛を手に入れたのに他に何を望む? これが答えだ!

その人にとって最も大事な人と出会わなかったら、その人の人生はどうなっていたのだろうと考えてみたんだ。その疑問の答えを探していると、結果的にこの映画の企画になった。男だろうと、女だろうと、独身でも恋人がいても、この人と出会わなかったら自分は…

宮台真司 著『崩壊を加速させよ』より。微熱の街と子供の領分と。もうひとつの世界へ。

遠い昔の話だと思われがちです。でも、視線が邂逅する街、見る・見られるが輻輳する街、「森」のような「微熱の街」は、『トロピカル~』のイサーンや90年代半ばまでのバンコクや渋谷のように最近まで実在しました。「森」だった街を実際に経験した僕ら世…

角幡唯介 著『極夜行』より。極夜の果てに昇る最初の太陽を見たとき、人は何を思うのか――。太陽と、出産と。

しかし私は極夜にひきつけられたのだった。気になってしょうがなかった。太陽のない長い夜? いったいそこはどんな世界なのだろう。そんな長い暗闇で長期間旅をしたら気でも狂うのではないか。そして何よりも最大の謎、極夜の果てに昇る最初の太陽を見たとき…

映画『ノマドランド』(クロエ・ジャオ監督作品)より。ランドの美しさがノマドの精神性を際立たせる。だからこそ……。

放浪が好きで、車上生活をライフスタイルとして選んでいるノマドの一群もいます。一方で、主流の社会からはじき出されて、放浪を余儀なくされている人たちもいます。そういう人たちは、新しい暮らし方と安息の場所を路上に見つけようとしています。私はファ…

竹沢うるま 著『ルンタ』より。歌は終わった、でもまだメロディは鳴り響いている。

その旅は私に大きな変革をもたらした。世界が広がり、多様な心の流れを知り、そして未知なる自分を多く見出した。自分の人生にとって、最も大きな出来事を挙げろと言われれば、私はこの世に生を受けたことと、この旅を挙げるだろう。前者は与えられたもので…

坂口恭平 著『躁鬱大学』より。非躁鬱人であっても「これは私のことだ」と思える「言葉」に出会えます。

われわれ躁鬱人は、完全に鬱になる前にカンダハシが指摘するように「しっかりしなければ」と考え始めてしまってます。もしくは「きちんとしなければ」という言葉を使う人もいるでしょう。ちゃんとしないと、とか、真剣に取り組まないと、とか、物事の深刻さ…

日垣隆 著『「松代大本営」の真実』より。時のふりかけと人のふりかけ。教科書の類は死ぬほど退屈でも、単純な問いから発する歴史探訪はめちゃうま。

あるいはまた「一億玉砕」に代えて、いきなり「一億総懺悔」を喧伝した東久邇宮首相らの偽善を糾弾する人々は多かったにせよ、40年には7193万人、45年には7215万人というのが厚生省統計による「日本の人口」であって、朝鮮半島と台湾の人口を足…

中原淳、小林祐児、パーソル総合研究所 著『転職学』より。ゴーギャンの問いかけに答えよう。青い鳥ではなく、学び鳥になろう。

転職とは、「自分に最適な場を探そうとすること」ではなく、「自分が場に最適に適応すること ―― すなわち新たに学び、変化する覚悟をもつこと」によってこそ、成功にたどり着けるものです。本書は、この信念に基づき編まれています。(中原淳、小林祐児、パ…

重松清 著『卒業ホームラン』より。努力ではなく、報われるという定義を考える。

パパの買ってくれたコーヒーは無糖ブラックだった。甘くないコーヒーを飲むのなんて、生まれて初めてだ。それに、たしかコーヒーはミルクを入れないと胃に悪いんだとなにかの本に書いてあった。 でも、まあ、いいか。 一口啜って、舌が苦さを感じないうちに…

東田直樹 著『跳びはねる思考』より。ありのままの自分で社会につながるということ。

―― 今、東田さんは「居場所がない」とおっしゃいましたが、東田さんの考える居場所とは、どういった場所なのでしょうか。東田 自分らしく生きられるところだと思います。おわり。―― 東田さんは、どういう時に、自分らしく生きていると感じられますか。東田 …

山口裕也 著『教育は変えられる』より。知識として「知っている」からこそ働く「見方」と「考え方」がある。

私の実感を込めて言えば、今、現実に起きているのは、官僚制を基礎とした縦割りによって責任の所在や対応の主体が曖昧になっていることだけではありません。程度差こそあれ、すべてのアクターが、公教育を自分の問題として引き受け、支え合うことがない。そ…

映画『THE REASON I JUMP』(ジェリー・ロスウェル監督作品)& 東田直樹 著『自閉症の僕が跳びはねる理由』より。心と体を大切に。

けれどこの本は、ただ情報を提供するよりも、はるかに遠くまで届く。見たところどうにも寄る辺ない自閉症児の体の中に、あなたの、私の、みんなの体の中とおなじ、好奇心にみちた繊細で複雑な心が閉じこめられているのだという証拠を、この本は提供してくれ…

小松理虔 著『新復興論 増補版』より。ローカルアクティビストの性 ≒ 先生の性。

福島では、差別やデマを排除したいと考えるあまり、想像力そのものを拒絶し、福島が誰かの作品になることを拒んできた。自分自身、数値やデータと深く関わり、科学的に理解できない人を排除しようとした時期があっただけに自省の念は強い。震災から七年。こ…

出口治明、駒崎弘樹 著『世界一子どもを育てやすい国にしよう』より。世界一教員が働きやすい国にしよう。

出口 「正規・非正規」「男性・女性」、ダブルの格差があるんですね。駒崎 そうなんです。非正規で女性となると、どんなに働いても貧困になります。これが諸外国との違いです。諸外国では貧困といった場合、失業問題をなんとかしなきゃ、となります。でも日…