田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

松田公太 著『すべては一杯のコーヒーから』より。Tully'sにて。誕生日おめでとうの前に、誕生日ありがとう。

次第に病状が悪化していくなかでも、母は自分のことより私の体調を気遣ってくれた。久し振りに父と暮らすことになった千葉・行徳から地下鉄を乗り継ぎ、銀座まで通うのも大変だったに違いない。それでも私に弁当を届けた後、客が少ないのを見ると心配して、…

中村哲、澤地久枝 著『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る アフガンとの約束』より。中村哲さんの死。父として、母として。

2001年10月、国会での中村医師の証言には、万感のこもると思われる一節がある。「(アフガンが直面する)餓死については、自民党だとか共産党だとか社民党だとか、そういうことではなくて、一人の父親、一人の母親としてお考えになって、私たちの仕事…

坂口恭平 著『モバイルハウス 三万円で家をつくる』より。誤魔化さない生き方を🎵

今回のモバイルハウス制作において、ロビンソンはただの協力者ではないのかもしれない、と僕はふと思った。この計画をきっかけにして、彼は徹底的に僕に対して技術を伝承しようとしているのかもしれない。 道具の使い方、家の建て方、空間の捉え方、そして誤…

坂口恭平 著『現実脱出論』より。現実脱出って、定住漂泊のことだなぁ。

このように人生初の海外旅行は、僕が知らぬ間に限定していた価値観の幅を大きく拡張してくれた。 しかし、これに味を占めて、その後もどんどん海外へ行ったのかというとそうではない。僕はもっといろんな世界を見てみたいと思うよりも、当たり前だと思い込ん…

坂口恭平 著『まとまらない人』より。まとまらなくて、いい。

「好きなものがわからない」とかも言うんだよね。でも「赤と青どっちが好き?」って聞けば「青」とかはっきり答えるからね。それなんだけど、好きなものって。なんで、でっかい、自分の人生を、すべて背負うようなものを、考えちゃうの? 青と赤、体動かすの…

真木悠介 著『気流の鳴る音』より。一匹の妖怪が日本を徘徊している。学校スタンダードという名の妖怪が。

人間の根源的な二つの欲求は、翼をもつことの欲求と、根をもつことの欲求だ。 ドン・ファンの生き方がわれわれを魅了するのは、みてきたように、それがすばらしい翼を与えてくれるからだ。しかし同時にドン・ファンの生き方がわれわれを不安にするのは、それ…

寺山修司 著『家出のすすめ』より。田中泰延さんに倣えば、服部龍生さんは「聴きたい音を、出せばいい。」

しかし、ともかく、わたしは自分を「それはわたしです」と言い得る簡潔な単独の略号をおもいつきません。ましてや、先生が生徒に、「君はだれ? 何する人? って聞かれたら、すぐ大きな声でわたしは何々です、と答えられるような人間になりなさい」 などと教…

105回目の投稿。松井博さん、坂口恭平さん、田中泰延さん、磯野真穂さんに感謝。

実際には、社会的にも政治的にも利害関係は複雑で錯綜しており、アテにしていた反応・反響が得られないことはしばしばあります。すべてを計算し尽くして行動することは不可能です。「やってみないとわからない」のが現実であり、何らかの行動を選択した後に…

川村元気 著『仕事。』より。香港とマカオの話。小学生のときに読書が習慣づくと、未来が笑う。

川村 ちゃんと戻ります(笑)。というのも、常に戻るために書いているところもあって、そこは旅のスタイルにも通じているんです。僕は10代の頃に沢木さんの『深夜特急』を読んでわかりやすく香港から旅を始めた人間で、いまだに1年に一度はバックパッカー…

磯野真穂 著『ダイエット幻想』より。ダイエット幻想&きちんとした社会人でありたい幻想を捨てたい。

ここでは外見を変える身体変工に注目しましたが、見かけをふるまいにまで拡張させれば、似たような事例はもっとあります。寝坊をしたら朝ご飯を抜いて会社に駆けつける、仕事を終わらせるためへとへとなのに長時間の残業をする。こういうふるまいもよくよく…

宮野真生子、磯野真穂 著『急に具合が悪くなる』より。急に具合が悪くなる。でもだからこそ、或いは、だからといって。

次々とふりかかる「かもしれない」の中で動きが取れなくなる。「死から今を照らして悔いのない生き方をする」ことについて宮野さんが感じる欺瞞や、次々とリスクが提示される中で「ふつうに生きてゆく可能性がとても小さくなった気がする」感覚は、こんな構…

田中泰延 著『読みたいことを、書けばいい。』より。思春期と父親の影響について。

文章を書くのに、本を1冊も読んだことがない人はいないと思う。いたら、それはそれですごい。わたしは、本に囲まれて暮らしていた父親の影響で、本屋さんと図書館が大好きな人間として育った。(田中泰延『読みたいことを、書けばいい。』ダイヤモンド社、2…

鹿島茂 著『悪の引用句辞典』より。ブログ100記事目。自分のために、読みたいことを、書けばいい。

では、こうした引用重視の文化はどこから来ているかといえば、それは『聖書』読解の伝統からだろう。かつて、神学博士たちは、自分の論述のほとんどを『聖書』からの引用で埋め尽くし、相手を論破しようと試みたものである。そして、その伝統はいまも脈々と…

遠山啓 著『数学入門(上)』より。シカクいアタマをマルくする円の授業と変形労働時間制について。

たとえば1170年に設計された代表的なゴシック建築であるパリのノートル・ダム寺院がそうである。上から見た平面図も、横から見た立面図も、すべて直線と円によって組立てられている。~中略~ したがって当時の建築師たちにとって、ユークリッドの『原論…

坂口恭平 著『独立国家のつくりかた』より。青山ブックセンターに行って、坂口恭平さんの話を聞いてきました🎵

つまり、僕は独立国家をつくったのだ。 自分の人生をただ自分の手でどこにも属さずつくりあげている。僕はそういう人間だ。 なぜ、そんな人生になってしまったのか。 それには理由がある。 それは、僕が幼い頃から抱えている質問に、誰も答えてくれないから…