田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

小西貴士、河邉貴子 著『心をとめて 森を歩く』より。親は親を、子どもは子どもを生きられる社会を。

重い とか軽い とかも大切かもしれませんが誰もが背負うことがあるのだと想うことが生きる者の根っこの 根っこです「芽吹きのささやき」 (小西貴士、河邉貴子『心をとめて 森を歩く』フレーベル館、2016) おはようございます。昨年の夏、都会教師時代の師…

坂本龍一 著『音楽は自由にする』より。音楽は自由にする。変形労働時間制は不自由にする。

若いころはいろいろうまくいかなかったけれど、年を取ったからこそ、また二人と一緒に音楽ができるようになった、ということかも知れない。だとしたら、年を取ってよかったと思います。ポール・ニザンじゃないですが、若さなんて、全然いいものじゃないんで…

柳沢幸雄 著『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』。父親が知らないとヤバイ「女の子」の育て方。

男の子が母親と話さなくなるのは、自分の世界を母親に理解させるのが面倒だからだ、という話をしました。しかしもうひとつ、人類の根本的な、そして無意識的な習性として、「ヒトは第二次性徴を迎えたら、異性の親とは本能的に離れていく傾向がある」ことに…

三遊亭圓窓 著『日本人が忘れちゃいけないこの落語』より。神戸の女帝(教師いじめ)の話よりも、世の中に伝えたい夏みかんの話。

だから《平林》なんてのは、もう即国語の勉強になる。ひとつ字でも、いろんな読み方が、音訓の読みわけもあるし、そうじゃないのもありますんでね。面白い。そして、読み方を間違えてもがっかりすることはないんです。総理大臣になれる可能性は残されている…

平田オリザ 著『下り坂をそろそろと下る』より。競争と排除ではなく、寛容と包摂の社会へ。

だが、本当に、本当に、大事なことは、たとえば平日の昼間に、どうしても観たい芝居やライブがあれば、職場に申し出て、いつでも気軽に休みが取れるようにすることだ。職場の誰もが、「あいつサボっている」などと感じずに、「なんだ、そんなことか、早く言…

畑村洋太郎 著『技術大国幻想の終わり』より。大川小訴訟と台風19号から考える、わたしたちの責任。

自然環境の変化は本来、なかなかわかりにくい問題ですが、近年はそれが実感できるほど明らかな変化が見られます。たとえば近年は、降雨、台風など、様々な気象現象が明らかに激烈化しています。~中略~。 首都圏では死者1000人強、罹災者40万人強を出…

畑村洋太郎 著『続・直観でわかる数学』より。小学校教員資格認定試験、全員合格? 志はどこに?

それにしても、私は昔からフシギで仕方がなかった。みんな、なんで大きい方から考えないんだろう? 細かいことから考え始める人が、じつに多いのである。多すぎるのである。そして、それは数学の世界でも当てはまるのである。小学校で習う筆算がその筆頭であ…

平野啓一郎 著『ドーン』より。分人主義と学校教育について考える。

《ドーン》みたいに、六人の人間が、ずっと一緒にいると、その間、たった一種類のディブしか生きられないでしょ? 宇宙空間のストレスは、本当なら、地上のあちこちに、自由にばら撒かれていたはずのディブが、発生する余地がないっていうことが大きいんだ。…

平野啓一郎 著『ある男』より。文学ワイン会「本の音 夜話」で平野啓一郎さんの話を味わった翌日。

颯太がどことなく不安定なのは、この二週間ほどのことだった。公文の宿題をやらないと香織が叱りつけるので、元々、過熱気味の幼児教育に否定的な城戸は、「足し算なんて、どうせそのうち出来るようになるんだから、今そこまでしてやる必要はない。」と息子…

平野啓一郎 著『マチネの終わりに』より。平野さんの話を味わった夜。文学ワイン会「本の音 夜話」にて。

トーマス・マンは、「偉大さと大衆との断絶」に言及して、ゲーテが死んだ時には、「大いなる牧羊神の死を悼むニンフたちの嘆きの声ばかりではなく、『ほっ』という安堵の溜息もはっきりと聞こえたのでした。」と語っている。ゲーテでなくとも、天才とは、周…

福岡伸一 著『世界は分けてもわからない』より。繁忙期と閑散期に分けるだって? 世界は分けてもわからない!

外科医のメスは、身体中をくまなく巡り身体から嗅覚という機能を切り出すためには、結局、身体全体を取り出してくるしかないことに気づかされることになる。つまり、この思考実験で明らかにされることは、部分とは、部分という名の幻想であることに他ならな…

成毛眞 著『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』より。40歳を過ぎていないなら、変化率の高い町で先生をやるのも悪くない。

もっとも好奇心を磨くのなら、旅行に行く場所も厳選しなければならない。 私は家族旅行では、変化率の高い街にしか行かなかった。(中略) 娘が大きくなってから、「ウチの親は先進国に連れていってくれたことはないんです。話のネタづくりのために、小さい…

本田直之 著『レバレッジ・リーディング』より。教員採用試験の面接のときに話したレバレッジ・エピソード。

レバレッジ(leverage)とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、英語で「てこ」の働きのことを指しています。かつて理科の時間に習った「てこの原理」のてこです。「てこ」を使うと、少しの力を加えただけなのに、重いものを軽々と持ち上げることができま…

徳川恒孝 著『江戸の遺伝子』より。参勤交代は「よかったね」。松井博さんのリプも「よかったよ」。変形労働時間制は「もう、やってられないね」。

彼らは帰国の時には少し都会風に粋になって、草紙や細工物、流行の刷り絵や簪をお土産にして帰って行きました。また翌年には次の若者たちが出てきます。これが二百四十年続いたのです。世間を知り見聞をひろめて視野を広くするその効果たるや、修学旅行の比…

安部公房 著『箱男』より。海の命と私たちの命。

ところが、眠り込んじゃった。工事用のローラーで敷きつぶされたみたいに、べったりと眠ってしまったんだ。おまけに、夢の見つづけで、夢の中では一睡も出来なかったから、さっきまで寝つづけてしまったのに、まだ睡眠不足なのさ。(安部公房『箱男』新潮文…