田舎教師ときどき都会教師

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柳沢幸雄 著『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』。父親が知らないとヤバイ「女の子」の育て方。

 男の子が母親と話さなくなるのは、自分の世界を母親に理解させるのが面倒だからだ、という話をしました。しかしもうひとつ、人類の根本的な、そして無意識的な習性として、「ヒトは第二次性徴を迎えたら、異性の親とは本能的に離れていく傾向がある」ことに注目すべきです。
 現在生存する人類は、異性の親と相容れないことで生き残ってきたといっても過言ではありません。
(柳沢幸雄『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』秀和システム、2017)

 

 おはようございます。諺に「東男に京女」というものがあります。あずまおとこにきょうおんな、と読みます。粋でたくましい江戸の男と、しとやかで女らしい京都の女は相性がよいという意味です。これに類する諺は他にもあって、例えば「伊勢男に筑紫女」や「越後女に上州男」なども知られています。

 

 東男と京女は相性がよい。

 

 これらの諺には科学的な根拠がある。そう話すのは工学博士の柳沢幸雄さんです。以前、柳沢さんの『「こどもと空気」の授業』という講演会に参加したときにその話を聞きました。開成中学・高等学校の校長先生であり、シックハウス症候群や化学物質過敏症研究の第一人者でもある柳沢さん。ハーバード大学でベストティーチャーに選ばれるほどの「ヤバイ」大人です。

 

【〇✕問題】
 パパッ子だった娘が思春期になって、「パパ臭い!」と近寄らない(涙)。育て方を間違えた?

 

 講演会の案内状に掲載されていた問題より。答えは「✕」ですが、思春期の娘二人をもつ身としては、「明日は我が身」感を拭えません。なぜ、パパに近寄らないなどという挙措が、どの家庭でも起こり得る不都合な真実として市民権を得ているのか。

 

 なぜなら、父と娘とでは、白血球の型が似ているから。

 

 柳沢さん曰く「血液型と同じように、白血球にもいろいろな型があって、その型が異なれば異なるほど、異性は互いのにおいをよいものとして感じとり、似ていれば似ているほどいやなにおいとして感じとってしまう」云々。だから思春期を迎えた女の子は父親のにおいに過敏に反応するし、地理的に遠い(すなわち白血球の型が似ていないであろう)東男と京女は惹かれ合うとのことでした。統計的な、ひとつの傾向として。なるほど。

 

 だから人は旅をするのかもしれない。
 地理的に遠い所にいる異性を求めて。

 

 柳沢先生の話を聞きながら、そんなことを考えました。

 

 

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カンボジアにて(01)

 軽トラックの荷台に乗って、国境の町ポイペトから観光の町シェムリアップへと向かう途中の写真です。砂と、風と、空を浴びながら。

 

 

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ベトナムにて(04)

 夜、ハノイの駅にて。ダナンに向かう夜行列車を、ひとり、待つ。こういう時間がたまらなく好きでした。

 

 もうすぐパパになるのかぁ。

 

 写真を眺めていたら、そんなふうに感傷に浸っていたハノイの夜が、ついこの間のことのように思えてきました。ハノイの夜からもう15年が経ちます。気が付いたら長女も次女も思春期のまっただ中に。育て方を間違えたとは思っていませんが(もっと時間を共有したかったとは思っていますが)、おそらくは二人とも白血球の型がわたしとそっくりなのでしょう。最近は、思春期がそうさせているのだろう、と思わなくてはやっていられない言動に凹むことがしばしばあります。

 

 パパ、次はいつ夜ご飯いらないの?

 

 凹みます。ママと長女と次女の女三人で夜ご飯を食べたいようです。パパ不要。柳沢さんの講演会と同じ時期に参加した、社会学者の宮台真司さんが主催する「男親の社会学」という連続講座で、宮台さんが「思春期前に関係がよくても悪くても、精神医学の結論としては、思春期に我が子からどう思われるかはわからない」と話していたことを思い出します。

 

 父親が知らないとヤバイ「女の子」の育て方。

 

 そんな本があったとしても、もう遅いなぁ。黒川伊保子さんの『妻のトリセツ』も、読み終わったときの「手遅れ感」といったらそれはもう「😭」だったし。やれやれ。神戸の「教員いじめ」の謝罪文のレベルではないけれど、いろいろと、

 

 ヤバイなぁ。