アダルトチルドレンという言葉にエンパワメントの機能があるという説明は、かんたんに納得できた。ぼく自身、じぶんの問題や境遇に名称が与えられて、大いに力づけられた。ぼくは親の良いところも知っているから、毒親とか親ガチャとかいう言葉には正直に言って、抵抗を感じる。でも、こういった言葉を使えることでようやく声を出せるようになる人もいることは充分に理解できるから、否定的に捉えようとは思わない。毒親の問題には遺伝性があると知った。ならば親子関係に介入し、子育てを支援する公的な体制づくりが必要だと思った。
(横道誠『アダルトチルドレンの教科書』晶文社、2024)
おはようございます。おそらくどこの小学校でもそうですが、6年生の子どもたちは、いわゆる「縦割り班活動」によって、毎月、ちょっとした自治を経験することができます。ざっくりいうと、
1~5年生は参加者で、6年生は主催者。
主催者って楽しいんですよね。だから、参加者よりも明らかに張り切っている。つまり、主催者は参加者よりもエンパワメントされやすいということです。自助グループを主催している横道誠さんは、そのことがよくわかっているのでしょう。わかっているからこそ、メタメソッドの場を作ろうと訴える作戦を『アダルトチルドレンの教科書』で採用したのだと思います。さらには発達障害の当事者として、ニューロマイノリティーという言葉に大いに元気づけられた過去をもっているからこそ、アダルトチルドレンという言葉がもつエンパワメントの機能にも注目できたのでしょう。
横道誠さんの『アダルトチルドレンの教科書』に《いずれにしても、これからも私は自助グループを運営していく。どこが回復のゴールなのかはわからない。しかし確実に言えるのは、自助グループを続けていると、私の心はとても安定しているという事実だ》とあり、主催者教育&自治の重要性を改めて思う。
— CountryTeacher (@HereticsStar) July 6, 2024
横道誠さんの『アダルトチルドレンの教科書』を読んでいる。HSPという言葉が広がったのは《繊細さにともなう「生きづらさ」に肯定的な物語を与えることができるから》とある。アダルトチルドレン然り、ニューロマイノリティ然り。この本が物語形式で書かれているのも、おそらくそういった理由から。
— CountryTeacher (@HereticsStar) July 3, 2024
横道誠さんの新刊『アダルトチルドレンの教科書』読了。巻末に《アダルトチルドレンを医学的な言説から眺めてみるという実験に取りくんだし、メソッドも大事にせよ、メタメソッドの場を作ろうと訴える作戦を採用することにした》とある。実験と作戦の全方位的な成功をここに報告します。#読了 pic.twitter.com/wQYKEKXlAE
— CountryTeacher (@HereticsStar) July 6, 2024
この本についてもまた、これまでの本と同様に、ポストをすると必ず横道さんがリポストしてくれるという、嬉しいパターンが繰り返され、大いに元気づけられました。横道さんは、
やさしい。
横道誠さんの新刊『アダルトチルドレンの教科書』を読みました。アダルトチルドレンこと「幼稚で未熟な大人」について、物語形式(講義+対話)で書かれた一冊です。老練で円熟したストーリーテラーである横道さんにとって、このテーマで物語ることは赤子の手をひねるようなものだったに違いありません。
って、間違えました。
アダルトチルドレンは「機能不全の家庭で育った人」のことです。横道さんが老練で円熟した大人であることは間違えていませんが、この本が記念碑的にユニークなのは、横道さん自身が、親による虐待、発達障害、宗教2世、それからPTSDといった「多重当事者」だからです。当事者の声は、強い。
横道さんも、アダルトチルドレン。
つまり、本の帯に《当事者研究、オープンダイアローグ的対話実践で、自分なりの回復メソッドを発見してください》と書かれたこの本を読むと、あなたがアダルトチルドレンで、現在、生きづらさを抱えていたとしても、老練で円熟した大人になれるための処方箋を教えてもらったり自分でつくったりすることができるというわけです。当事者が書いているのだから、その信憑性は、高い。
目次は以下。
1 アダルトチルドレンに関する基本事項
2 さまざまな回復モデル
3 当事者研究とオープンダイアローグの実践
1の「アダルトチルドレンに関する基本事項」には、例えば次のようなことが書かれています。
アダルトチルドレンの問題を最初に扱った本は、心理学者のマーガレット・コークが1969年に出版した『忘れられた子どもたち ―― アルコール依存症の親を持つ子どもたちの研究』(邦訳なし)ということになるようです。この本では、アダルトチルドレンという言葉は使われていないのですが、アルコール依存症の親を持つ子どもたちのことが、すでにテーマになっていました。
さすが横道さんです。教科書通りに、まずはアダルトチルドレンの歴史をおさえています。歴史は大事です。どれくらい大事かというと、近現代史の専門家である猪瀬直樹さんの話を、歴史の教科書を開き始めたばかりの6年生の子どもたちに聞かせたい(!)って思うくらいに大事です。
今日は七夕です。いつか横道誠さんとも授業でコラボできますように。で、歴史だけでなく、医学的な言説からもアダルトチルドレンの基本事項をおさえた後に、2の「さまざまな回復モデル」では、例えば次のような話が展開されます。
ミドリ ウィットフィールドは、アダルトチルドレンの中核課題のひとつを、人生がコントロールできないと考えていることにある、と論じていましたね。この課題が、ACAの回復モデルでは、もっとも中核的な課題として理解されていると考えられます。神あるいはハイヤーパワーに心身を委ねることは、コントロールに対する願望の断念にほかならないからです。
基本事項をおさえたあとに、モデルを、つまり理論を学ぶというわけです。ちなみにACAとは、アダルト・チルドレン・アノニマスの略で、アダルトチルドレンの自助グループのこと。理論を学んだ後は、
もちろん、実践。
実践では、そのACAのことが紹介されています。以下、3の「当事者研究とオープンダイアローグの実践」より。
リョウ それでは始めましょう。相談者はミナさん。私は司会をしながら、みなさんの発言の要点を、文字と絵と図でホワイトボードに書きだしていきますね。
うん、まるで授業記録のよう。さて、アダルトチルドレンの回復メソッドとして、あるいはメタメソッドとして、どんな授業が実践されているのか。アダルトチルドレンだけでなく、教員のみなさんの授業力向上にも役立つことが書かれています。ぜひ手にとって読んでみてください。
学期末で仕事に追われ、疲れています。
回復のメソッドを発見したい。