田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

柳治男 著『〈学級〉の歴史学』より。みんな同じ? みんな違う? 教師のコントロール欲求について考える。

パックツアーにせよ「学級」にせよ、制御工学的にいえば、フィードフォワード・コントロール(事前制御)の世界である。フィードバック・コントロールが、対象の変化に応じて制御を変えていくのに対し、フィードフォワード・コントロールとは、先まわりして…

ミヒャエル・エンデ 著『モモ』より。どろぼうにかじられない働き方を、すべての大人に。

時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしていることには、だれひとり気がついていないようでした。じぶんたちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようと…

鹿島茂 著『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』より。家族のかたち=小学校の夏休み作品展。

私からすると、トッドがトランプ当選を理にかなっていると言ったのには、もっと大きな理由があるはずのように思えます。 それは家族類型のちがいによる教育熱心の度合いの差が、ここに来て顕在化してきていることではないでしょうか? つまり、アメリカ合衆…

國分功一郎 著『中動態の世界』より。過労死という言葉を必要としない未来を、意志する!

ある単語の不在は、出発点ではなくて結果である。 たとえば、「オオカミ」という単語をもたない言語があるとすれば、それはその言語の使い手たちが、オオカミを特別に認識する必要をもたなかったからに過ぎない。認識の必要だけでなく、さまざまな事例ごとに…

中原淳、金井壽宏 著『リフレクティブ・マネジャー』より。対話の今と昔、中原淳さんのラーニングバーを思い出しつつ。

私がラーニングバーを始めたのは、アメリカ留学がきっかけだった。当時は、MITとハーバードのちょうど中間辺り、ケンブリッジのセントラルスクエアにアパートを借りて住んでいたのだが、毎日が知的興奮に満ちていた。その理由の一つが、両大学のキャンパ…

映画『新聞記者』(藤井道人 監督作品)より。正直、これはヤバイぞ。さて、どうするか。

「詩森ろばさんが書かれたシナリオは、政治サスペンスとして非常に完成度が高かった。そこに説明や補足を加えたり、逆に映像で語る手法を考えたりして、より広い層からのアクセスを集めるのが僕の役割でした。脚本作りの行程では原案の望月さんはもちろん、…

幡野広志 著『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』より。「残りの人生を楽しみます!」 VS.「 私は、絶対に負けません!」

もしも間に合うのなら、いろんな仕事をしている僕の友だちや知り合いを、息子に会わせたい。夢によって、叶えやすい働き方と、そうでない働き方もあるだろう。会社員のメリット、フリーランスのメリットも、実際にやっている人に聞いたほうがよくわかるだろ…

隈研吾 著『僕の場所』より。コミュニケーションの本質とは? 職員室から遠く離れて。

大学院で原研究室に進んで驚いたのは、いつ行っても研究室に誰もいなかったことです。ゼミなんていうものもなくて、原先生は学生のことにはまるで関心がなく、自分のことにしか関心がありませんでした。先生も先輩もいなくて、研究室は面白いほどに静かでし…

藤原新也 著『印度放浪』より。歩むごとに見えてくる虚偽。所変われば教育変わる。

歩むごとに、ぼく自身と、ぼく自身の習って来た世界の虚偽が見えた。(藤原新也『印度放浪』朝日文庫、1993) こんばんは。8月が終わってしまいました。この夏は家族で沖縄に行ったことがいちばんの思い出です。家族としてははじめての、個人としては10年…

國分功一郎、古市憲寿 著『社会の抜け道』より。遊びと学びと退屈から考える「働き方改革」。

國分 うまく遊べないときに、人は退屈する。だから、うまく遊べなかったり、楽しめなかったりすると、人は外から仕事や課題を与えられることを求めるようになる。自ら自由を捨てて、何かに従いたくなる。人間が従属へと向かう契機の一つには、自分で楽しめな…

沢木耕太郎 著『深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海』より。自信と鈍感さを携えて、中堅&ベテラン教師の旅。

今このイスタンブールでも、思いがけない成り行きから名前も定かではないオンボロ宿に泊まり、これからどうなることやらと考えている。 しかし、同じような状況にありながら香港の時のような湧き立つような興奮がないのはなぜだろう。(沢木耕太郎『深夜特急…

為末大 著『走る哲学』より。夢中は自由の中にしかない、だとすると……。

何かを達成したアスリートの足跡を見て、それが努力の集積に見えてしまいがちだが、ほとんどの場合それらは夢中の結果である。だから努力は本質ではない。努力は夢中の副産物。 最もやってはならないのは夢中の子どもに、夢中の仕方を押し付ける事である。夢…

鍋島祥郎 著『効果のある学校』より。田舎教師と都会教師の違い ~保護者編 その2~。

不平等な社会においては、学校はしょせん不平等を再生産する装置にすぎない。著者たちの真意はともかく、これがコールマン・レポート(Coleman etal. 1966)、およびジェンクスの『不平等』(Jencks 1972)という著書が提示した学校観であった。エドモンズの…

星野道夫 著『魔法のことば 自然と旅を語る』より。田舎教師と都会教師の違い ~保護者編 その1~。

あるいは村でいちばん話のうまい老人が冬の夜長に子供たちにせがまれて、昔話をする。おもしろいストーリーの中に子供が知っておくべき自然の法則や倫理が巧みに配置されていて、それを聞きながら子供たちは大人になるための心得を身につけた。老人の話を聞…

見田宗介 著『社会学入門』より。ただ「生きられた」時間を、毎日の生活の中に確保すること。

バザールだけでなくてたとえばバスを待つみたいな時間でも、田舎だったら「午前」に一本、「午後」に一本くるというバスを日だまりで待っているうちに、ペルーでこちらが日本人ならフジモリ大統領に似ているとか似ていないとかいう話題で、すぐにみんなで盛…