三浦 私が猪瀬さんを好きなのは、相変わらず進歩することを信じているからです。猪瀬 僕が未来を信じようとしている思いは、日本の近代について考え続けた、その責任感から生まれた。(三浦瑠麗、猪瀬直樹『国民国家のリアリズム』角川新書、2017) こんばん…
この土地で「なぜ20年も働いてきたのか。その原動力は何か」と、しばしば人に尋ねられます。人類愛というのも面映いし、道楽だと呼ぶのは余りにも露悪的だし、自分にさしたる信念や宗教的信仰がある訳でもありません。良く分からないのです。でも返答に窮…
ところが2017年におこなった探検がきっかけとなって私の物の見方は大きく変わってしまい、結果、現実とはカオスであること、そしてこれを直視しないためにわれわれは未来予期にすがって生きているのだ、と認識するようになったのである。というのもその…
猪瀬 先日、高松宮宣仁が亡くなりました。すると、新聞の論調は、たとえば「銀座にお忍びでお出かけになる気さくな宮さま」とか「一個七十円の大福餅を食べた庶民的な宮さま」というふうに傾斜していくんです。これはいったいどういうことなのか。一種の〈放…
宮台 そうなんです。これはおもしろいですよね。経済的に裕福な人たちが、自分たちの経済的なゲームを支えてくれる大統領は誰かというと、マケインではなく、オバマだと。「オバマのように社会の保全に関心を持つ人間がいないと、最終的には自分たちの経済ゲ…
つまり、人間には「統治する側」と「統治される側」があるが、日本文学の系譜において、森鴎外側が途切れてしまった。夏目漱石自体は偉いが、漱石の系譜はだんだんと私小説のほうに流れてしまい、結局、太宰治になってしまった。昭和の戦争に至る過程におい…
そういえば、教室リフォームのとき、一生懸命科学コーナーをつくっている友だちの横で、イケッチは図鑑を読んでいた。でも、そんなイケッチに目くじらを立てずに、それぞれの仕事をやっていると、そのうちイケッチも働きはじめる。そういう緩やかさは大事に…
利害関係なく頼れるのは親くらいだよ。昔から母はよく言い、その恩着せがましい言い方に、親なら当たり前だろうとでもいうような反応しかできなかったが、教師になってからは、それは決して、当たり前のことではないと理解できた。頼れる親が、実際に頼りに…
わたしたちは、会いたいのだ。いま、その意味を、考えるいい機会だと、わたしは思う。(田中泰延『会って、話すこと。』ダイヤモンド社、2021) おはようございます。学生時代に観たアングラ演劇の「会おうと思えばいつでも会えると思える人には絶対に会えな…
「ビートルズのポール・マッカートニーは、最初の結婚のとき、子どもを4人ともふつうの公立の中学に行かせたらしくて。デザイナーのステラ・マッカートニーのインタビューを読んだとき、彼女は最初、セレブリティーのくせに私立に行かせてくれなかった親の…
『キッド』に影響されてデ・シーカは『自転車泥棒』を作りました。アントニオとブルーノが路上に並んで座るシーンは『キッド』へのオマージュです。そして、『自転車泥棒』に影響されてケン・ローチやダルデンヌ兄弟は映画を撮り始めました。是枝監督もまた…
僕が東京都副知事だったころ、笑ってしまうような出来事がありました。茨城県の副知事から相談を受けたのです。彼は上野駅のコンコースで納豆フェアをやろうとしたが東京都の役人が待ったをかけた、おかしな話だから何とかしてほしいと言います。どういうこ…
改革は百点でないがゼロ点でもない。百点でなければ辞任、とはおかしい。それならすべての審議会の委員は全員辞任しなければいけないことになる。表向きの美辞麗句の裏に隠された真相を実証的に解明するのがメディアの役割ではないのか。アガサ・クリスティ…
数年前、オランダの小学校に参観に行ったときのこと。その学校には宿題がないというので驚いた。理由をたずねるとおおよそこんな答えだった。 『学校でのことは学校で終えるべき。おとなになって仕事をするときも職場で決まった時間のなかで終わらせることが…
なんのことかといえば、私が大学で教えているフランス文学というのはファム・ファタルと呼ばれるスーパー・ウッフンの登場する小説ばかりなのですから、少し、力点の置き方を変えてやれば、「フランス文学史」も「フランス文学演習」も、そのままファム・フ…