田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

沢木耕太郎 著『無名』より。結局、親。やっぱり、育て方。

父が松原団地の病院に入院して、私が初めてひとりで看病することになった夜だった。 私は仰向けになって眠っている父の横顔を眺めながらぼんやりと考えていた。父と二人だけの行動というのがどれくらいあったか。父と二人で旅したことは……ない。父と二人で凧…

岩田健太郎 著『ぼくが見つけたいじめを克服する方法』より。昨夜、マル激に岩田健太郎さんが出ていました~🎵

私が他者とは違う。それは当然のことだ。当然のことが当然のこととして了解される。個人の中でそれが了解され、仲間のあいだでそれが了解される。 社会全体の中で「違い」が認識され、了解され、許容されるとき、現在も続く、昭和の時代からの「いじめの構造…

中村文則 著『逃亡者』より。なぜ神は沈黙しているのか。

なぜ神は、自分の信者が行う蛮行にまで、沈黙なさっていたのか。被害だけでなく、信者が加害者になることまで沈黙するとは、どういうことなのでしょうか。 フランスのヴェトナム植民地支配。元々は、キリスト教圏のヨーロッパ諸国による、大航海時代に遡りま…

メイソン・カリー 著『天才たちの日課』より。天才=クリエイティブ。クリエイティブ=子供。天才=子供。

「私は毎日書かなければならない。それは成果をあげるためではなく、習慣を失わないためだ」。これはロシアの文豪トルストイが1860年代の半ばに書いた数少ない日記のなかの一文で、『戦争と平和』の執筆に没頭していたころのものだ。トルストイはその日…

下川裕治 著『日本を降りる若者たち』より。日本では人に出会えない。昔も、そして今まさに。

「ゲストハウスの人間関係が好きなんです。長くいる人もいるけど、基本的に旅行者でしょ。あるとき、宿で一緒になって、いろんな話をして、そしてそれぞれの目的地に旅立っていく。そういう関係っていうのかな。近づきすぎず、遠すぎずっていうような関係、…

岩田健太郎 著『新型コロナウイルスの真実』より。感染症と向き合うために、考え続けるという心構えを。

職場もだいたい、人員的にギリギリな状態ですよね。本来は、いざというときのために余裕を持たせておくべきなんですよ。11人だけのサッカーチームなんてないでしょう? 誰かが怪我したり病気になったときのために、常にサブのメンバーを用意して、30人ぐ…

ひろゆき 著『1%の努力』より。1%のひらめきがなければ、99%の努力は無駄になる。

子どもが多くて、みんなが貧乏でヒマだった。 その地域全体で子育てをする感覚があった。よその家の子どもをみんなが知っているので、友達の家でごはんを食べたり、泊まり合ったりした。 いまでいうシェアハウスの原型のような「支え合い」がすでにあった。 …

カフカ 著『絶望名人カフカの人生論』(頭木弘樹 編訳)より。絶望しているときには、絶望の言葉が必要である。

結核はひとつの武器です。 ぼくはもう決して健康にならないでしょう。 ぼくが生きている間、どうしても必要な武器だからです。 そして両者が生き続けることはできません。カフカ『絶望名人カフカの人生論』頭木弘樹 編訳、新潮文庫、2014) おはようございま…

藤原正彦 著『心は孤独な数学者』より。孤独の中で好きなことに没頭する。ピンチをチャンスに!

ウールズソープ村に帰省していたこの時期に、二十代前半の青年ニュートンは、何と微積分法、光と色に関する理論、万有引力の法則という、三つの大理論の端緒を発見したのである。ペストによる大学閉鎖が、若き天才を雑務から解放し、孤独の中で研究に没頭す…

ひろゆき 著『なまけもの時間術』より。自由な時間を生きることで、他にはない自分だけの価値を生む。

まずは「自分の自由な時間」を作らない限り、他にはない自分だけの価値なんてものをつくり出すことはできないだろうと思います。何より、好きなことがあるのなら、それをする時間が長いほうが生きていて楽しいですよね。 ブラック企業に勤めていて、そんなこ…

内田樹 著『サル化する世界』より。休校だけど、学童はOK。どう思う?

アメリカの方は、日本に勝った後にどうやって占領するかの計画を早々と立案していた。日本人のものの考え方とか組織の作り方とかを戦時中に学者に委託して研究しています。卓越した日本人論として今も読み継がれている『菊と刀』はルーズベルトが設置した戦…

映画『三島由紀夫 VS 東大全共闘 50年目の真実』(豊島圭介 監督作品)より。圧倒的な熱情と、圧倒的な面白さ。

人間というものは刀を突きつけられると、よし、おれは死んでもいってやるのだ、「板垣死すとも自由は死せず」という文句が残る。しかし口だけでいくらいっていても、別に血が出るわけでもない、痛くもないから、お互いに遠吠えする。民主主義の中には偽善と…

井上ユリ 著『姉・米原万里』より。緊急事態宣言で生まれた時間が「夢中」を生む、かもしれない。

姉は気に入った本があると、電話してくる。そして、情熱をこめて勧める。遺した書評を読むと、電話のときの気合いの入った息遣いが聞こえてくるようだ。わたしも気に入った本は万里に勧めた。大人になってから、ふたりで話すことといえば、食べ物のことか本…

中村文則 著『私の消滅』より。過去に損なわれる未来と、未来に救われる過去。教育は過去ではなく、未来を問う。

アリストテレスという古代の学者が、神に変えられないのは過去だけだと言ったらしい。では神は無能だ。人間は違う。過去が積み重なり現在になる。それがこの世界の成り立ちで常識というのなら、僕はそれを拒否する。そもそも、なぜ人は悲劇を経験しなければ…

本庶佑 著『幸福感に関する生物学的随想』より。幸福感を高め、免疫力を高め、コロナクルナ。

幸福感も相対的な感覚に基礎を置いていることを考えるならば、安定した状態の中での差を認識することが永続的な幸福を保証するものではないかと思われる。つまり、不快感のない安らかな心の状態に達した上で、時折の軽い不快感によってそのありがたみを確認…