田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

沢木耕太郎 著『檀』より。過ぎやすい人生の悲しさを知っていればこそ。

みんな元気ですか。ロンドンに十五日居り、パリに着いてから、もう二十日になります。木賃宿にとまったり、豪華ケンランのHOTELにとまったり、面白いですよ。あなたは人生を楽しむことを知らないから、是非共、欧米に来てみたらいい。みんな堂々と、接…

沢木耕太郎 著『凍』より。圧倒的な「凍」の世界で、待つということ。

何事も、あるていど長く続けているとマンネリになってしまうところがあるのかもしれない。経験することに新鮮さを失ってしまう。すべてはすでに経験しているという感じを持ってしまうのだ。以前は遠くに発生する大きな雪崩を見ただけで感動したりしていたが…

村上龍、村上春樹 著『ウォーク・ドント・ラン』より。自分をくっきりとさせる出会い。

ある作家の出現で、自分の仕事が楽になる、ということがある。 他者が、自分をくっきりとさせるのである。 ただし、そのためには、他者に相応の力がなくてはならない。(村上龍、村上春樹『ウォーク・ドント・ラン』講談社、1981) おはようございます。いざ…

吉本隆明 著『ふたりの村上』より。学校、再開するってよ。かっこう。

(前略)そういえば「僕」という主人公も、フリー・ライターで三十四歳の独身の男の子にしては、できすぎている。つまり作者の精いっぱいの理念と感性と資質を与えられて、作者の理想と等身大になっている。社会的には比較的自由なゼロにセットされているの…

関良則 著『奇跡の軌跡』より。臨時休校の軌跡を5月の頭まで描き続けてほしい。

大事なのは、こうした情報を地域で共有することである。特定の旅館だけが情報を独占していても意味がない。自分だけ良ければいいという発想は、結局、四万温泉全体の利益をそこない、結局、自分もつぶれていってしまうことにつながるからである。むしろ、積…

山本つぼみ 著『あたらしい高校生』より。ふるい高校生(?)に伝えたいこと。こんな生き方もある!

この本を書くにあたり、私を育てる上で何か教育方針はあったのか父に聞きました。 すると、ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの父親がTEDトークで語った教育方針と、偶然にも自分の教育方針に通じるものがあったと父は言っていました。(山…

高濱正伸 著『ステキな大人の秘密』より。高橋祥子さんや出雲充さんなど、ステキな大人の秘密を探ろう。

考えることはエネルギーを消費するから、考えなくてもいい状況で考えるのは、生物的に不可能なんです。カオスな環境に行くとか、思い通りに行かない経験をすることで初めて考えられるし、いろいろなものが見えてくるのだと思います。(高濱正伸『子ども時代…

村上龍 著『MISSING 失われているもの』より。MISSINGを表現に昇華できる人と、そうでない人。五年後の世界を変える。

離れようとしている人間を引き留めることはできない。たとえ親子でも夫婦でも兄弟でも恋人同士でも、どれほど親しい間柄でも、他の人には、他の生き方があり、意に添わないことでも、認めなければいけない場合がある。それは、母から学んだ。母は教師として…

赤坂憲雄 著『ナウシカ考 風の谷の黙示録』より。コロナと腐海と教え子たちとの再会と。

そこにはいわば、喰う/喰われる関係が、極限の愛のかたちとして投げだされていたのかもしれない。王蟲と粘菌とが合体して腐海の森をあらたに創造する現場には、さらに壮大なスケールをもって、この喰う/喰われる関係をめぐるドラマがくり広げられているは…

200回目の投稿。坂上香さん、寺脇研さん、斉藤ひでみさん、松井博さん、幡野広志さん、西智弘さん、磯野真穂さんに感謝。他にもたくさん感謝。

「あのね、たとえば新聞紙を二十五回折ったら、どれくらいの厚さになるか分かる?」彼女は急にクイズを出してくる。 おばさんの話題の展開についていけない、と私は降参しそうになるが、それも我慢した。二十五回折り重ねた紙を想像し、「五センチくらい?」…

沢木耕太郎 著『危機の宰相』より。現代の「危機の宰相」はグッド・ルーザーになれるのか。

その年の六月を境にして変化したのは私だけではなかった。日本の社会全体が大きく変わっていったという印象がある。潮が引くように何かが去っていったという感じを受けていたのだ。 どうして変わってしまったのか。それについて、やがて私はぼんやりとしたイ…

日垣隆 著『父親のすすめ』より。父として考える。

その後もまた居間のソファで息子が二時間くらいボーッとしたままだったので、さすがに怒りました。「お前、いい加減にしろ。日曜日を何だと思ってるんだ」と。ものすごく怒ったわけです。こちらは何とかこらえて、お昼までは我慢に我慢を重ねていたのだけど…

小田実 著『何でも見てやろう』より。「何でも見てやろう」主義は、教養主義の勧めであり、多比の勧めでもある。

出かけるにあたって、私は一つの誓をたてた。それは「何でも見てやろう」というのである。これは、行くからには何でも見ないとソンや、といういかにも大阪人らしい根性からでもあるが、もともと、私は何でも見ることが好きな男であったのである。それは私の…

岩田健太郎 著『「感染症パニック」を防げ!』より。発信と行動によって「残業パニック」を防げ!

リスク・マネージメントの途中においても、くり返し「目的」を明確にします。なんのために感染対策を行っているのか。その目的に今の行動は合致しているのか、を確認します。 ともすると日本人の場合、「がんばること」そのものを目標にしがちです。徹夜でが…

映画『プリズン・サークル』(坂上香 監督作品)より。他者の本音に耳を傾けることからしか出発できない。

(中略)たしかに言論を超えた真理も存在しよう。そしてそれらの真理は、単数者として存在する人、いいかえると、他の点はともかく少なくとも政治的存在ではない人にとっては、大いに重要であろう。しかし、この世界に住み、活動する多数者としての人間が、…