田舎教師ときどき都会教師

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坂口恭平 著『お金の学校』より。お金=経済=大丈夫、きっとうまくいくよ。子育てや義務教育に必要なのは「大丈夫、きっとうまくいくよ」。

 楽しむってのは、一つの技術でして、このお金の学校では、お金の話をベースにして、いかに楽しむか、いかに好きになるか、ってことを僕は実は伝えたいのですが、のっけから楽しいこと、なんていうとみんな思考停止に陥っちゃうので、楽しむことに慣れてない人に伝える時は「やりたくないことは絶対にしない」と伝えます。
(坂口恭平『お金の学校』晶文社、2021)

 

 おはようございます。楽しそうに生きている保護者や地域の大人を総合的な学習の時間に呼んで子ども時代のことだったり大人になってからの「好き」や「仕事」だったりを15分ほど語ってもらった後に30分ほど質疑応答の時間を設けるというざっくりいうとそんな流れのなんちゃってキャリア教育を臨時休校&分散登校が終わった昨年の7月から始めて年明けの2月まで続けたところ小学5年生の子どもたちが「今度は『自分の好き』を語りたい」っていうので3月に Chromebook のスライド(PowerPointみたいなもの)を使って一人ひとりに「自分の好き」を語ってもらったところこれがまた大人顔負けのクオリティーでメッチャおもしろくて「僕は閏日に興味があるのでカレンダーを使って閏日と曜日の関係について語ります」なんていう目の付け所がシャープというか誰も興味をもたないようなことを目を輝かせながら話す子がいて「いかに楽しむか」「いかに好きになるか」の技術を磨くためには「いかにおもしろい大人を子どもたちに出会わせるか」にかかっているのかもしれないなって一文がちょっと長くなってしまったけれどとにかくそう思いました。

 

 流れていますね。

 

お金の学校

お金の学校

  • 作者:坂口恭平
  • 発売日: 2021/02/22
  • メディア: 単行本
 

 

 坂口恭平さんの『お金の学校』を読みました。お金とはモノではなく「流れ」であり「複数」であり「時間」であり「畑」であり「人間関係」でありって『まとまらない人』の本領発揮でお金のことが「ゆく河の流れ」のように書かれていて「どうやってお金を手にするのか」ということを楽しみながら哲学するにはうってつけの一冊といえます。ちなみに哲学者であり教育学者であり坂口さんと同じエリアにある畑を借りているという熊本県民の苫野一徳さんがいうには哲学とは《「本質」を洞察することで、その問題を解き明かすための「考え方」を見出す営み》とのこと。

 

 では、お金の本質とは?

 

お金=経済=「大丈夫、きっとうまくいくよ」と声をかけてあげること

 

 坂口さんはそのように洞察しています。経済は「経世済民」の略語です。すなわち民衆を救うのが経済です。民衆を救うといえば坂口さんがひとりでやっている「いのっちの電話」がまさにそれではないでしょうか。知らない人のために簡単に説明しておくと死にたい人がいつでもかけていいという坂口さん直通の電話サービスです。サービスだから自腹です。

 

 苦しいときは電話して。

 

 番号が公開されていて既に2万人以上もの命を救っているのに誰からも「お金」はもらっていないとのこと。0円ハウスならぬ0円デンワを続けるためのカラクリは『お金の学校』に譲るとして、いずれにせよ「いのっちの電話」は経済です。どこを切っても経世済民です。そうすると坂口さん自身も経済ということになります。

 

 大丈夫、きっとうまくいくよ。

  

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 大丈夫、きっとうまくいくよ。子育ても義務教育も「大丈夫、きっとうまくいくよ」でうまくいきます。

 

 子育てだってそうです。
「こうしなくちゃいけないのよ!」とか教えても子供は変わりません。「大丈夫、きっとうまくいくよ」と言って、何にもそれ以上は言わずに、近くにいてあげたら、子供は何事もすべてを達成してしまいます。

 

 なんだか頭の中がお花畑のように思いますが上記に引用した文章は『お金の学校』にある「頭の中(お花)畑だよねあんた」という章に出てくる一節というか真理で坂口さんがいうには「頭の中お花畑だよねあんた」→「頭の中、畑だよねあんた」とちょっと変えるだけでいい感じになって畑でアリが行列をなしているところやバッタが葉っぱの中で寝転んでベッドみたいにしながらそのベッドをムシャムシャ食べているところを想像すれば何だか愉快で楽しくなってきて生き物や太陽や風や雨の行き来が激しそうですよねってつまり流れていますよねってだから経済ですよねってようするに、

 

畑=経済=幸福

 

 死にたい人でお金を持っている人はほとんどいないそうです。エビデンスは2万人以上。曰く《僕はそれを見ながら、これは人は死にたい、んじゃなくて、お金がないだけなのではないかと考えるようになりました》云々。義務教育では「どうやってお金を手にするのか」を教えずに「命を大切にしましょう」と教えます。馬鹿です。次年度からは「大丈夫、きっとうまくいくよ」に変えましょう。

  

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 まとまらないので最後にシンプルに2つだけ。お金とはモノではなく「流れ」であり「複数」であるということについて流れるように連想したことが以下。

 

 一人じゃないんだよ、っていうことは、あなた自身はいくらでも分裂できるんだよ、ってことです。あなたが複数だよ、ってことです。
 これが経済の基本です。

 

 上記の引用からは平野啓一郎さんの分人概念を連想しTwitterに引用した下記の文章からは近内悠太さんの贈与論を連想しました。近内さんからは「読んでみます」っていう嬉しいリプが来てこれもまた流れです。贈与です。贈与経済です。贈与は、受取人の想像力から始まる。ドーン。

 

 

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 流れをつくるためにはすなわち贈与のリレーを途切れさせないためには「やりたくないことは絶対にしないこと」と「生活の中で触れる『好きなもの』を見つけること」って坂口さんが他の著書にも書いているメッセージが「お金の学校」には繰り返し出てきて受取人のわたしとしては坂口さんを模倣してこの真理を子どもたちに伝えようってそう思った結果が最初に紹介した総合的な学習の時間の授業です。楽しかったな。ちなみに「模倣」も流れをつくるためには必要なことでそれも3人必要で坂口さんはボブ・ディランと鴨長明と石牟礼道子さんの化身だそうです。おもしろすぎます。

 

『お金の学校』、入学をお勧めします。

 

 大丈夫、きっとおもしろいよ。

 

 

お金の学校

お金の学校

  • 作者:坂口恭平
  • 発売日: 2021/02/22
  • メディア: 単行本