田舎教師ときどき都会教師

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今井孝 著『「君しかいない!」と言われる人になる』より。51のステップで起業家的習慣を身につけるゾウ。

 私の周りの起業家でも、自分より活躍している人の話を聞きに行く人がたくさんいます。パーティに参加したり、講演会を聞きに行ったりします。やる気やモチベーションが偶然高まるのを期待せず、安定して維持できるように工夫しているわけです。
 私もいまだに講演会やセミナーに参加して、すごい人からエネルギーをもらっています。あこがれの人のパワーに触れてみてください。
(今井孝『「君しかいない!」と言われる人になる』イースト・プレス、2021)

 

 こんばんは。あこがれの人のパワーに触れて、興奮状態で会場を後にしたところ、見知らぬ人が立っていて、待っていましたとばかりに「どうぞ」と手渡されたのが、上記に引用した『「君しかいない!」と言われる人になる』です。

 

「えっ、もらっていいんですか?」
「はい。」
「えっ、もしかして著者ですか?」
「はい。」

 

 先週の夜の話です。ホント、びっくり。本の中に書かれている《私もいまだに講演会やセミナーに参加して、すごい人からエネルギーをもらっています。》の「いまだに」は、いまも続いていたというわけです。

 

 今井孝さんも、すごい人だ。

 

 

 今井孝さんの『「君しかいない!」と言われる人になる』を読みました。副題は「何があっても食いっぱぐれないための起業家的習慣」です。小中高生向けの起業家精神教育を推進するというニュースが数週間前に流れていたということもあって、タイムリーな一冊だなと。授業にも応用できるかもしれないなと。子どもたちに身に付けてほしい習慣があるかもしれないなと。

 

 そんな期待を抱きながら読みました。

 

www.yomiuri.co.jp

 

 章立ては以下の8つ。

 

 1章 奪われたエネルギーを取り戻す
 2章 自分のための時間を手に入れる
 3章 自分の価値に気づく
 4章 エネルギーを湧き上がらせる
 5章 理想の未来を妄想してみる
 6章 チャンスを広げていく
 7章 応援してもらえる人になる
 8章 世の中に向けて発信していく

 これらの章が51のステップに分解され、スモールステップで「何があっても食いっぱぐれないための起業家的習慣」が身につくという構成になっています。水野敬也さんのベストセラー『夢をかなえるゾウ』でいうところの「ガネーシャの課題」といえばイメージしやすいでしょうか。

 

 起業家的習慣を身につけるゾウ。

 

www.countryteacher.tokyo

 

 51のステップの中から、小学生の子どもたちに身につけてほしい「起業家的習慣」を挙げるとすれば、例えば以下の3つ。

 

 ステップ20 小さなやりたいことをリストアップしてみよう
 ステップ40 悪口や不平不満をやめてみよう
 ステップ46 どんどん失敗しよう

 

「あなたの夢を1つ教えてください」と言われると、難しく考えてしまいますよね。それよりも、「どんなことでもいいので、やってみたいことを10個挙げてください」のように言われたほうが考えやすいと思います。
 自分のやりたいことを見つける手順としては、カッコ良い夢を1つ考えるのではなく、まずは何でもいいので、やりたいことをたくさん挙げてみてください。30個、できれば100個挙げてみましょう。

 

 ステップ20の「小さなやりたいことをリストアップしてみよう」からの引用です。これは授業でも簡単に実践できます。実際に何度かやったことがあります。

 ちなみに著者の今井さんは「やってみたいこと」のひとつに「バク転をする」と書いたことがあったそうです。占術家の羽賀ヒカルさんに『書けば叶う』というタイトルの本がありますが、今井さんの場合もまさに「書けば叶う」で、後日バク転を習って42歳の誕生会のときに披露したとのこと。バク転ができたら、子どもたちにも人気だろうな。

 逆に不人気といえば、悪口や不平不満を口にする人のことでしょうか。特に、高学年女子にあるあるの話がこの本にも書かれています。

 

 誰かの悪口を言うことで場を盛り上げ、連帯感を高めたいと思うこともあるかもしれません。
 しかし、何かあれば他人の悪口ばかりを言っている人や、いつもぶつぶつと愚痴っている人といて、気分が良いでしょうか。悪口や愚痴というネガティブな要素で集まるメンバーと、建設的なことができるでしょうか。

 

 今日は株式会社キャリッジウェイ・コンサルティングの代表取締役である今井孝さんに来ていただきました。6年生のみなさん、しっかりと話を聞いて、起業家精神の何たるかを学びましょう。というような授業の中で、ステップ40の「悪口や不平不満をやめてみよう」の話を今井さんにしていただいたら、バク転を披露しながらしていただいたら、子どもたちに響くこと間違いなし。そして途中でわざとバク転を失敗して、ステップ46の「どんどん失敗しよう」の話につながっていったら、さらに響くこと間違いなし。

 

 起業当初、インターネット広告を試したら、知らないうちに請求額が30万円になっていました。広告からの売り上げはゼロでした。
 東日本大震災があった年は、主催する講座が半分キャンセルになりました。
 セミナーを始めたばかりの頃は、話がぜんぜんウケませんでした。自分も顔がこわばり、地獄のような時間が数時間続きました。

 

 成功談よりも失敗談の方が響くというのは、大人でも子どもでも同じです。ずっと変われないと思っていた著者が、スモールステップで、すなわち《ちょっと先のイメージを常にもつ》という、今井さんの定義でいうところの「起業家的習慣」を身につけたことで、どこぞの馬の骨ともわからない小学校の教員に、名刺代わりに「どうぞ」と著書を手渡すくらいカッコいい大人になれたということ。そのエピソードは小学生の子どもたちにも刺さるように思います。

 

 いつかコラボできたらいいなぁ。

 

 おやすみなさい。

 

 

書けば叶う

書けば叶う

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