田舎教師ときどき都会教師

テーマは「小学校教員の働き方」&「読書、旅行、映画」

三浦しをんさんの『本屋さんで待ちあわせ』より。こういうときだからこそ、読書を。

 本を読めば人格が磨かれ、知識が深まり、情緒が豊かになるかというと、そうでもないことは我が身で検証済みだ。むしろ、家に籠もる時間が多くなるので人見知りになり、脳内でこねる屁理屈だけは立派で、毒にも薬にもならぬ夢想に遊び疲れてさっさと就寝する。そんな人間ができあがる可能性が高い。
 だから、読書が嫌いなひと、読書以外の楽しみを知っているというひとに、無理に本を読めと勧める必要はないと、個人的には思っている。読書は、限りある生を、より楽しく深くまっとうするための、ひとつの手段にすぎない。
 ただ、読書という手段もあるのだということを、いざというときのために胸にとどめておくのは、決して損ではないだろう。
(三浦しをん『本屋さんで待ちあわせ』大和書房、2019)

 

 こんにちは。昨日も一昨日も、退勤間際に「パパ、お疲れさま。帰りに Switch か ステラおばさんのクッキーサンドアイスを買ってきてね」という趣旨のメールが届きました。ママのスマホを使って、昨日は次女から、一昨日は長女から。臨時休校&感染予防のために不要不急の外出を控えているので、二人とも体がなまっているようです。曰く「任天堂 Switch でリフレッシュしたい」とのこと。先日、岩田聡さん(任天堂の元代表取締役社長)のことをブログに書いていたときに、長女と次女の前で「こういうときのために岩田さんは体験型のゲームを開発したのかもしれないなぁ」なんて口にしたのが間違いでした。先人が「沈黙は金、雄弁は銀」といい、後人が「つぶやけばつぶやくほど露呈する」というのも頷けます。ちなみに、先人の反対語は「後人」って、今はじめて知りました。世の中には知らないことがたくさんあります。夏目漱石の『行人』、読みましたか(?)。名作です。

 

www.countryteacher.tokyo

 

 こういうときのために。
 いざというときのために。

 

 こういうときのために、すなわち臨時休校のときに、いざというときのために、すなわち新型コロナウイルスのパンデミックが起こったときに、読書という手段もあるのだということを胸にとどめておくことは、三浦しをんさんが述べているように、決して損ではありません。むしろ「限りある生を、より楽しく深くまっとうする」ための手段なのだから、お得です。ステラおばさんだってそう思っているに違いありません。読書しながらクッキーを食べるなんて、しかも小説家ができあがる可能性が高まるなんて、最高かよ。

 

 成就すれば、天にものぼる気持ちに。

 

本屋さんで待ちあわせ (だいわ文庫)

本屋さんで待ちあわせ (だいわ文庫)

 

 

 三浦しをんさんの『本屋さんで待ちあわせ』は、本の帯にも書いてあるように「思わず書店に走りたくなる情熱的ブックガイド」です。沖田信悦さんの『植民地時代の古本屋たち』や、永井義男さんの『江戸の下半身事情』など、三浦しをんさんの「好きだー!」「おもしろいっ」に該当した本がジャンルを問わず紹介されています。

 わたしは三浦しをんさんと同い年なのですが、目次を眺めつつ、同じくらいの年月を生きていても読んできた本は全然違うんだなぁって、つい最近、姉夫婦の家に足を運んだときと同じことを感じました。世の中には知らない本がたくさんあります。

 今日、この後、体のなまった長女と次女をどこかに連れて行ってくれる姉の名前を仮にステラおばさんとしましょう。義兄の名前はインクおじさんでいいでしょうか。インクおじさんは学生のときにフランス文学を専攻していて、現在は各種媒体に芸術論や文学論、翻訳を多数寄稿している「文筆家&翻訳家」という仕事(副業)に就いています。副業とはいえ、インクおじさん、文章がホントにうまいんです。お洒落だし。歳は違えど、まるでツイートの3行目で知られる、あの新進気鋭のブロガーさん(https://taishiowawa.hatenablog.com/)みたいです。

 

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本棚(イメージ)

 

 本棚にある本がわたしのそれと全然違うんですよね。わたしの家にも数千冊、姉夫婦の家にも数千冊。でもほとんどかぶっていないんです。フランス語の本はもちろんのこと、日本語で書かれた本についても「これ、僕も読みました」っていうものがほとんどない。そうなるともう、考え方から善悪の判断の基準まで、全然違うのだろうなぁと想像してしまいます。

 

 そしてわくわくします。

 

 違うっていうことが、生きる意味だからです。限りある生を、より楽しく深くまっとうするための、意味。読書はその意味を感じさせてくれる手段のひとつであり、最も身近で、最も手っ取り早い手段でもあります。活用しない手はありません。

 

その生が、彼の死後も私たちを照らす。

 

 最相葉月さんの『星新一 1001話をつくった人』を取り上げた、三浦しをんさんの書評にそうあります。本という創作物に詰まった先人の「生」が、後人の「生」を照らす。こういうときだからこそ、いざというときだからこそ、インクで書かれた本という創作物にどっぷりとはまってみるのも、いいものだよって、Switch をほしがる我が子に(背中で)教えていきたいものです。

 

 ピンポーン。

 

 ステラおばさんが来ました。インクおじさんは来ていませんが、代わり(?)にトイレットペーパーとボックスティッシュを手にしています。最高かよ。

 

 

行人 (新潮文庫)

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