田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、旅行、映画」

ほぼ日刊イトイ新聞・編『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』より。あなたはいまハッピーですか?

 会社がたいへんなときって「1週間後までにこれを仕上げないとたいへん!」という自転車操業状態がずっと続いているんです。ところが一度倒産してしまうと、まとまった時間を取ることができて、以前にできなかったことができるんです。
 その「できなかったこと」が、わたしにとっては、みんなとの対話、社員ひとりひとりとの面談でした。
 そしたらすごくたくさんの発見があって、じつはこれはものすごく優先度の高いことだということがわかったんです。
(ほぼ日刊イトイ新聞・編『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』ほぼ日ブックス、2019)

 

 こんばんは。教室で子どもたちの振り返り(日刊!)に目を通していたら、ある男の子のそれに「今日も嬉しいことがありました。何かというと、直方体を3Dでかけるようになったことです」とありました。日付は2月28日。突然の最終日となった、先週の金曜日に書いた振り返りです。スリーディーっていう言葉の選択がいいなぁって、その男の子のあどけなさを思い出し、ちょっと和みました。普段は自転車操業状態がずっと続いているために、子どもたちの書いた文章をゆっくりと味わうことが「ほぼ」できません。だからそのゆっくりと味わうという、これまでは「できなかったこと」が、この通常モードであればクソ忙しい3月にできるというのは喜ばしいことだなぁと思います。3Dでかけるようになった(!)という子どもの喜びと同様です。あっ、クソとか書いちゃいました。トイレットペーパーもないのに。猛省です。臨時休校の1日目。満員電車のお供は岩田さんです。

 

 

 岩田聡(いわたさとる)さんといえば、任天堂ですね。プログラマーですね。ゲームクリエイターですね。体感型ゲーム機「Wii(ウィー)」ですね。もしも岩田さんが生きていたら、この臨時休校にともなう日本全国ひきこもり状態を「ゲーム人口の拡大」のチャンスととらえ、自宅にいてもみんながハッピーになれるようなことを提案したのではないでしょうか。ちなみに「ゲーム人口の拡大」というのは、岩田さんが任天堂の社長になったときに掲げたコンセプトであり、みんなというのは「大人も子供も、おねーさんも」(糸井重里さんが書いた『MOTHER 2』のコピー)です。糸井さん曰く「(岩田さんは)みんながハッピーであることを実現したい人なんです」云々。

 

 みんながハッピーであることを実現したい人。

 

 岩田さんは、みんながハッピーであることを実現するために、みんなとの対話、社員ひとりひとりとの面談をものすご~く大切にしました。任天堂でも、その前のHAL研究所でも。岩田さんが社員との面談を重視したということは、広く知られています。

 きっかけは、冒頭の引用にあるように、会社(HAL研究所)が経営危機に陥ったこと。降ってわいた時間を面談にあてたことで「社員との対話は、ものすごく優先度の高いことである」ということがわかったそうです。曰く《最初に社員全員と話をしたとき、「面談してはじめてわかったこと」がものすごく多かった》云々。曰く《わたしは「人は全員違う。そしてどんどん変わる」と思っています》云々。曰く《たいへんだけど、自分の得るものも多いなとわかりました》云々。

 面談の時間は、短い人で20分、長い人で3時間ぐらい。年2回。話し合うテーマは全員違っていて、でも「あなたはいまハッピーですか?」という最初の質問だけは決まっていたとのこと。自分がどんな会社で働きたいかというと、

 

 ボスがちゃんと自分ことをわかってくれる会社。
 ボスが自分のしあわせをちゃんと考えてくれる会社。

 

 岩田さんはそう考えていて、だから「社長が訊く」を大切にしたそうです。そして岩田さんのこの考えは、ボスを校長に、会社を学校にすれば、そのまま学校にも当てはまります。ボスを担任に、会社を学級にすれば、学級にも当てはまります。

 みんながハッピーであることを実現するために、学校や学級でも面談を実施すればいい。岩田さんと同じように、短い人で20分、長い人で3時間ぐらい。臨時休校で降ってわいた時間に。校長と、ご飯でも食べながら。そうすれば「教員との対話は、ものすごく優先度の高いことである」って、気づいてくれるかもしれません。

 

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ご飯でも食べながら

 

 ご飯でも食べながらはパワハラやセクハラになりそうなのでNGとして、岩田さん的な面談があったらいいなぁとは思います。かたち(制度)としてはあるんですよね、すでに。でも形骸化していて、少なくとも岩田さん的な面談にはなっていません。岩田さん的な面談っていうのは、トップが《生半可な覚悟では続けられない》類いの面談のことです。そうはなっていないですよね、どこの学校も、きっと。

 

 1on1ミーティング。

 

「面談」だと子どもが乗らないので、「1on1ミーティング」と称して、数年前から教室でも試みています。でも、しんどいんですよね、これが。なんといっても、時間の確保が難しい。とはいえ、せっかく1年も同じ教室で過ごすのだから、ひとりひとりの子どもとさしで話をする時間はこれからも何とかして確保していきたいなぁと思います。岩田さんに負けてはいられませんから。

 

 明日のお供は「しゃもぬまの島」です。

 

 おやすみなさい。

 

 

しゃもぬまの島

しゃもぬまの島

  • 作者:上畠 菜緒
  • 発売日: 2020/02/26
  • メディア: 単行本