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平野啓一郎 著『「カッコいい」とは何か』より。教員になりたい(!)と思ってもらえる「カッコいい」ライフスタイルとは?

 白居易は、あまり忙しくない地方官吏くらいが、自分には丁度いい、ピッタリだ、と言うために、 「格好」という言葉を用いている。重要なのは、世間的には「裕福な高い身分」の方が羨まれるだろうが、自分にとっては、「東都分司の官職」の方が良いと、個人的で、主観的な価値観が語られている点である。

(平野啓一郎『「カッコいい」とは何か』講談社現代新書、2019)

 

 こんばんは。かつて三島由紀夫の『オスカア・ワイルド論』を評して、「天才が天才を論じている」と語っていた、芥川賞作家の平野啓一郎さん。そんな平野さんが、小説以外ではこの十年来もっとも書きたかった本、というのが、ちょうど一ヶ月前に発売された『「カッコいい」とは何か』です。新刊を読んだ多くの平野ファンが、「カッコいい人がカッコいい人を論じている」と感じたに違いありません。

 

「カッコいい」とは何か。

 

「デビュー当時は才能とのハネムーンだった」。そんなことを自然と口にする平野さんが「カッコいい」のは論を俟たないとして、私が「カッコいい」と聞いて真っ先に思い浮かべたのは、ずばり、髭ダンです。オフィシャル髭男ディズム。山陰発ピアノPOPバンド。今年、すでに5回ライブに足を運んでいます。しかも、そのうちの1回は、最前列のほぼど真ん中。

 

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最前列。記念碑的な夜。贅を楽しむ。

 

 しびれました。髭ダンはまさに、平野さんいうところの「しびれるような強烈な生理的興奮」を体感させてくれる「カッコいい」バンドです。山陰発というところも、何だか田舎教師の「青雲の志」のようで、よい。人気拡大も紅白出場も間違いなし。教ダンに立つ我々も、髭ダンの人気にあやかりたいところです。

 

 しかし。

 

 公立小学校教員の不人気化はとどまるところをしりません。年々下がっていく倍率。先日発表された東京都教員採用試験の一次試験の結果を見たところ、小学校は、

 

 受検番号1~10まで全員合格。
 ストレートフラッシュみたいな。

 

 去年も一昨年も「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index, GPCI)3位ですよ、東京は。1位 ロンドン、2位 ニューヨーク、3位 トーキョー。しかも来年はオリンピックとパラリンピックを控えていて、日本全国から受験者が殺到してもいいくらい「カッコいい」につながりやすい都市なのに。

 

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政治家や芸能人もこっそり訪れる、広尾の某所

 

 もったいない。「カッコいい」お店も、「カッコいい」ライブハウスも、たくさんあるのに……。あっ、故郷自慢みたいになってしまいました。

 

 都市としては「カッコいい」につながる可能性を大いに秘めているものの、教員として生活するには「カッコいい」にはつながりにくい都市なのでしょう。平野さんはこう書いています。《「カッコいい」について考えることは、即ち、いかに生きるべきかを考えることである》。キャリア教育を通して、いかに生きるべきかを考えてきた子どもたちが、過労死レベルで働くことを望むとは思えません。給特法による定額働かせ放題もまっぴらごめんでしょう。

 

 では、教員になりたい(!)と思ってもらえる「カッコいい」ライフスタイルとは? 


 白居易が答えへのヒントを出していると私は思うのですが、どうでしょうか。

 

 自分にはってところが特に。

 

 自分には、です!

  

 

 

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