田舎教師ときどき都会教師

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青野慶久 著『チームのことだけ、考えた。』より。サイボウズの「公明正大」と「自立」をチーム学校にも!

 長年、多様性について議論と実践を重ねる中で、私たちが個人に要求するイズムも徐々に見えてきた。それは「感謝」でも「努力」でも「誠意」でも「変化」でも「進歩」でも「協調」でもない。多様性を維持し向上させていくには、「公明正大」と「自立」が必要。嘘をつかないことと、人のせいにしないこと。簡単そうで、難しいテーマである。
(青野慶久『チームのことだけ、考えた。』ダイヤモンド社、2015)

 

 おはようございます。昨夜、中学校のときの部活の仲間(♂)と「四半世紀ぶり」に再会しました。会おうと思えばいつでも会えると思える人には絶対に会えない、という昔から大切にしている言葉と、アラフォーになってからしばしば感じるようになった「いつ過労死してもおかしくないなぁ」という思いに後押しされて、再びつながった縁です。縁は育むもの。

 

 旧友曰く「ライブドアで働いていた」。

 

 びっくりしました。頭と顔と性格がよかったので、それなりに派手な人生を送っているという予感はあったのですが、まさかのヒルズ族(当時)。私が遠洋漁業の基地と呼ばれる小さな田舎町で保護者と一緒にノホホンと比目魚を釣っていたときに、同じ釜の飯を食った仲間が六本木でホリエモンと一緒に女を釣っていたなんて。違う。ホリエモンと一緒に働いていたなんて。

 

 怖いイメージ。

 

 堀江貴文さん(ホリエモン)のことはそう話していました。一般の社員はそう思っていたんじゃないかなって。電話にすぐ出なかった部署があったりすると、ぶち切れて電話線を引っこ抜き、「お前ら今日から個人のピッチで仕事しろ」みたいなことがよくあったそうです。こわっ。

 東京地検特捜部が来た日も会社で働いていて、パソコンに触れないでください、持ち帰りはしないでください、これから手荷物チェックをします、みたいな感じでなかなか帰れずに大変だったとのこと。友人がそんな大変な目に遭っていたときに、私は教室で「置き勉は駄目だよ」とかニコニコしながら言っていたのだろうなぁ。牧歌的だなぁ。

 

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03年、冬の六本木ヒルズ。友人とすれ違っていたかも。

 

 めちゃくちゃ働いていたからさ、口から泡を吹いて救急車で運ばれるような人もいて、俺、人間が口から泡を吹くの初めて見たよ。そんな話題に事欠かなかったライブドアを家宅捜査の後に辞め、今は別のIT系企業で経営企画室の室長を務めている友人。昔話や仕事の話だけでなく、ギャラ飲みとかガールズバーとか、教員の世界ではあまり耳にしない「ゆるい話題」をときおり投げ込んできては、カラフルなエピソードを交えながら、主体的・対話的に、そして深く語ってくれました。

 

 アナザーワールド。

 

 以前、「100人100通り」の働き方ができる会社として知られる、サイボウズ(株)の見学をしたときにも思いましたが、カラフルな生き方や働き方ができる仕事って、魅力的だなぁと思います。

 

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サイボウズ見学(17)

 

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こんな学校だったら、教職の魅力アピールは成功します。

 

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未来へ、タイムスリップ

 

 案内してくれたサイボウズの社員さんが「学校に行くとタイムスリップしたみたいな気持ちになる」と話していました。未来ではなく、もちろん「過去に」です。その変わらなさというか、色のなさに、教職の未来の灰色さを感じます。

 今日のニュースに「小学校教諭 落ち込む人気 多忙イメージ、学生ら敬遠」とありました。イメージではなく、事実として多忙だし、学生らが敬遠するのも当たり前です。サイボーズ社内の写真と学校の写真を見て、どちらが魅力的かと問えば、それはもちろんサイボウズです。しっかりと情報収集し、自分の未来を主体的・対話的に深く考えることのできる学生は、ブラックとされる教育現場は選びません。

 

 日本の未来は学校の先生にかかっている。

 

 友人に、最後にそんな言葉をかけられました。言い換えれば、学校の先生の未来にかかっている。

 学校の未来にも、サイボウズでいうところの「公明正大」と「自立」が求められます。法定労働時間以内には絶対に終わらない量の仕事を抱えているのに、嘘をついて、終わりますという体で現状をそのままにして先送りしないこと。現場でできることがたくさんあるのに、文部科学省のせいにしないこと。

 泡を吹いている教員は見たことがありませんが、保護者のクレームで過呼吸となり、救急車で運ばれた先生なら2回ほど見たことがあります。そんなブラックな教育現場を多様性のあるカラフルなものにしていくためにも、外の世界を見習いたいなと思った夜でした。

 

 簡単そうで、難しい。