田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、旅行、映画」

中原淳 著『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』より。日々を丁寧に、かつ知的好奇心を絶やさずに。

 まず、僕自身にまつわる変化です。ラーニングバーをはじめてからというもの、僕はいろいろな意味で、日々を丁寧に、かつ知的好奇心を絶やさずに生きていけるようになった、と感じています。
 それは、どのようなテーマでバーを開催すればいいのか、誰を講師に招きどのようなメッセージを発信すればいいのか、について、僕自身が「支度」せざるを得ないがために、日々大量の情報や文献を仕入れ、世の中に生まれる多くの変化に極めて敏感に対応するようになったためだと思います。
(中原淳『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』英治出版、2011)

 

 こんばんは。昨日、以前から心待ちにしていた「気仙沼漁師カレンダー  2021」が届きました。気仙沼つばき会が企画・発行している、記念碑的なカレンダーです。

 何が記念碑的なのかというと、2014年の藤井保さんにはじまり、2016年の浅田政志さんや2018年の竹沢うるまさんなど、写真家のラインナップが豪華なんです。漁師さんたちのかっこよさはもちろんのこと、まちの独特の文化や人々のあたたかさなど、気仙沼の魅力を伝えるにはもってこいの人選のように思います。このカレンダーをきっかけに、彼の地に行きたくなる人も出てくるでしょう。愛がめぐり、人がつながるカレンダー。個人的には、旅行記の『The Songlines』で知られる、元バックパッカーの竹沢うるまさんがツボです。

 そして何と、7作目となる今回は、曰く《ぼくは健康体というわけではないので、最初は撮影をお断りしようかとおもったけど、漁師の世界を知れることの好奇心のほうがはるかに上回ってしまい、いま気仙沼で寒さに震えている》という、竹沢うるまさん以上にツボの幡野広志さんが写真と文を提供しています。写真家であり、元狩猟家であり、そして血液がん患者でもある幡野広志さん。

 

www.countryteacher.tokyo

 

f:id:CountryTeacher:20201006202214j:plain

気仙沼漁師カレンダー 2021

 

 社会科の水産業の学習に間に合ってよかった。開封して、カレンダーをめくりながら、幡野さんの文章にしびれながら、そして私の第二の故郷であり拠り所でもある気仙沼の写真に元気づけられながら、そう思いました。

 さて、このお宝をどうやって教材として料理しようかなぁ。わくわく。血がめぐります。知もめぐります。小学校の教員になってからというもの、出会う「ひと」「モノ」「コト」、すべてが教材に見える!

 

 I have learningful life!

 

 

  中原淳さんの『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』を再読しました。副題は「働く大人が学び続ける”ラーニングバー”というしくみ」です。ラーニングバーというのは、中原さんがかつてつくっていた、組織を超えた「大人のための学びの場」のこと。私もかつて参加し、大いに影響を受けました。詳細は以下のブログに。

 

www.countryteacher.tokyo

 

 教育技術や学習技術は、オープンに流通し、語られ、消費され、世代継承されていくべきものであると僕は信じています。そして、教育技術や学習技術がオープンソースであるということは、使い手に解釈可能性があり、改変する自由があることを意味します。
 したがって、ラーニングバーのノウハウのなかから、「素材」や「ヒント」を得られたと思った方には、それらをそのまま試してみるだけでなく、自分なりに解釈し、改善を加え、合わない部分は棄却し、新たなものを創造してほしいと思います。

 

 中原さんの『リフレクティブ・マネジャー』を読んでいなかったら、中原さんのラーニングバーに参加していなかったら、そして『知がめぐり、人がつながる場のデザイン』で「場づくり」の「しくみ」に対する解像度を高めていなかったら、ゾッ。拠り所がなくなってしまい、いま自分がやっている学級づくりや授業づくりのバックボーンは結構な割合で変質するだろうなぁと思います。

 

 拠り所って、大切。 

 

 例えば、ラーニングバーを構成するにあたって大切とされる、以下の3つの精神。学級づくりと授業づくりの3つの精神と言い換えても全く問題ありません。ちなみに「支度・しつらえ・しかけ」というのは、中原さん曰く《茶道のもてなしを表わすときに使われる言葉》とのこと。

 

 ①準備を整えて参加者を待つ(支度)
 ②参加者がくつろげる空間を演出する(しつらえ)
 ③すべての人がルールを共有する(しかけ)

 

 忙しすぎて①ができなくなってくると子どもたちがガチャガチャしはじめて③がままならなくなり、学級崩壊を恐れて威圧的・管理的な学級づくり&授業づくりに舵を切ってしまって②がダメになるというのがよくあるパターンです。そうなると茶道どころではありません。

 他にも例えば「空間デザインの心構え」として紹介されている以下の3つ。

 

 ①学習者中心主義の信念をもつこと。
 ②主催者がみんなで楽しんでやること。
 ③形成的評価を忘れないこと。

 

 忙しすぎて①ができなくなってくると指導者中心主義に陥りはじめて③がままならなくなり、学習者が疎外されるからだんだんと楽しい雰囲気がなくなっていって②もダメになるというのがよくあるパターンです。そうなると心構えどころではありません。

 つまり3つの精神も、3つの心構えも、その他の紹介しきれないもろもろも、学級や授業をつくっていく上での拠り所になっているというわけです。

 

 拠り所って、大切。

 

 気仙沼も拠り所です。中原さんの書籍も拠り所です。そしてラーニングバーでの体験も拠り所です。拠り所があるから、日々を丁寧に、かつ知的好奇心を絶やさずに生きていくことができる。拠り所が私をつくっている。つまり、

 

 私が場をつくり場が私をつくる。

 

 おやすみなさい。 

 

 

The Songlines

The Songlines