田舎教師ときどき都会教師

テーマは「小学校教員の働き方」&「読書、旅行、映画」

岩田健太郎さんの『1秒もムダに生きない』より。今一番やりたいことを、やる。

 しかし、そうこうしているうちに、臨床医学にどっぷり浸かって抜けられなくなりました。アメリカに行ったのは、人の紹介があったためでして、決して進んで望んで行ったのではなかったです。感染症を専門にしたのも成り行き、中国で診療所に勤める医者をやっていたのも成り行き、日本に戻ったのも成り行き、神戸大学の教員になったのも成り行きでした。僕のキャリアパスは、計算も計画も、予見すらもなく、そのときそのときの「成り行き」次第だったのです。
(岩田健太郎『一秒もムダに生きない』光文社新書、2018)

 

 おはようございます。昨日の朝は人身事故の影響で電車が止まってしまい、30分ほど同じ駅で待つことになりました。人生とは、何かを計画しているときに起きてしまう別の出来事のこと(星野道夫さんのアラスカの友人の口ぐせ)。そんなふうに思うことができたら、その人は今も生きていたかもしれません。とはいえ、岩田健太郎さんの『1秒もムダに生きない』をパラパラと再読しながら待つ朝の30分は、なかなかにしんどいものでした。1秒どころか……。

 

1秒もムダに生きない~時間の上手な使い方~ (光文社新書)

1秒もムダに生きない~時間の上手な使い方~ (光文社新書)

  • 作者:岩田 健太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2011/07/22
  • メディア: Kindle版
 

 

 1800秒も!


 バックパッカーだったときには30分の待ち時間なんて誤差の範囲だったのに、時間に追われる生活って、やはりイヤですね。だからこそ岩田健太郎さんは『1秒もムダに生きない』ことを徹底して「時間に追われる生活」を遠ざけ、削り取った時間、作った時間を家族や大切な人とゆっくり慈しみましょう、と説いているのだと思います。それが時間の上手な使い方であり、豊かな人生の在り方だ、と。ここでいう「ムダ」というのは、職場でいえば「意味のない書類仕事」などを指します。岩田健太郎さんは、神戸大学病院に就任した当初のことを振り返って、《当時、これをしらみつぶしになくしていくのが僕の大きな仕事のひとつでした》と書いています。

 

 カッコいい。

 

 就任した当初っていうところがポイントです。染まる前に、変える。組織に染まってしまったら、変えるべき慣習が見えなくなってしまいますから。もしも岩田健太郎さんが学校現場に来てくれたら、バッサバッサと「意味のない書類仕事」をなくしてくれるような気がします。通知表の所見しかり、昨日のブログにも書いたキャリア・パスポート然りです。

 

 キャリア・パスポートって、必要?

 

 おさらいしておくと、キャリア・パスポートとは「児童生徒が、小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる諸活動について、特別活動の学級活動及びホームルーム活動を中心として、各教科等と往還し、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり振り返ったりしながら、自身の変容や成長を自己評価できるよう工夫されたポートフォリオのこと」です。次の4月から小中高での活用がスタートします。

 

www.countryteacher.tokyo

 

 キャリア・パスポートについては、まだ実際に手にとってみたわけではないし、使ってみたわけでもないので、ムダかどうかは本当のところわかりませんが、しかし冒頭に引用した岩田健太郎さんの「成り行き」の話や、最近『時間革命』という本を出した堀江貴文さんが「ぼくはいっさいの計画を持っていない」と書いていることなどを考えると、やはり「ムダ」のような気がしてなりません。ムダにとどまらず、人身事故的に危険だなぁとも思います。ちなみに堀江さんの『時間革命』の副題は「1秒もムダに生きるな」です。パクリではなく、きっと岩田健太郎さんへのオマージュでしょう。知りませんが。

 

「将来こうあるべき自分」を規定することは、同時に「今ある自分」が「あるべき自分」から乖離した、劣った(inferior)存在であることを内意してしまうからです。

 

 キャリア・パスポートという考え方が、人身事故的に危険だなぁと思う理由は、岩田健太郎さんが「規定」や「内意」という言葉を使って説明しているように、それが「今ある自分」を生きづらいもの(柔軟性を欠いたかたいもの)にしてしまうような気がするからです。

 バックパックを背負って海外をフラフラとしているときに、同じ日本人の一人旅のバックパッカーに出会うと、初対面なのにものすごく話が盛り上がることがあります。それはきっと、互いにそれぞれの過去を知らないし、それぞれの未来も知らないということが理由です。「今ある自分」をかたいものとしてではなく、やわらかいものとしてシェアすることができる。だから話していておもしろい。何かに規定された自分をさらす必要がないし、あるべき自分を無理して演じる必要もないからです。ブロガーのインクさんも同じようなことを書いています。

 

taishiowawa.hatenablog.com

 

 未来を狭めてしまうような過去の自分なんてどこかに脱ぎ捨てて、やりたいことを、やればいい。岩田健太郎さんも堀江貴文さんも、表現の仕方は違えど、それから家族観などはおそらく全く違えど、「今一番やりたいことを、やる」のがタイム・マネジメントの「正解」だと書いています。キャリア・パスポートに縛られることなく、今一番やりたいことを、やる。人生とは、何かを計画しているときに起きてしまう別の出来事のことだから。

 

 今一番やりたいこと。

 

 ありますか?

 

 

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  • 作者:星野 道夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/06/30
  • メディア: 文庫
 
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  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
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  • メディア: 単行本