そして、人間はコミュニティの中でヒエラルキーを構築していくわけだが、ここでは腕力ではなく駆け引きがうまい人が上にいく。まさに、人を蹴落としていけるような人たちがうまくいく。デュマの書いた小説『モンテ・クリスト伯』の前半のように、うまく立ち回った人たちが権力を持つようになっていくわけだ。
そう考えると、諸悪の根源は「定住」と考えてもおかしくない気もしてくる。
(長倉顕太『移動する人はうまくいく』すばる舎、2024)
こんばんは。教員になってから約20年。メンバーシップ型ではなく、すなわち「定住」型の働き方ではなく、駆け引きの苦手な自称ジョブ型の教員として、A県、B県、そしてC県と「移動」してきました。だからでしょうか。先々週の誕生日のときに、職場の同僚が長倉顕太さんの『移動する人はうまくいく』をプレゼントしてくれて、曰く「先生にピッタリだと思いました!」云々。
うん、ピッタリです。
長倉顕太さんの『移動する人はうまくいく』読了。先週、誕生日に同僚からプレゼントしてもらった本。村上龍さんの小説『歌うクジラ』に《生きる上で意味を持つのは、他人との出会いだけだ。そして、移動しなければ出会いはない。移動が、すべてを生み出すのだ》とある。その自己啓発version。#読了 pic.twitter.com/24TyeKHf8h
— CountryTeacher (@HereticsStar) December 13, 2024
発売当初から書店で見かけ、気になってはいたものの、あまりにもピッタリすぎて書いてあることがなんとなく予想できたので、惹かれつつも立ち読みに留めていました。買わなくて、正解。そして、
読んでみて、正解。
長倉顕太さんの『移動する人はうまくいく』を読みました。行動を変えるためには、移動して環境を変えるしかない(!)ということを多面的・多角的に説いた本です。ラディカルに要約すれば、
会社を辞めて、とりあえず引っ越せ、と。
このブログでも何度か言及していますが、コンサルの大前研一さんによると、行動を変えるためには「付き合う人を変える」「住む場所を変える」「時間配分を変える」しかありません。
方法は3つ。
長倉さんは、この中の「住む場所を変える」に効果を見出し、実体験を踏まえて「学問のすゝめ」ならぬ「移動のすゝめ」をしているというわけです。ちなみに『移動する人はうまくいく』と同時期に発売され、本棚に面陳されていた今井孝さんの『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』は、この中の「時間配分を変える」に効果を見出し、2時間の使い方の工夫を「すゝめ」ている本です。両方読めば、確実に行動が変わり、
生き方が変わる!
目次は以下。
第1章 なぜ、移動する人はうまくいくのか?
第2章 なぜ、移動中はインプット&アウトプットがはかどるのか?
第3章 なぜ、移動すると行動力が上がるのか?
第4章 なぜ、移動する人は仕事にもお金にも恵まれるのか?
第5章 なぜ、移動すると良い人間関係が増えるのか?
第6章 移動体質をつくる30のアクションプラン
どの「なぜ」が気になるでしょうか。私の場合は第4章の「なぜ」が気になりました。当たり前のことですが、教育公務員がA県 → B県 → C県と移動したところで、仕事に恵まれることはあっても、お金に恵まれることはないからです。では、仕事にもお金にも恵まれるためにはどうすればいいのか。
独立する。
長倉さんが勧めている「移動」は、言い方を変えると「独立」です。給料の安い日本の会社なんて辞めて、引っ越して、独立する。転職ではなく、副業でもなく、独立。曰く《まずは1年以内の独立を目指そう》とのこと。うん、教育公務員には難しい。教育公務員ではなかったとしても、難しそうに思えます。その難しそうに思える「独立」を長倉さんが強く勧めるのは、会社員と違って「誰と働くか」「どこで働くか」「いつ働くか」を自分で選べるようになるから。「誰と働くか」は大事ですよね。本日のニュースに「うつ病などで休職した教員 初の7000人超 過去最多」と出ていましたが、もしも校長を選べたら、もしも同じ学年を組む同僚を選べたら、休職する教員は激減するように思います。
まず会社に入社したところで、上司を選べない。これが最悪で、もし最悪な上司に当たってしまえばあなたの人生は最悪になる。上司のせいでうつ病になり、そのまま社会復帰できない、もしくは自殺に追い込まれる可能性だってある。
そんなわけで、長倉さんは「誰といるか」「どこにいるか」に徹底的にこだわってきたとのこと。多くの人が気にする「何をやるか」はあまり重視していないとのこと。なぜなら「誰といるか」「どこにいるか」が決まれば、自ずと「何をやるか」も決まってくるからです。とはいえ、気になります。
何をやるか。
では、具体的にどういったビジネスをするのがいいのか。
私が必ず勧めるのがコンテンツビジネスだ。コンテンツというのは、あらゆるメディアを通して配信される情報だ。
わかりやすい例でいうと、ユーチューバーやブロガーもコンテンツビジネスをやっていることになるそうです。売れっ子の芸能人をも凌ぐくらいに稼いでいる無名のユーチューバーやブロガーがたくさんいるとのこと。しかも、教育コンテンツがお勧めとのこと。
本当でしょうか。
まとめると、コンテンツビジネスをはじめる、特に、その中でも教育コンテンツをやる。そうすると、情報を資産化できるので、「移動」が自由自在になる。
無理だなぁ。
そう思ってしまうのは「過去との整合性」をとろうとしてしまうからかもしれません。これまでもこうだったから、こうしよう。私にはこういう役割が期待されているはずだから、こうしよう。突然キャラを変えたら周りの人たちが驚いてしまうから、こうしよう。それが過去との整合性をとるという意味です。長倉さんは、過去との整合性ではなく、未来との整合性をとれ(!)といいます。理想とする、都合の良い未来との整合性をとれ(!)と。
だから、移動しろと。
昨夜、酔り道をしたところ、あっ(!)海鞘だ(!)。日本酒に合うと書かれていたので、静岡の日本刀(かたな)と一緒に注文しました。懐かしい味。漁師町にあった初任校で、家庭訪問のときに保護者がホヤを振る舞ってくれたことを思い出しました。食べた直後に水を飲むよう促され、どうだ、パイナップルの味がするだろうって、得意気に言われたあの日。引っ越してから1ヶ月くらいで、新しい土地にまだ慣れていなかったあの日。移動したからこそ、
懐かしいと思えるのだろうな。
おやすみなさい。