田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

小池陽慈 編『つながる読書』より。本に対する愛を紐帯として、つながろう。

 私、今回の企画にあたってお声がけした方々の全員と、つい数年前まではまったくの他人だったんです。それが、SNSや各種のイベントを通じ、こうしてつながった。もちろん、本に対する愛を紐帯として。すごいですね。本は、人と人とをつなげてくれるんですね。
(小池陽慈 編『つながる読書』ちくまプリマー新書、2024)

 

 こんばんは。つい数年前まではまったくの他人だった人たちとともに、本日、雨にも負けず風にも負けず(台風7号にも負けず)国立国会図書館に行ってきました。なぜ国立国会図書館に行ったのかといえば、それはもちろん、本に対する愛を紐帯としてつながった人たちだからです。

 

国立国会図書館(2024.8.16)

 

1948年設立

 

地下8階 その1

地下8階 その2


 国立国会図書館は、議員法制局と同じように、国会議員が行政官僚に対抗するための武器としてつくられた(という側面もある)そうです。GHQが国立国会図書館や議員法制局をつくり、国民に選ばれた政治家に「行政官僚の言いなりにならずに、国立国会図書館で知恵をつけ、議員立法で法律をつくり、民主主義を実現してください」と願いを託した。だから、

 

 国立「国会」図書館。

 

 小学6年生には、戦前は天皇主権、戦後は国会主権と教えますが、それは教科書的な建前であり、カレル・ヴァン・ウォルフレンの『日本/権力構造の謎』などに書かれているように、実質は戦前も戦後も行政官僚が国を牛耳っているというのが実際のところです。憲法41条に「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関」と書かれているものの、法律をつくっているのはほとんどが、

 

 行政官僚。

 

 各省庁はシンクタンクみたいなもの。そこにいる行政官僚が上意下達で法律をつくっている。議員法制局は国会議員のためのシンクタンク。田中角栄はこれをうまく使って行政官僚に対抗した。では、国立国会図書館をうまく使って行政官僚に対抗した、或いは対抗している国会議員はいるのかといえば、

 

 どうなんでしょうか。

 

 国会議員にも、作家的な資質、言い換えると「つながる読書」が求められる所以です。それにしても、勉強になったなぁ。明治時代の新聞とか、週刊誌とか、高校の同窓会誌なんてものまで保管されていて、世のため人のために「残そう」という強い意志を感じることができました。歴史を知らなければ、まともな未来がつくれませんから。数年前に「オウム真理教の解散命令請求に関する全ての記録が廃棄」されていたことが問題になりました。残すことの意味が、別言すると思想が、裁判所にはわからなかったのでしょう。国立「裁判所」図書館をつくることを司法に携わる人たちに推したいところです。

 

 

 小池陽慈さん編の『つながる読書』を読みました。副題は「10代に推したいこの一冊」です。日垣隆さんの『つながる読書術』のパクリか(!)と思って敬遠していましたが、エッセイストの宮崎智之さんが勧めていたので、そしてその宮崎さんが執筆陣に名を連ねているということを知ったので、購入。日垣さんのそれに負けず劣らず、

 

 アタリでした。

 

www.countryteacher.tokyo

 

 

 

 

 

 つながる読書ということで、つながるポストを試みてみました。まぁ、単なる連投ですが。『つながる読書』は第1部の「本のプレゼン」で始まり、第2部の小池さんと読書猿さんとの対談を挟んで、第3部の「つながる読書」で終わるという構成になっています。第3部の「つながる読書」というのは、第1部の「本のプレゼン」で紹介された14冊の本について、14人のプレゼンターがそのうちのどれかを読み、感想を返すという意味での「つながる読書」です。自分が勧めた本を読んでもらえるのって、嬉しいですよね。ちょうど昨日、友人が「~を読み始めました」って連絡をくれて、その「~」は以前その友人に勧めた本で、

 

 うん、めちゃくちゃ嬉しい。

 

 14人のプレゼンターの顔ぶれは、三宅香帆さん、宮崎智之さん、安積宇宙さん、藤本なほ子さん、小川公代さん、田中健一さん、木村哲也さん、御手洗靖大さん、小川貴也さん、渡辺祐真(スケザネ)さん、木村小夜さん、仲町六絵さん、岡本健さん、そして向坂くじらさんです。私が知っていたのは(著書を読んだことがあったのは)三宅さんと宮崎さんと小川さんだけです。14人がプレゼンした「推しの一冊」も知らない本ばかり。

 

 知りたい。

 

 この本についてもっと話す前に、少し私自身のことを話したいと思う。私は骨が折れやすいという障碍を持って生まれ、身長は124センチ。小さい頃は一年に一回以上、ちょっとしたことで大腿骨という太腿の骨を折った。体の中で一番太い骨なので、折れると治るのにも時間がかかるし、全く動けなくなるし、とても痛い。でも、私にとって一番の悩みは、骨が折れることではなく、周りの人との関わりの中で感じる悩みだった。

 

 安積宇宙さんのプレゼンより。そんな安積さんを決定的に勇気付けたのが、金滿里さんの『生きることのはじまり』だったとのこと。安積さんのことも金さんのことも知りませんでしたが、

 

 読みたい。

 

 そんなふうに思える「本のプレゼン」が14パターンも収められているのだから、これはもう、手に取って読んで、そして誰かに勧めることでつなげていくほかないでしょう。いわば、15人目のプレゼンターです。

 

 本に対する愛を。

 

 おやすみなさい。