ネットで活躍している人の集まりに行くと、フォロワー数の多い人を羨望の目で眺めます。
ジムに行けば、鍛えられた肉体の人を見て落ち込んでしまいます。
社会貢献の団体の集まりに行くと、売上げばかり気にしている自分を振り返り、なんて小さな人間なんだろうと自己嫌悪に陥ったりします。
どこに行っても他人と比較して、どんどん自信を失っていくのです。
(今井孝『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』幻冬舎、2022)
こんにちは。閉庁日が終わってしまいました。学校に行けば、キラキラ系の同僚を見て落ち込んでしまいます。2学期の準備はもう完璧(!)なんて話を耳にすると、終わっていない仕事ばかり気にしている自分を振り返り、なんて小さな人間なんだろうと自己嫌悪に陥ったりします。職員室にいるだけで、夏季休業中に充電したはずのエネルギーが一気になくなっていくのです。そんなヤツは、
君しかいない!
肯定的な「君しかいない!」が否定的に映るのは、起業コンサルタント・今井孝さんの「教え」を十分に理解し切れていないからでしょうか。理解を深めるべく、書店に積み重ねられていた今井さんの新刊を手にとってパラパラと読んでいたところ《うまく行っている人はダメな自分を許していて、ダメな自分を前提に計画を立てています》とあって、
即買い。
今井孝さんの新刊『誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方』を読みました。本の帯には《3万人以上の普通の人を成功させてきたカリスマ講師が教える好きなことで稼げる人のたった一つの違いとは?》とあります。
遡ること2ヶ月。
家路を急いでいた私に「これ、どうぞ」って『「君しかいない!」と言われる人になる』をプレゼントしてくれた見知らぬ人が「3万人以上の普通の人を成功させてきたカリスマ講師」だったなんて。立ち止まってもっと話を聞けばよかった。
目次は以下。
はじめに 好きなことで生きていくために
第一章 お金を生み出す人たちは何が違うか?
第二章 人間の欲求を理解すればいくらでもお金を生み出せる
第三章 お金に関する正しい目標とは
第四章 ゼロから大きなお金を作っていく最短のステップ
第五章 お金と満足感の関係
おわりに
ダン・ロススタインとルース・サンタナに『たった一つを変えるだけ』という、学校関係者には馴染み深い本があります。教師が「問い」を発するのではなく、児童・生徒が「問い」を発するようにしましょう(!)という、ジョン・デューイいうところのコペルニクス的転回を別の角度から説いた一冊です。教育の中心は教師ではなく、
子ども。
太陽は子ども。今井さんの本でいえば、主役は「すごい人」ではなく「普通の人」となるでしょうか。デューイの『学校と社会』風にいえば、普通の人が太陽となり、その周囲を社会のさまざまな装置が回転するということです。その過程でお金が生まれるということ。だから今井さんも「たった一つ」に注目します。普通の人、すなわち誰でもできるのに9割の人が気づいていない、好きなことで稼げる人の「たった一つ」の違いとは?
20年以上、多くの方々の支援をしているうちに、ゼロから始めてお金が生み出せるようになる急所が見えてきました。逆に言えば、そこを間違えているとなかなか芽が出ません。
その急所とは何なのか?
それは一言で言うと、
答えは本の中に。
この本の白眉なので、ぜひ買って読んでみてください。はじめに&第1章に登場するこの「たった一つ」を出発点にして、お金に関する正しい知識(ゼロからお金を生み出す時に必要なお金の知識)、具体的には「人がお金を払っても『欲しい』と感じる心理」「お金に関する正しい目標設定」「ゼロから大きなお金を作って行く最短のステップ」、そして「お金と満足感の関係」の4つを第2章から第5章で1つずつ学んでいくというのがこの本の構成です。
ちなみに第4章に出てくる「ステップ」の数々は『「君しかいない!」と言われる人になる』に書かれている「51のステップ」と重なるところがあります。それくらい大事ということです。学校の教員が大事なことは繰り返し子どもたちに説明するのと同じです。いったい、どんなステップなのか。
答えは本の中に。
本の中にではなく、ここに書き留めて2学期以降の学級づくりと授業づくりの糧にしたいと思ったのは、第5章の「お金と満足感の関係」に出てくる、サービス提供のプロセスにおいて他者に満足感を与えるための原理原則です。
原理① チャレンジできることが最高の喜び
原理② 一生懸命な姿に心を打たれる
原理③ エンターテイメント性があるから続けられる
原理④ 信じてもらえるから頑張れる
原理⑤ 仲間ができると人生は何倍も楽しい
原理⑥ 挑戦する姿に勇気をもらえる
原理⑦ 自分を認められることが人生のゴール
どうでしょうか。一見するとお金と無関係に思えるのではないでしょうか。田内学さんの本のタイトルにもあるように「お金の向こうに人がいる」のだから当然です。結局、人。やっぱり、生き方。これらの原理原則に基づいた支援、指導、伴走ができれば、子どもたちは学校生活に満足感を得ることができるに違いありません。
多くの商品やサービスは、その結果を手に入れられる「サポート」や「可能性」を提供していますが、結果を保証してはいません。結果を出すためには本人の努力が必要だからです。
今井さんは、冒頭にも引用している「あとがき」に《本書は、あなたが「今のままで誰かの役に立てる」ということを伝えたくて書きました》と綴っています。すごい人にならなくても、普通のまま、「たった一つ」を変えるだけでお金を生み出すことができるというシンプルな教え。巻末にはQRコードが載っていて、プレゼントとして「ゼロからお金を生み出した事例集」がダウンロードできるようになっています。本当にもう、
至れり尽くせり。
とはいえ、今井さんのこの本も《多くの商品やサービス》に含まれます。だから「お金を生み出すことができる」という結果を保証しているわけではありません。つまり、結果についての生殺与奪の権を握っているのは、
君しかいない!
肯定的に!