田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

木村大治 著『見知らぬものと出会う』より。もしも宇宙人みたいな子どもと出会ったら。

「あいつは宇宙人だ」と言われる人物はたくさんいるが、ここではまずその代表として、元首相の鳩山由紀夫氏に登場していただこう。グーグルで「鳩山由紀夫 宇宙人」で検索をかけると、約24万5000件のヒットがある。この比喩は広く日本人に共有されてい…

大澤真幸、平野啓一郎 著『理想の国へ』より。憂国。労働時間の抑制なくして、理想の国なし。日本を愛するがゆえにこそ。

これは、僕の「分人主義」の発想にもつながる話です。労働者としての比率が個人の中でどの程度の割合なのか。それが政治主体はじめ、消費主体、あるいは家族といるときの自分、恋人や友人といるときの自分・・・・・・など、私的な分人を圧迫してしまうと、政治行…

岩崎夏海 著『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』より。下手な研修よりも『もしドラ』を。

「そもそも、ぼくはなぜ『もしドラ』を書いたのだろう?」 その理由は、もちろん一つではなかった。あまりにも多すぎて、それを一冊の本(『「もしドラ」はなぜ売れたのか?』(東洋経済新報社)にまとめたくらいだ。 ただ、一番の理由は、「ドラッカーの『…

小川さやか 著『「その日暮らし」の人類学』より。今を豊かに生きるには? キリギリスの世界線を覗いてみる。

日本では、終身雇用や年功序列賃金制度が期待できなくなっても、仕事をやめないことを美徳とするのが主流である。このような価値観は、景気が悪化し、非正規雇用やワーキングプアなどの格差問題が顕在化した現在、ますます強くなっているようにも感じる。し…

猪瀬直樹 著『ニュースの冒険 「昭和」が消えた日』より。日々のニュースを、歴史の篩にかけて揺すってみる。

「昔、父親から、日本に帰りたいと思うな。二、三日は親も兄弟も大切にしてくれるが、彼らだって食うにせいいっぱいなんだ。それに朝鮮人と結婚していると差別されるぞ。アメリカ人と結婚して生まれた子供でも石を投げられたりする。差別のないロシアで生き…

田内学 著『お金のむこうに人がいる』より。お金の話を突きつめて考えたら、道徳の話に近づいた。結局、人。やっぱり、教育。

年金問題を話すときには、「1人の高齢者を⚫人の現役世代で支えている」という話をよく聞くのに、「1人の子どもを⚫人の現役世代で支えている」という数字を目にすることがほとんどない。1人の女性が産む子どもの人数しか気にしない。 現代の社会では、高齢…

平野啓一郎 著『死刑について』より。死刑存置派から死刑廃止派へ。他者と、問いと、創作を通しての変容を語る。

最近、「親ガチャ」などという言葉が流行っています。これは、自分たちは親を選ぶことができず、どのような環境で育つかは運次第だという諦めや苛立ちを、カプセル玩具が無作為に出てくる「ガチャガチャ」にたとえたものですが、若い人たちがそのように切実…

坂口恭平 著『よみぐすり』より。楽しさの伝授こそが教育じゃないのかねえ?

親たちよ、まずは自分が楽しもうぜ。楽しくないやつがなにを忠告しても、それに従ったらただの楽しくない退屈な人生しかないと子どもは感じるだけだから、いうこと聞くはずがない(笑)。楽しいことには敏感よ、子どもたちは。なぜなら自然の人間は楽しむこ…

川上康則 著『教室マルトリートメント』より。学校に余白を増やし、教室マルトリートメントを断つ。

前年度の先生が非常に高圧的な指導で子どもたちに物を言わせない、シーンとした一見静かな学級をつくっているのだけど、子どもたちの中では不満が鬱積している。翌年、こういう落ち着いた子たちだったら若手や病休が明けた先生に任せても大丈夫だろうという…

猪瀬直樹 著『瀕死のジャーナリズム』より。宗教法人を甘やかすことが民主主義の実現ではない、という四半世紀前の著者の言葉が重く響く。

その意味において、戦争責任の問題で言論の弾圧だけに言及してしまうのは、検証が甘すぎるといわざるをえない。戦前・戦中には、言論の自由が制限されたことは確かだが、軍部の発表をいわば ”あうんの呼吸” でそのまま記事にしていた。新聞側の取材姿勢にも…

國分功一郎、千葉雅也 著『言語が消滅する前に』より。能動か受動か、そんなことは忘れて教師も子どもも一緒になって学び浸ろう。

國分 授業もそういう意味では中動態ということだよね。つまり、教師が能動で、生徒が受動じゃダメで、そこに中動態的なプロセスがなければいけない。千葉 そう。だから、最近流行りのアクティブラーニングとか言って、学生にアクティブに課題か何かをやらせ…