田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

猪瀬直樹 著『黒船の世紀(上) あの頃、アメリカは仮想敵国だった』より。歴史年表の「行間」を読むということ。

日露戦争に勝利したのちにもなお、日本はロシアを恐れた。明治40年に「帝国国防方針」が定められている。山県有朋の初めの試案では、仮想敵国は徹頭徹尾ロシアであった。だが、この試案に海軍側が意義を唱え、アメリカを仮想敵国に加えさせた。アメリカの…

映画『ブータン 山の教室』(パオ・チョニン・ドルジ監督作品)より。歌も教育も、自分のことだけじゃなくて、他人のことを祈るためにあってほしい。

本作は、ブータンのさまざまな話を継承したいという想いから生まれました。この映画のストーリーのあらゆる要素は、私がブータン中を旅したときに聞いたエピソードや、出会った人々がベースになっています。そこにこそ、ブータンという国の本当の ”価値” が…

猪瀬直樹 著『明日も夕焼け』より。泣きごとは必ず云うな。

君の自主性を尊重するとか、自分で考え給えとか、格好がよいけれど決断という負担を単に押しつけているだけで、とても無責任なのである。確固とした価値観がなく臆病でなにかから逃げているだけにすぎないのに、ものわかりがよいふりをしている。 ときには、…

下條信輔、為末大 著『自分を超える心とからだの使い方』より。大村はまの「学びひたり 教えひたろう 優劣のかなたで」は「ゾーン」のこと。

このことと、なぜ、小さな子どもたちが夢中になりやすいのか、ということはつながっているような気がします。それはただ楽しいから没頭していくわけで、大人になればなるほど、善い・悪い、素晴らしい・素晴らしくない、未来がある・未来がないということが…

湯浅誠 著『つながり続ける こども食堂』より。方向はこっち。学校も、こども食堂に追いつこう。

人を年齢で割らない。何歳の人が来てもいい。子どもも、親も、地域の高齢者も。人を所得で割らない。年収いくら以下の人は無料とか、いくら以上の人は500円とか、割らない。そういう「タテにもヨコにも割らない」場所だから、上下がない。上下はないが、…

重松清 著『まゆみのマーチ』より。失われた風景を取り戻すために、昔のわたしに会う。

わかった。わたしがこの町でいちばん会いたかったのは、昔のわたしだったんだ、と思った。だいじょうぶ。ちゃんといた。マチコさんがこの町で暮らしたことの証は、ここに残っていた。(重松清『まゆみのマーチ 自選短編集・女子編』新潮文庫、2011) こんば…

隂山英男 著『子どもの幸せを一番に考えるのをやめなさい』より。結局、親。やっぱり、生き方。一番は、あなたの笑顔です。

子どもの幸せを一番に考えるのではなく、まず親自身がどうしたら幸せになれるか、どうしたら親が子どもの手本やロールモデルになれるか、そちらのほうをもっと一生懸命考えるといいのです。なぜなら、親も子どもも幸せを追求する共同体だからです。親が幸せ…

佐伯夕利子 著『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』より。この本を学習指導要領の総則にしてほしい。

自分で考え、主張できる文化へと変わらない限り、サッカーの練習に来た子どもに「自分で考えろ」と命じてもハードルが高いでしょう。学校の教室が変わらなければ、根本的なことは変わらない。スポーツも社会も、その基盤は教育なのです。(佐伯夕利子『教え…

武田信子 著『やりすぎ教育』より。やりすぎ教育の裏にやりすぎ労働あり。ほどほど教育&ほどほど労働への変化を、見たい。

ガンジーは、読み書きができればいいという西欧の教育観は間違っていると言い続けていました(『ガンジーの教育論』、片山佳代子訳・編、星雲社)。彼自身は高等教育まで受けた人ですが、インドの人々を学校に行かせることで、彼らがより多く生計を得るよう…

平野啓一郎 著『本心』より。分人概念と、最愛の人の他者性と。

それにしても、現在を生きながら、同時に過去を生きることは、どうしてこれほど甘美なのだろうか。僕が、〈母〉を必要としなくなったのも、それが却って、母の記憶を生きることを邪魔していたからかもしれない。今の僕は、母が死んだ世界でも、やはり正しく…