本質的に子どもはそういうものなのだ。子ども本来の姿が、そのまま通らないところに、社会の罪があるというふうに考えられはしまいか。(灰谷健次郎『わたしの出会った子どもたち』新潮文庫、1984) こんにちは。昨日、横浜にある情報文化センターまで足を運…
フミがぼくの地図の中心だった。どこが好きなのかしら、と言ったフミの言葉がふいに蘇ってきた。ぼくこそフミのどこが好きだったのだろう。自分の気持ちを知りたかった。ぼくは自身に問いたいがために地図を作ってきたのかもしれない。(辻仁成『アンチノイ…
解決できない問題の存在を受け入れ、それを前提とした議論を進めていくことも必要だ。例えば就職氷河期世代が高齢期に差し掛かった時には、現行の公的年金制度の給付だけでは生活が成り立たない単身高齢者世帯の増加はおそらく避けられない。そこを直視せず…
橋本治に関して思ったのは、橋本さんもものすごい量の本を刊行したじゃないですか。ああいう度を超えたクリエイティビティって、私はなんとなくわかる気がするんですよね。つまり、トラウマがエンジンになっているんじゃないかなと思うんです。(横道誠、菊…
俺の定位置は半円形のカウンターの一番左端と決まっていて、そこは酒を客に注ぐ香奈江の横顔を眺めるのに適した場所だ。坊城や作家の久遠といった常連客たちの杯に香奈江が酒を注ぐのを、静かに眺めて夜を過ごす。その時俺は一人ここで優越感に浸りながら香…
こうやって「第四次レトロブーム」に耽るうちに、僕はじぶんの書物に対する興味も見直すようになって、本だけでなく好きなレトログッズを並べた「理想の本棚」を模索するようになった。その一例が写真41の本棚だ。ここに並べた書籍とその著者名を書きだし…
2022年9月に静岡県で発生した、台風の影響による豪雨災害では、市街地全体が大規模に水没するという、生成AIで作られたフェイク画像が広く出回り、人々を混乱させる事案が問題になりました。画像はフェイクだと、ほどなくして明らかになりますが、画…
「私たちがどうやって教員を評価しているかですか? 話もしませんよ。そんなことは私たちの国では関係ないのです。その代わりに、私たちは『どのように彼らをサポートできるか』を議論しますよ」。現場を信じて任せる……。教育現場に結果責任を求めるのではな…
僕達は、何人もの人達と出会っては別れていく。生きている限り、何処かで誰かと会ってしまう。そして何処かに、大切な人達を置き去りにしてしまう。僕達は小さな頃からそれを繰り返してきた。小学校の頃、とても仲のいい友達がいた。席替えがあるまで、僕は…
最後にそこを使ったのは、ちょうどエコーズの解散コンサートの直前だったので、初めて顔を出した時から本当に十年という歳月が流れていた。 もうみんな、何を見ても驚いたりはしなかった。あまりプライベートなことも話さなくなっていた。相変わらず練習は好…
ロシアとドイツを結ぶバルト海の天然ガスパイプラインの破壊も、西側メディアでは「ロシアによる工作だ」という論調ですが、私は米国と英国とポーランドが破壊したと確信しています。天然ガスを止めたいのなら、ロシアは単にパイプラインの栓を閉めればいい…
理由なんてなんでもよかった。危険とか、ダメとか言われれば、それをしたくなるのが子供であった。今思えば、危険こそが一番の教育者であった。危険が僕等に教えてくれたことは大人になって本当に役に立った。ダメと言われて、それをしない子には、優等生に…
小学校のときというのはどうしてあんなに変な奴が多いのだろう。振り返ると小学校時代ほど変な奴が溢れていた時代はない。奇人変人のオンパレードなのである。大人になると皆だんだんまともになっていき普通になってしまうのが残念だ。人々が子供の頃のまま…
重要なのは、状況に自分を合わせるということでは必ずしもないことだ。むしろ自分の特性とうまく組み合わさるところに入っていき、多少は周囲との関係で自分を「カスタマイズ」しつつも、自らの特性を維持することが周りのメリットにもなり、そのことで自ら…
人が旅をして、新しい土地の風景を自分のものにするためには、誰かが介在する必要があるのではないだろうか。どれだけ多くの国に出かけても、地球を何周しようと、それだけでは私たちは世界の広さを感じとることはできない。いやそれどころか、さまざまな土…