田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

小川糸 著『針と糸』より。大きな決断をしなければ、見えない景色がある。

私にその意思さえあれば、ここで遊牧民として生きることだって、決して不可能ではないということ。自分はそれくらい自由で、どこにでも住めるのだ、とはっきり自覚したのである。そうしたら、ものすごく楽になった。自分をがんじがらめに縛っていたのは、他…

猪瀬直樹 著『持続可能なニッポンへ』より。持続可能な公教育へ。

東京都足立区では児童・生徒数の42.5%が就学援助を受けている、と朝日新聞は格差の拡大の証明のように報じた(06年1月3日付)。だが足立区では4人家族で年収329万円~412万円(幅は家族の年齢構成による)、また6人家族は年収410万円~5…

さくらももこ 著『ひとりずもう』より。私の人生は私のものでしかない。

夏休み前に、短大の国文科への推薦希望者は、作文の模擬テストを受ける事になった。私は作文は得意だったので、気軽な気持ちで作文を書いた。 その作文が、ものすごくほめられた。評価のところに、「エッセイ風のこの文体は、とても高校生の書いたものとは思…

猪瀬直樹 著『この国のゆくえ』より。政局ではなく、政策を報じてほしい。

2005年夏、郵政国会は参議院でヤマ場を迎えていた。新聞社の政治部は、解散だ、解散だ、と煽り立てている。政治記者は首相の交替だ、いや政権交替だ、と騒ぎたい。政局が仕事だと勘違いしている。彼らにとって4年も続く長期政権は、髀肉の嘆を託つもの…

小川てつオ 著『このようなやり方で300年の人生を生きていく』より。やりたい事をやる。

さらにいえば、このような旅行をしていると必ず「若いうちだけだよ」とか「思い出作りにね」とかいう言葉をはげましとして言われのだが、これもあたいは、イヤだ。旅行をいつまで続けるかということではなく、このようなやり方・精神で、三百年の人生を生き…

上田岳弘 著『旅のない』より。芥川賞作家が紡ぐ4つのストーリー。

ナビを見ると、新幹線の駅まで残り10分ほどだった。僕は、彼が撮ろうとした映画の話を切り出すタイミングを見計らっていた。なぜか気になっていた。それは言葉に置き換えるべき何かが発見できる予感があったからかもしれない。時々、そんなことがある。言…

さくらももこ 著『ももこの世界あっちこっちめぐり』より。ももこは天才だし、子供心を失っていない。

そこはもう、ガウディの世界一色だった。ガウディの世界に触れた人は皆「ガウディは、子供心を失っていない天才だ!!」と一様に言うが、まさしくその言葉に尽きる。ガウディは天才だし、子供心を失っていない。(さくらももこ『ももこの世界あっちこっちめ…

伊坂幸太郎、東野圭吾、他『時ひらく』より。じつに素晴らしい。

仙台駅の西口方面には、東西に走る大通りが三つあり、北から、「常禅寺通り」「広瀬通り」「青葉通り」と名前がついている。その常禅寺通りを駅側の端から十分ほど歩いたあたり、大きな交差点の角に百貨店「三越」があった。建物は二つあり、常禅寺通りにく…

小池陽慈 編『つながる読書』より。本に対する愛を紐帯として、つながろう。

私、今回の企画にあたってお声がけした方々の全員と、つい数年前まではまったくの他人だったんです。それが、SNSや各種のイベントを通じ、こうしてつながった。もちろん、本に対する愛を紐帯として。すごいですね。本は、人と人とをつなげてくれるんです…

吉藤健太朗 著『「孤独」は消せる。』より。念願の「分身ロボットカフェ DAWN」に行ってきました!

テクノロジーが進歩し、インターネットで世界中の誰とでもリアルタイムにやりとりができて、ネットで注文したものが即日届くこの時代。それでも我々は毎日顔を洗い、着替え、時間をかけてバスや電車に乗って教室やオフィスに集まる。なぜだろうか。朝起きて…

授業づくりネットワーク編集委員会 編『揃わない前提の授業を見る・感じる・考える』より。定時に準備が終わる前提の授業も考えたい。

ネットワーク運動というのは、「異質な者どうしの学び合い」を方針に掲げているので、私は当時、大学の先生や企業の方など色んな人と関わっていく中で、自分の実践にもすごく役立つし、面白かったので、続けてきました。今、石川さんが向山さんとは別の方向…

池波正太郎 著『ル・パスタン』より。あなた様はまだ生活をご存じないのでは……。

ジュリオは、子供たちにあたえる果実ひとつにも季節が消えてしまった現代をなげいて、「いまは、いつでも何でもある。けれど、子供に思い出がなくなってしまった」 と、哀しげに、つぶやく。 思い出をもたぬ人間の不幸を、現代人は不幸とおもわぬ。国の歴史…

大岡昇平 著『野火』より。戦争を知らない人間は、半分は子供である。

或る時、川は岸からかしいだ大木の蔭で、巨大な転石の間を早瀬となって越し、渦巻いていた。私は靴を脱し、足を水に浸した。足の甲はいつか肉が落ち、鶏の足のように干からびて、水に濡れにくかった。手の皮膚も骨に張りつき、指の股が退いて、指が延びたよ…

宮崎智之 著『モヤモヤの日々』より。普通のまま発狂したい。

父は中也の代表的な詩「サーカス」の「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」という擬音に戯けた抑揚をつけて、僕に聴かせてくれた。それが耳に残り、何度も何度も朗誦をせがんだものだ。父自身は「含羞」という詩が好きで、「なにゆゑに こゝろかくは羞ぢらふ」と…

新藤宗幸 著『教育委員会』より。今も昔も、なぜ、教育委員会が問われるのか?

ほんとうにこの国は、「過剰同調社会」ではないだろうか。経営組織における業績評価と成績主義は行政組織にも導入されるべきだとの言説が展開されるのは、1990年代以降である。いわゆるNPM(新しい行政管理)として、イギリスやニュージーランドには…