ロッキード事件は、戦後のさまざまな政治的事件の中でも、とりわけ戦後日本の政治構造をむきだしにしてみせた出来事だった。1976年2月、アメリカ上院外交委員会の多国籍企業小委員会は、ロッキード社が日本に対する旅客機と対潜哨戒機の売り込み工作に…
もっとも、義務教育標準法ができた1958年当時は、1コマの授業にだいたい1時間程度の授業準備がかかるであろうという前提で文部省はいたことが、国会答弁でも明言されています。 現在の公立学校教員の1週間の勤務時間は38時間45分なので、仮に1週…
取材に受け応えしながら、いっぽうでこの女性の年齢はどのぐらいなのだろうと思いめぐらせていた。年齢を訊くのは失礼なので、あとで調べた。五十八歳とわかった。 日本で五十八歳の現役女性記者が何人いるだろうか。しかもテーマを見つけたら、さっとニュー…
さて、ここまでのお話でみなさんがいま、どういう社会で生きているのかということがよくわかったと思います。 人間関係が空洞化して「孤独」になってきた。「孤独」ゆえに、心を病んだり、警戒的・攻撃的になったりする。だから人と仲よくなれない。そうした…
さまざまな家の本棚を見るたびに、わたしは思う。本というのは、持ち主の願望そのものだと。「食べてはいけない」「買ってはいけない」「信じてはいけない」そんな恐怖が並ぶ本棚もあれば、「こういう自分になりたい」「こんなことをやってみたい」という願…
早晩、担任がいなくて成り立たなくなる地域は生まれます。そうなったら、大分大学教育学部付属小学校のような改革をせざるを得ません。 例えば、部活は規模を縮小し、社会体育に移行するでしょう。部活命の教師は自宅近くの社会体育の指導者になるのです。登…
将棋ソフトはまずもって、棋士が育んできた将棋観を揺るがす異質な他者として現れた。棋士が鍛えてきた精緻な物語的思考。それが人間の思考に一定の制約を与えるものでもあることが、流れを考慮しないソフトの数値的思考と関わるなかで明らかになったのであ…
「あいつは宇宙人だ」と言われる人物はたくさんいるが、ここではまずその代表として、元首相の鳩山由紀夫氏に登場していただこう。グーグルで「鳩山由紀夫 宇宙人」で検索をかけると、約24万5000件のヒットがある。この比喩は広く日本人に共有されてい…
これは、僕の「分人主義」の発想にもつながる話です。労働者としての比率が個人の中でどの程度の割合なのか。それが政治主体はじめ、消費主体、あるいは家族といるときの自分、恋人や友人といるときの自分・・・・・・など、私的な分人を圧迫してしまうと、政治行…
「そもそも、ぼくはなぜ『もしドラ』を書いたのだろう?」 その理由は、もちろん一つではなかった。あまりにも多すぎて、それを一冊の本(『「もしドラ」はなぜ売れたのか?』(東洋経済新報社)にまとめたくらいだ。 ただ、一番の理由は、「ドラッカーの『…
日本では、終身雇用や年功序列賃金制度が期待できなくなっても、仕事をやめないことを美徳とするのが主流である。このような価値観は、景気が悪化し、非正規雇用やワーキングプアなどの格差問題が顕在化した現在、ますます強くなっているようにも感じる。し…
「昔、父親から、日本に帰りたいと思うな。二、三日は親も兄弟も大切にしてくれるが、彼らだって食うにせいいっぱいなんだ。それに朝鮮人と結婚していると差別されるぞ。アメリカ人と結婚して生まれた子供でも石を投げられたりする。差別のないロシアで生き…
年金問題を話すときには、「1人の高齢者を⚫人の現役世代で支えている」という話をよく聞くのに、「1人の子どもを⚫人の現役世代で支えている」という数字を目にすることがほとんどない。1人の女性が産む子どもの人数しか気にしない。 現代の社会では、高齢…
最近、「親ガチャ」などという言葉が流行っています。これは、自分たちは親を選ぶことができず、どのような環境で育つかは運次第だという諦めや苛立ちを、カプセル玩具が無作為に出てくる「ガチャガチャ」にたとえたものですが、若い人たちがそのように切実…
親たちよ、まずは自分が楽しもうぜ。楽しくないやつがなにを忠告しても、それに従ったらただの楽しくない退屈な人生しかないと子どもは感じるだけだから、いうこと聞くはずがない(笑)。楽しいことには敏感よ、子どもたちは。なぜなら自然の人間は楽しむこ…