田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

平野啓一郎 著『死刑について』より。死刑存置派から死刑廃止派へ。他者と、問いと、創作を通しての変容を語る。

最近、「親ガチャ」などという言葉が流行っています。これは、自分たちは親を選ぶことができず、どのような環境で育つかは運次第だという諦めや苛立ちを、カプセル玩具が無作為に出てくる「ガチャガチャ」にたとえたものですが、若い人たちがそのように切実…

坂口恭平 著『よみぐすり』より。楽しさの伝授こそが教育じゃないのかねえ?

親たちよ、まずは自分が楽しもうぜ。楽しくないやつがなにを忠告しても、それに従ったらただの楽しくない退屈な人生しかないと子どもは感じるだけだから、いうこと聞くはずがない(笑)。楽しいことには敏感よ、子どもたちは。なぜなら自然の人間は楽しむこ…

川上康則 著『教室マルトリートメント』より。学校に余白を増やし、教室マルトリートメントを断つ。

前年度の先生が非常に高圧的な指導で子どもたちに物を言わせない、シーンとした一見静かな学級をつくっているのだけど、子どもたちの中では不満が鬱積している。翌年、こういう落ち着いた子たちだったら若手や病休が明けた先生に任せても大丈夫だろうという…

猪瀬直樹 著『瀕死のジャーナリズム』より。宗教法人を甘やかすことが民主主義の実現ではない、という四半世紀前の著者の言葉が重く響く。

その意味において、戦争責任の問題で言論の弾圧だけに言及してしまうのは、検証が甘すぎるといわざるをえない。戦前・戦中には、言論の自由が制限されたことは確かだが、軍部の発表をいわば ”あうんの呼吸” でそのまま記事にしていた。新聞側の取材姿勢にも…

國分功一郎、千葉雅也 著『言語が消滅する前に』より。能動か受動か、そんなことは忘れて教師も子どもも一緒になって学び浸ろう。

國分 授業もそういう意味では中動態ということだよね。つまり、教師が能動で、生徒が受動じゃダメで、そこに中動態的なプロセスがなければいけない。千葉 そう。だから、最近流行りのアクティブラーニングとか言って、学生にアクティブに課題か何かをやらせ…

猪瀬直樹 著『ラストチャンス』より。いい人というのは決断しない人。闘うインテリ作家と闘うインテリ教員が日本を救う。

じつは国土交通省や日本道路公団の心ある若手職員のなかには、いつまで自分たちは採算を度外視した道路をつくりつづけなければいけないのか、と疑問を抱いている者も少なくない。しかし、自分たちから止めてくれ、と言うわけにはいかず、じつは外からの声を…

今井孝 著『「君しかいない!」と言われる人になる』より。51のステップで起業家的習慣を身につけるゾウ。

私の周りの起業家でも、自分より活躍している人の話を聞きに行く人がたくさんいます。パーティに参加したり、講演会を聞きに行ったりします。やる気やモチベーションが偶然高まるのを期待せず、安定して維持できるように工夫しているわけです。 私もいまだに…

猪瀬直樹 著『日本の信義』より。上喜撰、はよ。信義の士、はよ。ファクトとロジック、はよ。

猪瀬 昭和天皇が亡くなってちょうど1年になろうとしていますが、昭和天皇は一種の創業者で、いまの天皇はジュニアというイメージですね。 自民党の国会議員も約40パーセントがジュニア。世襲議員なんです。それに官僚出身の議員も25パーセントいる。世…

猪瀬直樹 著『日本凡人伝 今をつかむ仕事』より。Q:日本とアメリカは何が違ったか。A:アメリカは、偉い人が本当に偉かった。

つまり、猪瀬氏が、膨大でつかみどころのない事象を細心の注意をはらって分析していった果てに見いだすのは、無定見な欲望であれ、脆弱な理想主義であれ、意識的であれ無意識的であれ、要するに固有名詞をもった個人のヴィジョンなのである。どんな巨大な文…

見田宗介 著『まなざしの地獄』&『マル激(第1100回)』より。現代も続く「まなざしの地獄」から逃れる術はあるのか?

これはたんなる比喩であろうか? 中卒者を「金の卵」とよぶとき。それはだれの、どのような期待を反映しているか? いうまでもなく、それは彼らが、雇用者たちにとって、下積みの安価な労働力として貴重品であることを示す。鎌田忠良氏が的確に指摘するよう…

水野敬也 著『夢をかなえるゾウ3』より。夢をかなえることと、幸せになることは違う。

ガネーシャの言う痛みが一体どんなものなのか明らかになってはいませんが、それは、あなたを不幸にしてしまうものかもしれません。「夢をかなえることと、幸せになることは違う」 これはよく言われる言葉ですが、ガネーシャは、「夢をかなえる」とは言ってい…

見田宗介 著『宮沢賢治 存在の祭りの中へ』&『マル激(第1100回)』より。宮沢賢治 → 見田宗介 → 宮台真司、等々 → 以下、無限に続く。

わたしたちが〈いいこと〉のために自分を犠牲にするというとき、なにがほんとうに〈いいこと〉であるか、それをどのようにしてわたしたちは知ることができるのか。 友人の生命を助けて死んだカムパネルラは、文句のない善行にみえる。それでもカムパネルラは…

森達也、望月衣塑子 著『ジャーナリズムの役割は空気を壊すこと』より。森達也さんが「給特法」に言及しています!

給特法を簡単に説明すれば、「教職は聖職だから残業代は出さない」という法律です。50年前に自民党の文教族によって定められました。そして今の教育現場で教師たちは、授業だけではなく親への対応や学校の雑務など、あまりに仕事量が多くて疲弊しきってい…

猪瀬直樹 著『日本凡人伝 二度目の仕事』&マル激(第1101回)より。やっぱり違いますねえ、昔の人は。教育ではなく、時代の力。

⚪昔はアレだね、兄弟多いから、船から落として「帰れッ」って言えたけどね。いまは一人っ子だから無理だもんね。その後、輪島から出た水泳選手、どうでしたか。⚫何人か出たけど、駄目ですね。高校が進学校に切り替わっちゃったから。昔は大学行くなんてタイ…

水野敬也 著『夢をかなえるゾウ2』&『マル激(第1100回)』より。開かれ(夢)に閉ざされないためにはどうすればいいのか。

「本ちゅうのはな、この地球に生きてきた何億、何十億ちゅう人らの悩みを解決するために作られてきたんやで」 ――確かに、ガネーシャの言うとおりかもしれない。 この世界には、過去に僕と同じ悩みを抱えていた人がたくさんいて、僕の方から手を伸ばしさえす…