田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

蜷川有紀、猪瀬直樹 著『ここから始まる』より。恋する日常をしましょう。

「僕の妻もいっしょにいるだけで、家屋の空間を満たしてくれる存在だった。僕は、妻を空間ごと愛していたのです」 猪瀬は、蜷川に会ってから「恋する日常をしましょう」と囁いた。(蜷川有紀、猪瀬直樹『ここから始まる』集英社、2018) おはようございます…

三浦瑠麗、猪瀬直樹 著『国民国家のリアリズム』より。大学の教授より、むしろ小学生の先生を大事にしなければいけない。

三浦 私が猪瀬さんを好きなのは、相変わらず進歩することを信じているからです。猪瀬 僕が未来を信じようとしている思いは、日本の近代について考え続けた、その責任感から生まれた。(三浦瑠麗、猪瀬直樹『国民国家のリアリズム』角川新書、2017) こんばん…

中村哲 著『わたしは「セロ弾きのゴーシュ」』より。〈世界〉に開かれた「ゴーシュ」という生き方。

この土地で「なぜ20年も働いてきたのか。その原動力は何か」と、しばしば人に尋ねられます。人類愛というのも面映いし、道楽だと呼ぶのは余りにも露悪的だし、自分にさしたる信念や宗教的信仰がある訳でもありません。良く分からないのです。でも返答に窮…

角幡唯介 著『狩りの思考法』より。未来を計画的に見通してはいけない。アンマカ。

ところが2017年におこなった探検がきっかけとなって私の物の見方は大きく変わってしまい、結果、現実とはカオスであること、そしてこれを直視しないためにわれわれは未来予期にすがって生きているのだ、と認識するようになったのである。というのもその…

猪瀬直樹、山口昌男 著『ミカドと世紀末』より。眞子さま=放浪のプリンセスという見方・考え方。

猪瀬 先日、高松宮宣仁が亡くなりました。すると、新聞の論調は、たとえば「銀座にお忍びでお出かけになる気さくな宮さま」とか「一個七十円の大福餅を食べた庶民的な宮さま」というふうに傾斜していくんです。これはいったいどういうことなのか。一種の〈放…

田原総一朗、佐藤優、宮台真司『日本流ファシズムのススメ。』より。社会の保全に関心を!

宮台 そうなんです。これはおもしろいですよね。経済的に裕福な人たちが、自分たちの経済的なゲームを支えてくれる大統領は誰かというと、マケインではなく、オバマだと。「オバマのように社会の保全に関心を持つ人間がいないと、最終的には自分たちの経済ゲ…

出口治明、猪瀬直樹、中島聡、他『リーダーの教養書』より。第49回衆議院選挙、リーダーはだれだ。

つまり、人間には「統治する側」と「統治される側」があるが、日本文学の系譜において、森鴎外側が途切れてしまった。夏目漱石自体は偉いが、漱石の系譜はだんだんと私小説のほうに流れてしまい、結局、太宰治になってしまった。昭和の戦争に至る過程におい…

岩瀬直樹、中川綾 著『みんなのきょうしつ』より。リフレクションを通して解像度を高めよう。

そういえば、教室リフォームのとき、一生懸命科学コーナーをつくっている友だちの横で、イケッチは図鑑を読んでいた。でも、そんなイケッチに目くじらを立てずに、それぞれの仕事をやっていると、そのうちイケッチも働きはじめる。そういう緩やかさは大事に…

伊坂幸太郎 著『ペッパーズ・ゴースト』より。弱さはいつか強さになる。

利害関係なく頼れるのは親くらいだよ。昔から母はよく言い、その恩着せがましい言い方に、親なら当たり前だろうとでもいうような反応しかできなかったが、教師になってからは、それは決して、当たり前のことではないと理解できた。頼れる親が、実際に頼りに…

田中泰延 著『会って、話すこと。』より。誰かに「会いたい」って思われる人に、なればいい。

わたしたちは、会いたいのだ。いま、その意味を、考えるいい機会だと、わたしは思う。(田中泰延『会って、話すこと。』ダイヤモンド社、2021) おはようございます。学生時代に観たアングラ演劇の「会おうと思えばいつでも会えると思える人には絶対に会えな…

ブレイディみかこ 著『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』より。ちょっとブルーには、特権的な価値がある。

「ビートルズのポール・マッカートニーは、最初の結婚のとき、子どもを4人ともふつうの公立の中学に行かせたらしくて。デザイナーのステラ・マッカートニーのインタビューを読んだとき、彼女は最初、セレブリティーのくせに私立に行かせてくれなかった親の…

町山智浩 著『それでも映画は「格差」を描く』より。教え子たちの全員が未来へのメッセージ。

『キッド』に影響されてデ・シーカは『自転車泥棒』を作りました。アントニオとブルーノが路上に並んで座るシーンは『キッド』へのオマージュです。そして、『自転車泥棒』に影響されてケン・ローチやダルデンヌ兄弟は映画を撮り始めました。是枝監督もまた…

落合陽一、猪瀬直樹 著『ニッポン2021ー2050』より。ニッポンよ!にほんよ!

僕が東京都副知事だったころ、笑ってしまうような出来事がありました。茨城県の副知事から相談を受けたのです。彼は上野駅のコンコースで納豆フェアをやろうとしたが東京都の役人が待ったをかけた、おかしな話だから何とかしてほしいと言います。どういうこ…

猪瀬直樹 著『道路の決着』より。改革のノウハウと意志、そして希望をつかむための教科書。

改革は百点でないがゼロ点でもない。百点でなければ辞任、とはおかしい。それならすべての審議会の委員は全員辞任しなければいけないことになる。表向きの美辞麗句の裏に隠された真相を実証的に解明するのがメディアの役割ではないのか。アガサ・クリスティ…

岩瀬直樹、寺中祥吾 著『せんせいのつくり方』より。一つの出来事、小さな違和感。そこを丁寧に考える。

数年前、オランダの小学校に参観に行ったときのこと。その学校には宿題がないというので驚いた。理由をたずねるとおおよそこんな答えだった。 『学校でのことは学校で終えるべき。おとなになって仕事をするときも職場で決まった時間のなかで終わらせることが…