田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

岩瀬直樹 原案『きょうしつのつくり方』より。コントロール欲求を手放した先にはどんな教室の可能性が開かれているのか。

岩瀬…凝集性の違和感みたいなことがぐっと来たときは、大きい変化を自分の中に感じました。「自分自身は割とそういう場は嫌なのに、先生である私はやれてしまう」みたいなところがつながったときに、自分の中に一つ核ができたという感じはあります。学校の先…

岩瀬直樹 著『成果を上げて5時に帰る教師の仕事術』より。テクニックではなく、どう生きているか。

3年前、オランダの学校に見学に行った時のこと。その学校に宿題がないと聞いて驚きました。その理由を尋ねるとおおよそこんなことでした。「学校で毎日学習している。決められた時間の中で終える、ということが大切。家での時間は各家庭で豊かに過ごしてほ…

宮台真司 著『終わりなき日常を生きろ』&『マル激(第1034回)』より。オウム&IS&DS完全克服マニュアル。

私たちは、戦後ながらく、コミュニケーションの自由を求めてきた。しかし自由とは、コミュニケーションの失敗がもっぱら自己責任に帰属されることと同義である。私たちはそうした状況を、かつて一度も生きたことがない。長らく共同体的な存在だったというこ…

鴻上尚史、ブレイディみかこ 著『何とかならない時代の幸福論』より。子育て論として読む。

鴻上 もしブレイディさんのお母さんが人生相談に投稿するとしたら、うちの娘はもういくつになっても海外に行っては帰ってきて汚い格好をして、どうしたらいいですか、みたいな(笑)……。ブレイディ そんな相談がきたら、なんて答えるんですか?鴻上 いやもう…

近内悠太 著『世界は贈与でできている』より。贈与は、差出人ではなく、受取人の想像力から始まる。

「近内君、最近どう?」 ある飲み会の席で、加藤さんは気さくに声をかけてくれました。「今、いろいろ文章を書いてみているんです。でも、文章を書くと、ああ、自分はからっぽなんだなって思い知らされるんです」 僕は思わず加藤さんにそう漏らしました。 そ…

映画『ソワレ』(外山文治 監督作品)より。映画も授業も、固定概念を捨てて、チャレンジを。

『ソワレ』は、役者志望の村上虹郎が「オレオレ詐欺」で日銭を稼ぎ、劇団員とともに故郷(和歌山)の老人ホームに慰問に出かけ、芋生遥と出会うところから物語が始まる。しかし、ドキュメンタリータッチで描かれる主役の二人に感情移入がしづらく、「点描」…

猪瀬直樹 著『ジミーの誕生日』より。これを読まずして小学6年生に日本国憲法や日本近代史を教えることなかれ。

謎があればこころ穏やかならず、である。手紙の主は美人かもしれないという期待よりも、なによりも謎とあればすぐにそのとりこになる僕の貪婪な探究慾がまたもや首をもたげた。(猪瀬直樹『ジミーの誕生日 アメリカが天皇明仁に刻んだ「死の暗号」』文藝春秋…

出口治明、上野千鶴子 著『あなたの会社、その働き方は幸せですか?』より。これは余生だと思うこと。働き方改革はそれからだ。

上野 介護業界で非常に尊敬している研修のプロがいます。彼女と話した時、兵法には「戦略、戦術、戦闘」の3つがあって、戦略の間違いを戦術で補うことはできず、戦術の間違いを戦闘で補うことはできない。ところが、介護現場は戦略の間違いと、戦術の限界を…

猪瀬直樹 著『作家の誕生』より。全体像を掴んでから細部に進む。作家評伝三部作(三島、川端&大宅、太宰)を読む前に、是非。

作家という職業はなぜ生まれたのか。最初の自分探しは学歴エリートよりはじまるが、時間つぶしの余裕をもつ若者は時代とともに増えていき、今日のフリーターの原型のようなかたちで「文学青年」と呼ばれた一群が簇生する。しかし、彼らは生き抜かなければな…

柳美里 著『JR上野駅公園口』より。ひとりも見捨てない。想像力の一助に。

死に場所を探して上野公園で何日か過ごすうちにくたびれ果てて、五年間もここに居着いてしまった。 冬場は辛い。 夜は寒くてよく眠れず、昼の間にコヤから出て猫のように日溜まりを追いかけてうたた寝する日々は、かつては家族の一員であったことを忘れそう…

猪瀬直樹 著『欲望のメディア』より。想像力のスイッチを入れるために、ミカド三部作を読む。

いまや高柳健次郎の抱いたSF的な夢は技術的な努力の延長のうえに克服されたし、正力松太郎がとり憑かれた大衆を虜にする見世物は企業的に成功した。すでに僕たちはその結果を享受している。(猪瀬直樹『欲望のメディア』小学館、2013) こんばんは。すでに…

映画『NETFLIX 世界征服の野望』(ショーン・コーセン監督作品)より。涙とミステイク積み重ね野に咲くNETFLIX。ただひとつだけ。

描かれるそんな恐ろしさとは別に、作品に登場する人々はとてもチャーミングで愛せる人たちだった。現CEOのリード・ヘイスティングスがどんどん洗練されて「業界の大物化」していくのに対して、インタビューに答える元NETFLIXのメンバーたちは一様…

猪瀬直樹 著『土地の神話』より。コロナ禍なのに、なぜ満員電車に乗って通勤しているのか。私たちの自画像に迫る。

ロンドンと東京、二つの大都市にそれぞれ田園都市が生まれ、歴史を刻みながら成長をつづけた。レッチワースの第一田園都市株式会社の実務家たちはハワードに冷淡だったが、そのプランを葬り去ることはできなかった。あらためて思想とは強靱なものだと思う。…

内田樹、岡田斗司夫FREEex 著『評価と贈与の経済学』より。愛情の欠如が子どもの未来を逞しくするケースもある。

内田 セックスアピールって歴史の関数だから、時代とともに揺れ動くんですよ。イケメンのほうが社会的上昇の確率が高いという時代もあったのかもしれない。でも、いまは違う。贈与経済の話のときに岡田さんが言ったとおり、これからの時代、一番頼りになる人…

猪瀬直樹 著『東京の副知事になってみたら』より。まず書籍を読む習慣を身につけてもらうこと。人生はそれからだ。

僕は作家として、作家だからできることを考えた。直感の力、記録し伝える力、という武器を駆使した。ビジネスマンなら、エンジニアなら、公務員なら、中小企業の経営者なら、スポーツマンなら、男でなく女だから、それぞれができることを提案し、提案するだ…