田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

東浩紀 著『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』より。忙しすぎる学校に、誤配を。誤配を生む、時間を。

若いときには、ひとはだれでも世界を変えたいと思っています。でもそれはオルタナティブでありたいという思いとは関係ない。若者は先行世代を追い出せば業界が変わると考える。でもじっさいにはテレビも新聞もつねに新しいコメンテーターを必要としているし…

猪瀬直樹、東浩紀 著『正義について考えよう』より。日本には本来、正義があった。

東 僕はこの本を読んで、昔の猪瀬さんに久しぶりに会ったように感じました。高校生の頃、『ミカドの肖像』で猪瀬さんを最初に知り、それでファンになりました。あのノンフィクションは、東京をよく見るとプリンスホテルがいっぱいあるけど、あれは何だろうと…

出口治明、鹿島茂 著『世界史に学ぶコロナ時代を生きる知恵』より。コロナ禍を奇貨として、教育に劇的ビフォアーアフターを。

鹿島 このコロナ禍で僕が一番困ったなと思っているのが、留学にしろ旅行にしろ、海外に行けないから、自分の価値観がひっくり返るような体験をできなくなっていることです。僕は大学でいつも言っているんですが、一つしか知らないと何も生まれない。比べるも…

オードリー・タン 著『デジタルとAIの未来を語る』より。標準的な答えも、標準的な教育も、ない。

父は、私に「標準的な答え」を与えようとはしませんでしたし、そんな答えがそもそも存在すると思っていなかったようです。あらゆる思考の機会で、一見標準的な答えのように見える場合、そこには必ずいくつかの前提条件が必要であって、その条件を満たしてい…

藤原章生 著『絵はがきにされた少年』より。土曜日も日曜日も働くなんて、大したものだと思いますよ。

仮に我々に、お金と暇があったら、どうするでしょうか。あなたの国に行ったり、欧州をくまなく歩いたりするでしょうか。そんなことしないと思いますね。多分、その山の向こうにさえ滅多に行くことはないでしょう。普段と大して変わらない暮らしをしている気…

ひろゆき 著『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』より。 教育の真実。「謎の慣習」に従い続ける人たち。

僕はこれまで、著書やSNSで「考え方」について述べてきました。でも、その前に、正しい知識は正しい知識として、ちゃんと伝えていかなくては、と思うようになりました。(ひろゆき『叩かれるから今まで黙っておいた「世の中の真実」』三笠書房、2020) こん…

猪瀬直樹 著『言葉の力 「作家の視点」で国をつくる』より。「作家の視点」でクラスをつくる。

文章とは何かというと、引用ができるか、内面に浮かんだことを、すでにある作品の表現や事実に結びつけられるかどうかがすべてです。引用をするためには読書が必要です。ある現象のバックグラウンドがわからなくては、いま起きていることとつなげることがで…

映画『アイヌモシリ』(福永壮志 監督・脚本)より。少年の成長譚。イオマンテと、葛藤と。

テイクを重ねてもうまくいかなかったある時に、幹人君から役の内面について詳細な説明を求められた時は気が引き締まる思いがし、撮影が続く内に彼が立派な役者へと成長していくのを感じた。(劇場用パンフレット『アイヌモシリ』大秦株式会社、2020) おはよ…

猪瀬直樹 著『天皇の影法師』より。なぜ森鴎外は元号にこだわったのか。

遺言は、こう続いている。「死ハ一切ヲ打チ切ル重大事件ナリ。奈何ナル官憲威力ト雖此ニ反抗スル事ヲ得スト信ス。余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス。宮内省陸軍皆縁故アレドモ生死別ル、瞬間アラユル外形的取扱ヒヲ辞ス。森林太郎トシテ死セントス、墓…

角幡唯介 著『探検家の憂鬱』より。教員の憂鬱。無意識のどこかで身体性の回復を欲している。

そんな子供たちは集団登下校に象徴される「鳥かご」の中で優しく育てられたので、無意識下で自分が傷つくことを何よりも恐れるようになり、全他人を慮り全他人から慮れるような、生ぬるい倒錯した人間関係が真実なのだと錯覚するようになって、躊躇なく声高…

米澤晋也 著『指示ゼロ経営』より。環境を整えた上で、リーダーが「何もしない」とうまくいく。

自律的という性質を考えると「作る」ではなく「なる」と考える方が自然です。 これは料理で例えるとわかりやすいと思います。 例えば「今夜の晩ごはんは野菜炒めを作る」と決めたとしましょう。そのために必要な食材を買ってきてレシピ通りに作ると野菜炒め…

猪瀬直樹 著『こころの王国 菊池寛と文藝春秋の誕生』より。学級担任や管理職に相応しいのは、夏目漱石ではなく、菊池寛。

ある作品を読んで、うまいうまいと思いながら、心を打たれない。他の作品を読んで、まずいまずいと思いながら、心を打たれる。ある作品を読んで、よく描けていると思いながら、心を打たれない。他の作品を読んで、ちっとも描けていないと思いながら心を打た…

角幡唯介 著『空白の五マイル』より。危機があるから、驚喜もある。

岸壁を高巻き始めたのが午後一時だった。ジャングルの中で格闘しているうちに日没が近くなり、あたりは次第に暗くなり始めた。高巻きを終えるのに二、三時間と考えていたが、一向に岩壁を越えられそうになかった。山のスケールを見誤っていたのだろう。川や…

角幡唯介 著『探検家の事情』より。10年後には、小学校の図書室の伝記の棚に角幡唯介さんの本がありそうだな。

ところが探検をあつかった本格的なノンフィクション作品では、こうした普段の小市民的日常は描けない。じつはこれは私にとってはけっこうストレスだ。私の探検という非日常は日常があることによってはじめて支えられているのに、ベースとなる日常を切断して…

映画『ミドリムシの夢』(真田幹也 監督)より。なんで目の前のベンツには違反切符を切らないんだ?

どう考えても、ミドリムシが悪いわけではない。だったら、我々がいまとっている方法が悪いのだ。それならば、改善すればいいじゃないか。(出雲充『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』ダイヤモンド社、2012) おはようございます。出雲充さんの…