田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

坂口恭平 著『自分の薬をつくる』より。自分の日課をつくってみよう。自分の時間割をつくってみよう。

そう私が感じるのは、いのっちの電話をこれまでずっとやってきて、それこそ二万人近くの声を聞いてきて、感じてきたことがそれだからです。すべての人が同じ悩みなら、もうそれは悩みではなく、人間たるものみんなそんな状態にあるということですので、自然…

神保哲生、宮台真司 著『アメリカン・ディストピア』&「マル激(第1006回)」より。周りに合わせるのをやめよう、っていう倫理教育を!

宮台 とはいえ、普段から物事を考えている人間は、「ロジカルに考えろ」と言われればそれなりに考えることができて、OKなんですが、いままでロジカルに考えたことがない人間が急に「考えろ」なんて言われたって、考える手がかりがないので、「下手な考え、…

ブレイディみかこ 著『ワイルドサイドをほっつき歩け』より。シェリー  俺はうまく生きているか?

ふっと、日本の人と尾崎豊の話をしたときのことを思い出した。尾崎豊は盗んだバイクに乗って学校のガラス窓を打ち割って回っても、その気になれば大学に行って就職して家庭を築けた経済成長の時代の若者だったのであり、就職氷河期を見て育ち「もはや経済成…

ポール・ウィリス 著『ハマータウンの野郎ども』より。絶望の国の幸福な若者たちと似ているかもしれない。

けどね、たかが学校の成績のことを取りあげて世間はとやかく言うでしょ。たとえばジミーって子は出来は悪いですよ、しかし、あの子は立派な牛乳配達人になるかもしれないし、パン屋としてちゃんとやってくかもしれない。ところがね、世間ではこう言うんです…

映画『今宵、212号室で』(クリストフ・オレノ監督作品)より。何かなぁ、この手は。愛は思い出の上に築かれる。

人々が行き交うモンパルナスの通りを、マリアが少しだけ顔を上げて歩く。流れるのは、シャルル・アズナヴール。これを映画と呼ばずなんて呼ぶのだろう、と胸がいっぱいになる。そうだ、素敵な人がいれば堂々と振り返ればいい。いまを踏みしめながら生きると…

ブレイディみかこ 著『THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本』より。補償なき自粛要請も、代休なき土曜授業も、おかしい。

① 労働者が闘う労働者を侮蔑して妨害した時代から、② 労働者同士が団結して闘う時代に移行し、③ 別の問題で闘っている団体とも協力する時代が訪れ、④ 労働者たちが社会には様々な問題があることを知覚できるようになり、ユナイトしてすべての人々の権利のた…

小林紀晴 著『ASIAN JAPANESE 3』より。「ワレ到着セズ」と「ワレ到着セリ」のあいだで。

旅は終わり、人は必ずどこかへ帰る。 帰る場所とはいったいどこだろうか。そのことについて彼と何度か話した。彼は以前言った。「生まれ育った福岡にずっと住んでいて一歩も出ることがなかったら、福岡を自分の故郷と思えないような気がする」 そして同じこ…

小林紀晴 著『ASIAN JAPANESE 2』より。旅と異性と人生と。また会いましょう。

かなり遅くなって僕らはその店を出て、サン・ミッシェルの方向へ歩き出した。「不思議だよね」 彼女が不意にそんな言葉を呟いた。「小林君と夜中のパリをこうして歩くなんて、不思議だよね」 確かに実に不思議な気が僕もする。八年ほど前の四月に同じ新聞社…

小林紀晴 著『ASIAN JAPANESE』より。日本にだって出会いはある。気が付かないだけ。

貧しい、遅れていると言われていた世界で実は、四角い空ばかり眺め、満員電車に乗っていた僕などより、幸せを感じている人間がいた。しかし、それはけっして幸せだけではない。悲惨さも、醜さも、卑怯さも、滑稽さも、生も、死も、あからさまだった。いいか…

宮台真司 著『これが答えだ!』&「マル激(第1003回)」より。普遍主義。情けは人のためならず。

次に、異物を排除する共同体的慣習を問題にしましょう。私の父は定年退職後、地元の大和市で、難民や移民の受け入れボランティアをやってきています。父が言うのですが、白人ではない外国人が住むというだけで治安上の不安に脅える市民が異様に多いのです。 …

ポール・タフ 著『私たちは子どもに何ができるのか』より。非認知能力は子供をとりまく環境の産物である。

生徒の標準テストの得点を、毎年確実に上げることのできる教師がいる。こうした教師は、現行のすべての評価システムにおいて最も高く評価され、最も高い報酬を受けている。しかしジャクソンは、生徒の非認知能力の代替尺度を確実に上げることのできる教師が…

江澤隆輔 著『教師の働き方を変える時短 5つの原則+40のアイデア』より。空気を読むな、本を読め。授業準備の時間を先に決める。

忙しすぎると、学校の「命」であるはずの授業のための準備が疎かになってしまいます。中学校では1日に1時間から2時間程度の「空き時間」があり、その時間に教材研究などをすべきものでした。しかし、現在は授業とは関係のない雑務に追われ、十分に準備が…

保坂展人 著『学校だけが人生じゃない』より。絶望した少年は退学という道を選び、教科書を閉じて人体実験の旅に。

そんな僕に必要なのは「学校」ではない。この世の中にはどういう人が生きていて、どんな仕事があって、どんな喜怒哀楽があって、世の中の苦さも温もりも知る「場」を僕は求めていた。そこでこそ自分を見つめ直すことができる。そう思った。あえて言えば、世…

吉本ばなな 著『うたかた/サンクチュアリ』より。本棚を想像力のサンクチュアリと見立てる。

「ええとね、体のどこかをちょっと切って血を流すと、すっきりするような気が、しない? それで、ためしてみたくてね。でもこわくてね。……子供の涙っていうのは、強いものね。いろんなことを思い出したわ。あなたがまだ小さくて、育てることに夢中だった若い…

神保哲生、宮台真司 著『反グローバリゼーションとポピュリズム 「トランプ化」する世界』&「マル激(第1002回)」より。つまり感情教育の問題!

彼がその講義で語ったのは、米国人も米国の学者も「人権とは何か」についてのんきに議論をしているが、いい加減にしてほしい、米国人は1965年まで黒人と女性を人間扱いしてこなかったではないか、ということでした。「人権とは何か」を長らく議論しても…