シルバーハンマーさんが知識と考える力を身につけたいと思ったなら、ただそれをやればいい。しかし、それらを身につけたら自分の人生は大丈夫だと思っては大変な誤りを犯すことになります。「リア充な写真」をFacebookにアップしまくっている人間が、社会に…
日本では「みんな同じ」だった。 肩につく髪は結ぶこと、髪は染めないこと、スカートの長さはひざ下3センチであること、靴下は学校のエンブレムがついた白であること、靴は黒のローファーであること、バッグは学校指定の黒い革のものであること。 すべてを…
町から離れた場末の港には人影もまばらで、夕暮れが迫ってきた。知り合いも、今夜泊まる場所もなく、何ひとつ予定を立てなかったぼくは、これから北へ行こうと南へ行こうと、サイコロを振るように今決めればよかった。今夜どこにも帰る必要がない、そして誰…
本書は宮台真司を批判する(ぶっ飛ばす!)本である。そして、私に与えられた課題は、彼の教育論を批判することである。しかし、何を隠そう、私は彼の教育論に結構共感してしまっている。(諸富祥彦 編著『〈宮台真司〉をぶっとばせ! ”終わらない日常” 批判…
「私自身、報われなかったのはがんばらなかったからだという考え方に納得がいかないからです。才能や実力のない人に到底たどりつけない目標を与えてがんばらせるのは、人間を不幸にすると思う。できる、できないという基準ではない価値を築けるかどうかを、…
実際、奥平先生の憲法学がとりわけ強調するのが「憲法とは何か」なのです。共著の『憲法対論』でも「憲法とは何か」を分厚く語っていただきました。日本では「非常識な人」が多いので、「法律の一番偉いのが憲法だ」などと思っていますが、ありえません。 法…
僕が思い出したのは、父が前に、「お父さんたちも試行錯誤なんだよな」と言った時のことだ。「子育ては初めてだし、何が正解なのかいつも分からないから、ほんと難しいよ。ただ少なくともお父さんは、自分が親に言われたり、やられたりして嫌だったことはや…
こうした「遊びからの学び」と、「お話を聞くときは手をおひざ」とか「犬と猫はどちらが大きいですか」みたいな教育と、どちらが子どもの将来の幸せにとって有効なのかは、言うまでもありません。何度も言うけど、自分の頭が悪くても、頭が良い子と友だちに…
子供らが草野球するのを、野原に降り立った火星人が見ている。フィジカル(物理的・身体的)な挙動は観察できる。でも何をしているのかは分からない。分かるには子供らの体験を追体験できなければいけない。火星人はやがて「こうではないか」と思えるように…
恐らく、いまの子供たちは、岩井海岸に臨海学校に行っても、栗駒山に林間学校に行っても、いや行かなくても、私や理髪店の主人のように強い思いを抱くことは少ないような気がする。家族と泊まりがけの他の旅行と紛れて、淡い記憶しか残らないのではないかと…
(前略)インフルエンザは実在せず、私たちが認識する現象にすぎません。そして、私たちの認識のあり方は、どのように検査をしようとか、どのように治療をしようかという戦略性・恣意性によって変わってきます。私たちの態度、立場、恣意性がインフルエンザ…
美紀が今いれば、私には違う人生があったし、それは美紀にとっても同じ事だった。私は美紀を幸福にしたかった。私は美紀と、よくある平凡な生活を、そういった典型的な生活を、ただしたかった。(中村文則『遮光』新潮文庫、2020) おはようございます。先月…
もっとも多かったころは九人いたのだ。家族の数が半分以下になると、時の経つ速さは倍以上になる。そのことを政次郎ははじめて知った。 或る朝。 シゲとクニが学校へ行ってしまうと、がらんとした座敷に立って、(あ) 心が、棒のように倒れた。 倒れる音ま…
経済界は教育に「新しい産業構造に合った人材をくれ」と言いだします。利害関係者として当然の要求です。問題は、それにどの程度応じるべきなのか。あるいは、どの程度拒絶すべきなのか。経済が回らないと、社会は回りません。でも経済を回すために社会を犠…
では、教育のどの部分に人間が必要なのかと言えば、教科書に記述された内容とは別に、より実践的な要素を盛り込んだ教育の部分でしょう。テストでよい点を取るためではなく、実際に社会に役に立つような実践的な教育のことです。 例えば、物理・科学の実験で…