田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

青野慶久 著『チームのことだけ、考えた。』より。サイボウズの「公明正大」と「自立」をチーム学校にも!

長年、多様性について議論と実践を重ねる中で、私たちが個人に要求するイズムも徐々に見えてきた。それは「感謝」でも「努力」でも「誠意」でも「変化」でも「進歩」でも「協調」でもない。多様性を維持し向上させていくには、「公明正大」と「自立」が必要…

中野民夫 著『学び合う場のつくり方 本当の学びへのファシリテーション』より。ワークショップって、何? 楽しく学び合える場を創ろう。

私は、大学に入った頃、一方的な講義を聞くだけの大教室にげんなりしながら他方で、少人数ゼミや学外の大人のフリースクールなど、「学びたい人が自然に集まって学び合う」場に魅かれ、触発された。さらに登山や世界への一人旅の体験のなかで身をもって学ん…

ヤマザキマリ 著『国境のない生き方 私をつくった本と旅』より。原発をやめられない社会と宿題をやめられない学校をどうするか。

閉塞感を感じたら、とりあえず移動してみる。旅をしてみる。 これは、私たちが生きていくうえでも有効だと思います。 どこかに行けば、今抱えている問題が解決するとは思わないけれど、自分が何にとらわれていたのかに気づくことはできる。 人間にとってすべ…

伊坂幸太郎 著『仙台ぐらし』より。法としての制度ではなく、思考習慣としての制度に注目して働き方を変える。

「そして、イギリスに連れ帰ってくれる船長に言われるんだ。『ちょっと一つ気になるんだが、どうしておまえは、そんなに大声で喋るんだ?』と」「大声で? どういうことですか」「ガリヴァーは、巨人と一緒にしばらく暮らしていたから、喋る時はいつも、でか…

猪瀬直樹 著『ゼロ成長の富国論』より。二宮金次郎に学ぶゼロベースの富「学校」論。

すでに述べてきたが、金次郎の方法は五公五民とか四公六民など領主が決めた税率ではなく、直近十年の平均納税実績を年貢の上限として設定する。 そのうえで領主や個別の農民(経営者)の生産高と借金を調べ、金次郎ファンドからの融資で高利の借金を低利で借…

小西貴士、河邉貴子 著『心をとめて 森を歩く』より。親は親を、子どもは子どもを生きられる社会を。

重い とか軽い とかも大切かもしれませんが誰もが背負うことがあるのだと想うことが生きる者の根っこの 根っこです「芽吹きのささやき」 (小西貴士、河邉貴子『心をとめて 森を歩く』フレーベル館、2016) おはようございます。昨年の夏、都会教師時代の師…

坂本龍一 著『音楽は自由にする』より。音楽は自由にする。変形労働時間制は不自由にする。

若いころはいろいろうまくいかなかったけれど、年を取ったからこそ、また二人と一緒に音楽ができるようになった、ということかも知れない。だとしたら、年を取ってよかったと思います。ポール・ニザンじゃないですが、若さなんて、全然いいものじゃないんで…

柳沢幸雄 著『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』。父親が知らないとヤバイ「女の子」の育て方。

男の子が母親と話さなくなるのは、自分の世界を母親に理解させるのが面倒だからだ、という話をしました。しかしもうひとつ、人類の根本的な、そして無意識的な習性として、「ヒトは第二次性徴を迎えたら、異性の親とは本能的に離れていく傾向がある」ことに…

三遊亭圓窓 著『日本人が忘れちゃいけないこの落語』より。神戸の女帝(教師いじめ)の話よりも、世の中に伝えたい夏みかんの話。

だから《平林》なんてのは、もう即国語の勉強になる。ひとつ字でも、いろんな読み方が、音訓の読みわけもあるし、そうじゃないのもありますんでね。面白い。そして、読み方を間違えてもがっかりすることはないんです。総理大臣になれる可能性は残されている…

平田オリザ 著『下り坂をそろそろと下る』より。競争と排除ではなく、寛容と包摂の社会へ。

だが、本当に、本当に、大事なことは、たとえば平日の昼間に、どうしても観たい芝居やライブがあれば、職場に申し出て、いつでも気軽に休みが取れるようにすることだ。職場の誰もが、「あいつサボっている」などと感じずに、「なんだ、そんなことか、早く言…

畑村洋太郎 著『技術大国幻想の終わり』より。大川小訴訟と台風19号から考える、わたしたちの責任。

自然環境の変化は本来、なかなかわかりにくい問題ですが、近年はそれが実感できるほど明らかな変化が見られます。たとえば近年は、降雨、台風など、様々な気象現象が明らかに激烈化しています。~中略~。 首都圏では死者1000人強、罹災者40万人強を出…

畑村洋太郎 著『続・直観でわかる数学』より。小学校教員資格認定試験、全員合格? 志はどこに?

それにしても、私は昔からフシギで仕方がなかった。みんな、なんで大きい方から考えないんだろう? 細かいことから考え始める人が、じつに多いのである。多すぎるのである。そして、それは数学の世界でも当てはまるのである。小学校で習う筆算がその筆頭であ…

平野啓一郎 著『ドーン』より。分人主義と学校教育について考える。

《ドーン》みたいに、六人の人間が、ずっと一緒にいると、その間、たった一種類のディブしか生きられないでしょ? 宇宙空間のストレスは、本当なら、地上のあちこちに、自由にばら撒かれていたはずのディブが、発生する余地がないっていうことが大きいんだ。…

平野啓一郎 著『ある男』より。文学ワイン会「本の音 夜話」で平野啓一郎さんの話を味わった翌日。

颯太がどことなく不安定なのは、この二週間ほどのことだった。公文の宿題をやらないと香織が叱りつけるので、元々、過熱気味の幼児教育に否定的な城戸は、「足し算なんて、どうせそのうち出来るようになるんだから、今そこまでしてやる必要はない。」と息子…

平野啓一郎 著『マチネの終わりに』より。平野さんの話を味わった夜。文学ワイン会「本の音 夜話」にて。

トーマス・マンは、「偉大さと大衆との断絶」に言及して、ゲーテが死んだ時には、「大いなる牧羊神の死を悼むニンフたちの嘆きの声ばかりではなく、『ほっ』という安堵の溜息もはっきりと聞こえたのでした。」と語っている。ゲーテでなくとも、天才とは、周…