田舎教師ときどき都会教師

テーマは「初等教育、読書、映画、旅行」

福岡伸一 著『世界は分けてもわからない』より。繁忙期と閑散期に分けるだって? 世界は分けてもわからない!

外科医のメスは、身体中をくまなく巡り身体から嗅覚という機能を切り出すためには、結局、身体全体を取り出してくるしかないことに気づかされることになる。つまり、この思考実験で明らかにされることは、部分とは、部分という名の幻想であることに他ならな…

成毛眞 著『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』より。40歳を過ぎていないなら、変化率の高い町で先生をやるのも悪くない。

もっとも好奇心を磨くのなら、旅行に行く場所も厳選しなければならない。 私は家族旅行では、変化率の高い街にしか行かなかった。(中略) 娘が大きくなってから、「ウチの親は先進国に連れていってくれたことはないんです。話のネタづくりのために、小さい…

本田直之 著『レバレッジ・リーディング』より。教員採用試験の面接のときに話したレバレッジ・エピソード。

レバレッジ(leverage)とは、聞き慣れない言葉かもしれませんが、英語で「てこ」の働きのことを指しています。かつて理科の時間に習った「てこの原理」のてこです。「てこ」を使うと、少しの力を加えただけなのに、重いものを軽々と持ち上げることができま…

徳川恒孝 著『江戸の遺伝子』より。参勤交代は「よかったね」。松井博さんのリプも「よかったよ」。変形労働時間制は「もう、やってられないね」。

彼らは帰国の時には少し都会風に粋になって、草紙や細工物、流行の刷り絵や簪をお土産にして帰って行きました。また翌年には次の若者たちが出てきます。これが二百四十年続いたのです。世間を知り見聞をひろめて視野を広くするその効果たるや、修学旅行の比…

安部公房 著『箱男』より。海の命と私たちの命。

ところが、眠り込んじゃった。工事用のローラーで敷きつぶされたみたいに、べったりと眠ってしまったんだ。おまけに、夢の見つづけで、夢の中では一睡も出来なかったから、さっきまで寝つづけてしまったのに、まだ睡眠不足なのさ。(安部公房『箱男』新潮文…

松井博 著『僕がアップルで学んだこと』より。神戸の4教員のいじめの記事と松井博さんの新刊&旧刊を読んで考えたこと。

私がアップルに入社していちばん驚いたこと、それはいろいろな意味で突出した人材の多さでした。まず頭のいい人の数。「人生の中でこんなに頭のいいヤツには会ったことがない」と思わせてくれる人々にしばしば遭遇します。特にどうってことのないポジション…

プラトン 著『饗宴』より。埼玉県・教員残業代訴訟。給食の時間に事務作業だって?

総じてギリシャ人の間においてはホメロス時代以来飲み食いは単に肉体の栄養であるだけでなく、同時に精神の糧でもあるという考えが行なわれていた。したがって食卓で討論が行われるようなことがあっても、それは決して不思議ではなかったのである。(プラト…

野﨑まど 著『HELLO WORLD』より。読書の秋。沢木耕太郎さんと鳥山敏子さんの勧め。

だから僕は。 何の保証もないことを、言おうと思った。「きっとここは」 真っ白い世界に、最初の一行目を書き込む。 何を書いてもいい世界で、僕は。 何を書くかを、自分で決めた。「まだ誰も知らない、新しい世界なんです」(野﨑まど『HELLO WORLD』集英社…

堤未果、湯浅誠 著『正社員が没落する』より。僕らの責任は想像力の中からはじまる。

社会保障は、労働市場の質を保つために必要なんです。考えてみれば当たり前のことです。別に福祉国家は資本主義に対抗するために生まれてきたものではない。社会福祉政策はもともとドイツのビスマルクが導入したもので、資本主義を上手く生き延びていくため…

石井光太 著『物乞う仏陀』より。聖職のゆくえ、過労死レベルで働く教員は世界をどう見ているのか。

ただ、ここはカンボジアである。乞食には乞食の、地雷障害者には地雷障害者の生き方というものがある。おのおのが地雷を踏んだ運命をうけいれて自分なりの方法で生きている。 日本でいわれている乞食だとか地雷障害者のイメージとは程遠いけれど、彼らを非難…

中村文則 著『自由思考』より。上手く言えないが、平和って素晴らしいと思った。

足を開いた女優に、男優が真珠のネックレスを手に近づいていく。その設定の意味がもうわからないが、やがて男優は女性の首にそれをかけるのではなく、女性の大切な部分にその真珠のネックレスを入れていくのである。何でそんなものを入れるのか当時はわから…

鈴木大裕 著『崩壊するアメリカの公教育』& 映画『HELLO WORLD』(伊藤智彦 監督作品)より。髭ダンの人気と教ダンの不人気について。

「真に理性的な社会では、我々の中で最も優秀な者が教師になり、それ以外の者は他の仕事で我慢せざるを得ないであろう」。そう言ったのはアメリカの伝説的経営者、リー・アイアコッカ(Lee Iacocca)だ。教育関係者に限らず、この言葉に頷く人は少なくないだ…

宮台真司 著『 〈世界〉はそもそもデタラメである』より。教職を希望する若者こそ「踊れる身体」を持っていてほしい。

クラブブームだった90年代前半、学生らを連れていくと、すぐ踊れる学生と踊れない学生が分かれた。連れていく前から、誰が踊れ、誰が踊れないか、見当がついた。 ゼミで優秀な発言をする学生こそ「踊れる身体」を持っていてほしいと私は望んだ。期待を抱か…

川田龍平 著『川田龍平 いのちを語る』より。不幸だけれどしあわせ。

龍平 そうなのです。知らない、知識がないということが差別を生むことは少なくありません。理解しようとすることが大事なのです。ぼくは実際に大学で教えるようになって、ますます教育の必要性を感じました。今の大学生は薬害エイズのことも知りません。19…

博報堂大学 幸せのものさし編集部『幸せの新しいものさし』より。ものさしを変えて、他者と仕合う。

そのころ農家を回って聞いた話はショッキングだった。アメリカでは既に禁止されていた農薬を使い続けて意識障害を発病した農家の人の話、自家消費の野菜には絶対に農薬は使わない、という彼らの告白。気づいたのは、「知らないから何でもできてしまう」とい…